葉山嘉樹のレビュー一覧

  • セメント樽の中の手紙

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    表題作初見は高校の教科書だった。当時何度も読み返した思い出がある。とても短い作品だからか、読みやすかったということもあっただろう。

    手紙の形式で劇的な場面が淡々とつづられ、それを読んだ夫婦の何気もない会話には、日々の生活―圧倒的な運命の重圧が潜んでいる。このコントラストのまぶしさを、未熟ながら感じ取ったのかもしれない。

    巻末には、作品解説のほか、年譜と作家解説も収載されている。

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    2019年02月04日
  • セメント樽の中の手紙

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    表題作をはじめ、どの短編もせちがらく、泣いてしまいました。哀しいだけで終わらない、暗い救いを見出させてくれるのがこの本の素晴らしいところです。

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    2013年04月28日
  • セメント樽の中の手紙

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    悲惨な現実を知ることになっても
    たまたまだとか、それが普通だとか、自分はまだましだとかいう思いが心のどこかで自分自身を縛りつけて
    これまでの生活から抜け出そうと何かを変えようと行動に移すということが出来ないのは、今も昔も変わらないのかもしれない

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    2024年05月01日
  • セメント樽の中の手紙

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    小林多喜二と並ぶプロレタリアート文学の旗手、ということで読んでみた。
    小林多喜二よりも、モダンな感じがする。
    同じ福岡県出身ということもあって、夢野久作っぽいところもあるが、気のせいかもしれない(夢野は福岡市、葉山は京都郡)。

    短篇が8編収められているが、最後の「氷雨」が秀逸。

    小林にしても葉山にしても、共産主義革命家として国家の弾圧化での芸術活動は冗談事ではなく、小林多喜二は警察に拷問で殺されるし、葉山は拘留中に二人の子供が餓死している。

    「氷雨」は共産主義から「転向」後の作品と言われているが、窮迫状態の中で書かれたこの哀切きわまりない心境の作品を「転向」と結びつけて語ってしまうところ

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    2020年04月20日
  • セメント樽の中の手紙

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    近代という時代を築き上げてきた人々の過酷な労働条件、生活を見ることができる。
    女工の恋人に対する思いが手紙に溢れていて、切なくなる。また、それを読んだ与三の気持ちも想像してみると、やるせない気持ちになってくる。短いが、プロレタリア文学を代表する素晴らしい作品だ。

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    2012年03月02日
  • セメント樽の中の手紙

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    表題作は道徳の教科書で読んだけどすごかった…。
    重く、苦しく、極限。衝撃のプロレタリア文学です。
    ホラーな「死屍を食う男」はまた別の魅力です。

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    2009年11月24日
  • セメント樽の中の手紙

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    ネタバレ

    興味を持ったのは『蟹工船』の小林多喜二が影響を受けた文学ということ。『蟹工船』を読んで思った、いわゆるプロレタリア文学の思想とともに、リアリズムだけではない、臨場感のある生き生きした表現の、よってくるところを知りたかったからです。

     期待通り、鮮烈な文章でした。表題作『セメント樽の中の手紙』(青空文庫で読めます)は1970年~80年にかけて高校の教科書に載ったそうですが、短い文ながらたしかに、しまりのある一編です。

     セメントの中に入っていた手紙の文面も鮮烈ですが、その手紙を読むことになるセメント袋をあけるのが仕事の労働者の様子に圧倒されました。またその生活が溜まりたまったものがこもってい

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    2021年08月26日
  • セメント樽の中の手紙

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    葉山嘉樹は、同時期に隆盛した「新感覚派」にも似た手法で
    プロレタリア文学の芸術性を高めたことが知られる
    それは結果的に
    強い暗示力を、作品に持たせることにもなった

    「セメント樽の中の手紙」
    セメント樽の中に入っていた手紙を読むおっさんの話
    手紙は若い女の手によるものだった
    教科書にも載ったりして有名な作品である
    しかし、実際こういう手紙に出会った場合は
    まず送り主の意図を疑うべきであろう
    それができなきゃ高学歴でもオウムの麻原みたいなもんに騙されちまう

    「淫売婦」
    病気の女を使って見世物小屋のようなことをやってる男たちに
    主人公は憤りを感じるが
    どん底の中でみんな必死に生きているのだとわか

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    2019年08月26日
  • セメント樽の中の手紙

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    it's the Proletarian literature! the working poor with mystery in modern. ??×××?? what does mean it? anyone know ?

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    2016年05月24日
  • セメント樽の中の手紙

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    格差社会において、契約に支配され、労働を提供するものをプロレタリアと呼び、その逆をブルジョア階級とする。自らが組織を立ち上げ、ルールを作り、そのルールの中で働きたいという労働者がいれば、この構図が成り立つ。立場の違いが対立図式を生むが、取り替えが効くような価値は、常に立場が弱いのだ。取り替えが効く価値は、機械化しなければならない。同時に、労働者は価値を高めなければならない。資本主義の初期において、労働の価値が著しく低く、誰でもできる技量へのカロリー提供であった時代、この対立は顕著であった。現代社会も、同様の図式を残す。しかし、現代社会は、低質な労働による差別図式もさる事ながら、無気力、無覇気労

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    2015年08月29日
  • セメント樽の中の手紙

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    学校の授業でこのお話を読んで、続きが気になり手に取ってみた。

    はじめの、 セメント樽の中の手紙 は衝撃的…。
    本当に、怖かった…。巻き込まれないことを願うしかない。

    恋人の女性も中々することが怖かったが。

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    2012年09月05日
  • セメント樽の中の手紙

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    物凄く短いんだけどオチは結構好き。

    初っ端のセメント樽の中の手紙はあらすじからなんとなーく内容読めてたけど良い意味での後味の悪さが絶大。
    というか収録作8作品とも不健全で病んでる感じ。とても面白かった。

    短いので同じプロレタリア文学でも蟹工船より読みやすくてオススメ。

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    2010年02月21日