和辻哲郎のレビュー一覧
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民俗学を勉強し始めて、地理に関する考察も必要とわかってきたところに読んだのが本書。
風土や地理によって歴史を見る、文化の発展を考察する。
自分は民俗学の勉強を深めるために読んだが、どちらかというと比較文化の方が近い。あと哲学的要素も多く、文体も哲学っぽい。認識論とか形而上学とか…。
○自分の住む世界がどういうところなのかという認識は、他の地域・世界を旅してこそ認識できる。→たくさん旅をして最後に故郷に戻り故郷と感じた坂口安吾と通じるものを感じた。
○それぞれの民族部族は、そこに生きる土地、風土でその性格が規定せられる。生き方、文明、文化の生まれる素地もどのような風土で生きているかで決まる。 -
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和辻哲郎 「 風土 」風土(気候)が 人間の気質に影響し 文化を形成するとした本。日本人論としても読める。特に面白いのは 「日本人の家(ウチと外の関係)」「気合いの日本芸術」「日本人のモンスーン的な受容性と忍従性」
日本人の家について
*個人と社会の間に家がある
*家(うち)は 外に対して区別→家の内部で室の独立はない→門や垣根が外と区別し 玄関で脱ぐ
*社会のことは 自分(うち)のことではない
気合いの芸術(日本庭園、能楽、茶、歌舞伎)
*無秩序な自然に 自然の姿を見た→人工を自然に従わせる
*我々の感情のバランス(気合い)において 全体が統一→気を合わせるために 規則性は回避
*自然の -
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非常に面白かったです。
風や雨がもたらす恵みや災い、その土地の環境そのものが人類に多様な影響を与えてきた。
砂漠やジャングルや温暖な地域、寒冷地など環境に応じて生活様式や思考方法が培われ、更に発展して宗教や芸術を生み出していく。
ローマの繁栄やギリシャの芸術性、アラブなど砂漠地帯の思考方法などを紹介してくれています。年代的に硬い文章ではありますが、豊潤で濃厚な表現で綴られていて読み進めるほどに興味をそそるいい本でした。
やはり日本の章には驚きと発見が多く、とても面白かったです。さすがに書かれた年代が古いので読み進めるのは苦労しましたが「こんな年代にこういう考察をしていた人がいたんだなぁ」って、 -
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弟くんのオススメ本。
「日本人の特性がどこからどうやって形成されたのか、知りたい~!」と騒いでいたら、勧められたのがこの本。
気候を3つの類型に分け、そこからそこに住む人の特性を導き出そうという試み。
外的環境が人の特性に影響を与えるというのは、感覚的に納得できる。
特に日本と中国の考察については、とっても興味深く読みました。
中国に対する印象など、「ああ~分かる!なるほど~!」と納得することしきり。
ただ、それだけで全て説明するのは無理があるような…。
的もやもや感は、解説にきっちり指摘してあってすっきり。
全面的に賛同するのは難しいけど、一読の価値アリ。面白かった。 -
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実は読んでなかったが、内容を何となく知っているために読んだつもりになっていた本。
巻頭、フッサールやハイデガーを踏まえた現象学的な記述で始まり、意外と哲学的な本だったか、と思ったものの、そのあとは文化論。
後半のほうに出てくる「うち」「そと」の区分と、「家」を中心とした日本文化の特色を論じた部分が面白い。このへんはその後の大量の「日本人論」の嚆矢だろう。
確かに小集団を「家族」的なものと見なす雰囲気が日本には強い。「学級」から、会社もお役所もそうだ。そういえばこの構造は、『フィロソフィア・ヤポニカ』の中沢新一=田邊元的な「種の論理」に該当するものではないだろうか。良い悪いは別として、アメリカ人 -
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若き日の和辻哲郎が、奈良の古寺をめぐった際の印象を書き留めたエッセイ。宗教的関心ではなく、美的関心に基づく感想がつづられている。
本書の出版から28年後に書かれた「改版序」で、和辻は本書に認められる若々しい情熱を「はずかしく感ずる気持ちの昂じてくるのを経験した」と述べている。彼はまた、若き日の「美的生活」からの「転向」をつづった文章で、「私がSollenを地に投げたと思ったのは錯覚に過ぎなかった……かくて私は一年後に、Aesthetのごとくふるまったゆえをもって烈しく自己を苛責する人となった」と言う。そこには、美に引き寄せられつつも、美に耽溺してしまうことを倫理的に拒否してしまう和辻の姿を認 -
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ネタバレ高校生時代の「倫理社会」の先生が、”和辻哲郎の「風土」を読む”という課題を我々に与えたことを思い出した。先生の意図は全く覚えていないが、難しくて途中で投げ出したのは事実。それで今回リベンジのつもりで読みだしたものの、やはり今回も第三章まででリタイヤした。
章立ては次の通り。
序 言
第一章 風土の基礎理論
一 風土の現象
二 人間存在の風土的規定
第二章 三つの類型
一 モンスーン
二 沙 漠
三 牧 場
第三章 モンスーン的風土の特殊形態
一 シ ナ
二 日 本
イ 台風的性格
ロ 日本の珍しさ
第四章 芸術の風土的性格
第五章 風土学の歴史的考察
一