和辻哲郎のレビュー一覧

  • 風土-人間学的考察

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    書かれた時代を念頭に置く必要があるが当時の日本文化の独自性や日本人(民族?)のものの考え方の根底に流れるところを解き明かそうとするもの。グローバル化が進む現代においては、異文化の尊重と自分の文化の認識が、必要である。戦前に書かれたこの本であるが、このメッセージを読みとった。

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    2021年08月13日
  • 風土-人間学的考察

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    もう少しわかりやすく書ける筈だと思う。九鬼周造などのがわかりやすい。やはりモンスーン・砂漠・牧場と分けたコンセプトが秀逸で、それ以外はどうなのか。中国論や日本論は時代を感じさせる。一部は極論と思うし、稲作を指摘しないのも確かに片手落ちではないか。

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    2021年05月23日
  • 風土-人間学的考察

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    民俗学を勉強し始めて、地理に関する考察も必要とわかってきたところに読んだのが本書。
    風土や地理によって歴史を見る、文化の発展を考察する。
    自分は民俗学の勉強を深めるために読んだが、どちらかというと比較文化の方が近い。あと哲学的要素も多く、文体も哲学っぽい。認識論とか形而上学とか…。

    ○自分の住む世界がどういうところなのかという認識は、他の地域・世界を旅してこそ認識できる。→たくさん旅をして最後に故郷に戻り故郷と感じた坂口安吾と通じるものを感じた。

    ○それぞれの民族部族は、そこに生きる土地、風土でその性格が規定せられる。生き方、文明、文化の生まれる素地もどのような風土で生きているかで決まる。

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    2021年05月18日
  • 風土-人間学的考察

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    風土が人間にどんな影響を与えるかを考察した本。実際感覚的にはなんとなく当たってると今でも思うところがある。

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    2019年04月21日
  • 古寺巡礼

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    【仏像鑑賞におススメしたい本5選 番外編①】1979年に出版され、当時仏像ブームを引き起こしたらしい。私も現代っ子なので、そもそも読むのが難しく、かつ、好き放題語っている(笑)印象だけれど、著者も言っているように、若さも感じられる仏像鑑賞の金字塔。そのため、仏像鑑賞していると必ずどこかで引用されて登場するので一回読んでおきたい。

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    2019年01月25日
  • 道元

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    「仏教論争」「古寺巡礼」と続けざまにふれてきた和辻哲郎による未完の道元禅師論。深遠なる道元思想を、さらに難解にしたような分析ですが、これを理解するには何としても正法眼蔵にあたる他ないと思います。

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    2018年06月13日
  • 風土-人間学的考察

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    和辻哲郎 「 風土 」風土(気候)が 人間の気質に影響し 文化を形成するとした本。日本人論としても読める。特に面白いのは 「日本人の家(ウチと外の関係)」「気合いの日本芸術」「日本人のモンスーン的な受容性と忍従性」

    日本人の家について
    *個人と社会の間に家がある
    *家(うち)は 外に対して区別→家の内部で室の独立はない→門や垣根が外と区別し 玄関で脱ぐ
    *社会のことは 自分(うち)のことではない

    気合いの芸術(日本庭園、能楽、茶、歌舞伎)
    *無秩序な自然に 自然の姿を見た→人工を自然に従わせる
    *我々の感情のバランス(気合い)において 全体が統一→気を合わせるために 規則性は回避
    *自然の

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    2018年05月28日
  • 風土-人間学的考察

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    非常に面白かったです。
    風や雨がもたらす恵みや災い、その土地の環境そのものが人類に多様な影響を与えてきた。
    砂漠やジャングルや温暖な地域、寒冷地など環境に応じて生活様式や思考方法が培われ、更に発展して宗教や芸術を生み出していく。
    ローマの繁栄やギリシャの芸術性、アラブなど砂漠地帯の思考方法などを紹介してくれています。年代的に硬い文章ではありますが、豊潤で濃厚な表現で綴られていて読み進めるほどに興味をそそるいい本でした。
    やはり日本の章には驚きと発見が多く、とても面白かったです。さすがに書かれた年代が古いので読み進めるのは苦労しましたが「こんな年代にこういう考察をしていた人がいたんだなぁ」って、

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    2015年09月17日
  • 風土-人間学的考察

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    弟くんのオススメ本。
    「日本人の特性がどこからどうやって形成されたのか、知りたい~!」と騒いでいたら、勧められたのがこの本。

    気候を3つの類型に分け、そこからそこに住む人の特性を導き出そうという試み。
    外的環境が人の特性に影響を与えるというのは、感覚的に納得できる。
    特に日本と中国の考察については、とっても興味深く読みました。
    中国に対する印象など、「ああ~分かる!なるほど~!」と納得することしきり。

    ただ、それだけで全て説明するのは無理があるような…。
    的もやもや感は、解説にきっちり指摘してあってすっきり。

    全面的に賛同するのは難しいけど、一読の価値アリ。面白かった。

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    2012年08月09日
  • 風土-人間学的考察

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    人間の性質は風土で決まるかどうか?を、「砂漠」「湿潤」「熱帯」の3種類の風土に分けて比較検討した本。ちょうどモロッコから帰国したてで読み、「砂漠」風土から生まれる人間の性質が、私が見て来たモロッコ人と多くの点で似ていたので、とても興味深く読めた。ちなみに日本人は、この本で言う「湿潤」に属するそう。独創的な文化人類学論。

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    2012年07月03日
  • 道元

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    「そうだったのか道元」と名付けたくなる程、分かりやすい道元入門。「仏道」は「善意志」、「仏性」は「普遍的法則」と解釈すれば確かに道元は、カントがキリスト教の影響の上で打ち立てたヨーロッパ的な倫理学の高みに、仏教の上に立って600年も前に到達している。和辻哲郎がこれを著した大正年間に、日本の思想がヨーロッパから日本に回帰してきたと考えれば、思想史的に大きな意義のある書物なのだろう、と思う。

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    2012年06月24日
  • 風土-人間学的考察

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    和辻哲郎が風土によって国民性が変わると説く本。

    まず、世界を3つの気候区分に分ける。

    ヨーロッパ型の牧場。
    オリエントや中東を含む、砂漠。
    アジアを含む、モンスーン。

    ヨーロッパ型の牧場は、気候が穏やかで自然は統治しやすいため、技術で自然を押さえつけられるため、合理的な考え方に。

    砂漠は、その気候に対抗しないと生きていけないため、攻撃的な性格に。また一神教も生み出す。

    モンスーンは湿度が高いため、恵みも多いが天候が急変しやすく、旱魃や洪水で飢饉も起こるため、自然に対して忍従する性格になった。

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    2012年08月06日
  • 風土-人間学的考察

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    気候区分で世界を分け、実在論的視点で
    その風土がそれぞれの文化、思想構造にかかわりを
    及ぼしているかを論じた。
    西田幾多郎の禅的な実在論とならべ
    近代日本の哲学的支柱となっていると思う。
    気候区分などで、批判はあるが、
    1990年以降の里山の自然環境など
    モンスーン気候の東端にある日本の文化的価値を
    国際的に高める上で再評価されていい。
    とくに、和辻以降、まとまった風土的視点で
    日本の多様な言語的環境論を述べたのが
    フランス人のオギュタン・ベルグであることを考慮するとベルグの投げかけに応えるべきタイミングにあると思う。

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    2012年04月29日
  • 風土-人間学的考察

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    実は読んでなかったが、内容を何となく知っているために読んだつもりになっていた本。
    巻頭、フッサールやハイデガーを踏まえた現象学的な記述で始まり、意外と哲学的な本だったか、と思ったものの、そのあとは文化論。
    後半のほうに出てくる「うち」「そと」の区分と、「家」を中心とした日本文化の特色を論じた部分が面白い。このへんはその後の大量の「日本人論」の嚆矢だろう。
    確かに小集団を「家族」的なものと見なす雰囲気が日本には強い。「学級」から、会社もお役所もそうだ。そういえばこの構造は、『フィロソフィア・ヤポニカ』の中沢新一=田邊元的な「種の論理」に該当するものではないだろうか。良い悪いは別として、アメリカ人

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    2012年01月28日
  • 古寺巡礼

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    若き日の和辻哲郎が、奈良の古寺をめぐった際の印象を書き留めたエッセイ。宗教的関心ではなく、美的関心に基づく感想がつづられている。

    本書の出版から28年後に書かれた「改版序」で、和辻は本書に認められる若々しい情熱を「はずかしく感ずる気持ちの昂じてくるのを経験した」と述べている。彼はまた、若き日の「美的生活」からの「転向」をつづった文章で、「私がSollenを地に投げたと思ったのは錯覚に過ぎなかった……かくて私は一年後に、Aesthetのごとくふるまったゆえをもって烈しく自己を苛責する人となった」と言う。そこには、美に引き寄せられつつも、美に耽溺してしまうことを倫理的に拒否してしまう和辻の姿を認

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    2013年04月29日
  • 風土-人間学的考察

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     日本文化論の本で、各国の風土、具体的には日本や中国を含めたモンスーン型、中東やアフリカの砂漠型、そしてヨーロッパの牧歌型の3つをもとに、人間の存在について考察する。ある意味で、地政学的な見方をしているが、本書の解説にあるように、イデオロギーや学問的な手続きに注目すると、本書はその点において不明瞭である。

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    2024年10月02日
  • 風土-人間学的考察

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    ネタバレ

    高校生時代の「倫理社会」の先生が、”和辻哲郎の「風土」を読む”という課題を我々に与えたことを思い出した。先生の意図は全く覚えていないが、難しくて途中で投げ出したのは事実。それで今回リベンジのつもりで読みだしたものの、やはり今回も第三章まででリタイヤした。

    章立ては次の通り。
    序  言
    第一章 風土の基礎理論
     一 風土の現象
     二 人間存在の風土的規定
    第二章 三つの類型
     一 モンスーン
     二 沙  漠
     三 牧  場
    第三章 モンスーン的風土の特殊形態
     一 シ  ナ
     二 日  本
       イ 台風的性格
       ロ 日本の珍しさ
    第四章 芸術の風土的性格
    第五章 風土学の歴史的考察
     一

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    2023年06月16日
  • 風土-人間学的考察

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    ◾️概要
    風土とは自然環境ではない、の真意を知るため読みました。最も印象的だったのは「文化は文明とは違って、その民族に固有な、したがって原生的なものに根ざしている。その民族が悠久の昔から営んできている一定の生活の仕方、観念の形態で、歴史の展開・生活の変化にも関わらずなお残っているようなもの。」です。

    ◾️所感
    文化、という言葉は日常的に使っているが、その真意を考えたことはなかった。また、それが自然環境と密接な関係にあり、人間の精神構造に刻み込まれているものというのは示唆に富む表現であった。

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    2021年03月14日
  • 風土-人間学的考察

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    日本人がせこせこしているのに対してシナ人はゆったりしている。しかしそれは感情の細かなあるいは過敏な動きを超克して到達した境地、すなわち物事に動じなくなった腹の据わりなのではない。もともと彼らは動じないのである。

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    2018年07月30日
  • 風土-人間学的考察

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    題名からは想像できない(小タイトルにはなっているが)、深い文化人類学的な哲学書。昔の日本人の知識と文章力には脱帽させられる。ただ、内容については諸説あるようだ。特にまだ世界と交わりが少ない時代に書かれたものなので、各人種の類型化が現代の目で見るとかなり偏狭。ただ、日本人の考察については戦前に書かれた本であるのに、まるで太平洋戦争、その後の復興を予言しているようなところがあり、やはり考察が深い。

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    2017年06月27日