塚本勝巳のレビュー一覧
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ウナギの生態が近年まで謎に包まれていたというのは,よく知られた話だが,「では,どの辺が謎だったの?」と聞かれると,上手くこたえられる人は少ないだろう.
ウナギは回遊魚である.海で生まれ,河に遡上し,産卵のためまた海に帰る.そこまで分かっていながら,生態が謎に包まれているとされていたのは,数千キロにもわたる大回遊を行っているにもかかわらず,産卵ポイントがごく狭い領域に限られており,しかもそれが毎年転々とするので,産卵している姿や卵の姿が捉えられていなかったからである.本書では,ウナギの卵発見に至るまでの,世界の(そしてとくにアジアの)研究者の取り組みが,比較的詳細に描かれている.ちょっとした謎解 -
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著者の塚本氏はウナギ研究の世界的第一人者。
本書は、ウナギ研究の第一線でキャリアを積んできた著者が世界各地、特に(著者自身が関わってきた)日本のウナギ研究の歴史の解説を行っている解説本です。
簡単に内容を紹介すると、
冒頭、ウナギが何を切っ掛けに産卵の為の回遊を開始するのかと言った簡単な解説が行われ、以降、著者の研究キャリアを織り交ぜながら約40年前から2009年のウナギの卵発見とその後日談までうなぎ研究の流れを解説。
そして最終章で長年に渡る研究結果に基づくウナギ保護策を提唱。
と言った感じになります。
そして、
限られた時間内で行われる船舶を用いたフィールド -
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ちょうどこの本が出版される頃、養鰻業や研究者の人たちの座談会を拝聴する機会に恵まれた。本当に食べていいの?と思っていたウナギ。限りある資源を、次世代に受け継ぐ使命と、食文化の伝達は相反するのか?そんな疑問やしこりを取り除いてくれる発見だ。
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土用の丑の日に、こぞって口にされるウナギ。実はとてもその謎の多いミステリアスな生き物だ。そして、ついに世界初の天然のウナギの卵が発見された!一方でレッドリストに掲載され絶滅の危機にもある。身近な生き物・食材から、科学的好奇心をくすぐる一冊!
塚本勝巳(著)
1948年岡山県生まれ。日本大学教授。東京大学名誉教授。農学博士。専門は海洋生命科学。世界 -
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土用の丑の日に欠かせないうなぎ。
しかしその生態は長い間なぞに包まれていました。
…ということは知っていました。
うなぎ博士こと塚本勝巳先生が、世界で初めてうなぎの卵を発見したことはニュースで知っていましたが、この本はその記録であるだけではなく、好きなもの、興味のあるものを追い求める楽しさが溢れています。
ひとつの研究の成果が、わからなかった世界に光を当て、次の研究への道が作られます。
ひとつの研究の成功が、協力してくれる人たちを連れてきてくれます。
そしてどんどん世界は広がっていくのです。
子どものころから「海底2万マイルごっこ」や「十五少年漂流記ごっこ」など、冒険ごっこが好きで、大学で