斎藤茂吉のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
万葉集はわれわれ誰もが読むべき宝典であるが、巻二十まで読破しようというのは並大抵のことではない。
歌壇の第一人者が、四千五百有余のなかから、すぐれた歌を選び、誰もが理解でき、味わえるように平易簡潔な解説を付した本書は、万人のための「万葉集入門」であると同時に、「万葉集精髄」を実現したことにもなる。
[ 目次 ]
いはばしる・たるみのうへの(志貴皇子)
かむなびの・いはせのもりの(鏡王女)
うちなびく・はるきたるらし(尾張連)
はるのぬに・すみれつみにと(山部赤人)
くだらぬの・はぎのふるえに(山部赤人)
かはづなく・かむなびがはに(厚見王)
よのつねに・きくはくるしき(大伴坂上 -
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高校生の頃は、和歌といえば新古今。
本歌取りの、たった一語で元歌を象徴する鮮やかさが魔法のようで、惹きつけられた。
一方で万葉集は、なかなかとっつきにくい歌集だった。
万葉仮名からして、ハードルになる。
その上、作者にしても、当時の時代背景にしてもわからなことが多すぎる。
というわけで、その後長いこと避け続けてきた。
それがどういう風の吹き回しか、本書を手に取った。
しかもたまたま手に入った下巻だけを。
読んでみて、どっぷりはまった。
旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐぐめ天の鶴群
遣唐使に随行して難波を発つ子を見送って作った母の歌だという。
広い世界と細やかな愛情の取り合わせにはっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
「万葉集入門」として本書の右に出るものはいまだない。
万葉の精神をふまえて自己の歌風を確立した一代の歌人たる著者が、長年の傾倒による蘊蓄を傾けて約四百の秀歌を選び、簡潔にしてゆきとどいた解説を付して鑑賞の手引きを編んだ。
雄渾おおらかな古代の日本人の心にふれることにより、われわれは失われたものを取り戻す。
[ 目次 ]
たまきはる・うちのおほぬに(中皇命)
やまごしの・かぜをときじみ(軍王)
あきのぬの・みくさかりふき(額田王)
にぎたづに・ふなのりせむと(額田王)
きのくにの・やまこえてゆけ(額田王)
わがせこは・かりほつくらす(中皇命)
わがほりし・ぬじまはみせつ(中皇命) -
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-要は繰り返して読み一首一首を大切に取り扱って、早読して以て軽々しく取扱われないことを望むのである-
日本の心を知ろうとするとき、歴史の変遷や各種文化などを知識として得るのも大事でしょうが、まず、最初のとっかかりは、"ついつい「万葉集」の歌に惹かれてしまう"という気持ちが自然とわきあがってくることで、それがないと、いくら知識を学ぼうとしても意欲がわかないし、もちろん身に付かないですよね。
この本(上下巻)歌人、齊藤茂吉が、4500余の万葉の歌の中から、「国民全般が万葉集の短歌として是非知っていらねばならぬもの」約1割を選んだもの。注釈や評はただのサポート、大意がわかったら