人工知能を擁する最新鋭の「黒船」を保有する傭兵の来栖牙。
軍事大国アリストを訪れた牙は、海軍で艦長を務める提督・ルロイから、丁重な歓迎を受ける。
実は牙は失われた小国アシハラの出身で、その国は技術大国として恐れられたのだが、何らかの事故か内乱か理由不明の爆発で、すべてを失ってしまったのだった。
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そして、その技術の結晶が、「黒船」であった。
失われしアシハラの技術で作られた「黒船」は各国がこぞってほしがる状況で、今回も「黒船」目当ての歓待であることはわかっていた。
けれど、気位の高い大貴族出身で、禁欲的な雰囲気をまとうルロイが、突如雰囲気を変え、まるで誘惑ともとれる行動を仕掛けてくる。
一目見た時から「美しい」と感じていた牙は、罠かもしれないと思いつつも、ルロイの無防備な媚態に魅せられてしまうが……
という話でした。
なんというか、出会った直後に、自分の媚態を晒して牙を誘惑してくるルロイはなかなかのものだと思うんですが、ルロイは今までにもこういうことをしたことがあるのか、それともある意味、牙だけが特別だったのか、その点については謎のまま。
感じてるときの口ぶりからは初めてっぽいんだけどな……初めてだといいな、というのは私の願望ですね。すみません。
とはいえ、そんな感じで、早急に身体をつなげる二人ですが。
どっちかというと、恋愛よりも、アクション……というのか、運び屋というお仕事の方がメイン。
あんまり恋愛でラブラブ……という雰囲気はまったくありません。
基本的に、ルロイもプライドが高いし、誇り高いので、牙の前で甘えて見せたり……というタイプではまったくないんですが。
実は嫉妬心はちゃんと持っていて、自分の恋人に手を出そうとした相手に無言で剣を突きつけてしまう辺りがまた、しびれる。
ちょっとルロイが初めてなのかどうなのかも含めて、チグハグなところもありますが(それはできれば「牙だったから」という理由付けをしてくれれば個人的にはうれしかったのですが)、アクションシーン的なところもしっかり読み応えがあってとても面白かったです。
それにしても、無理強いされているわけでもないのに、なぜ、最初にルロイが身体を使うことを一番に思いついたのかが、激しく謎ですが。