鈴木裕明のレビュー一覧

  • 日本人の「食欲」は世界をどう変えた?

    Posted by ブクログ

    けれん味のない食糧論。

    ・輸入に頼るのは小麦、トウモロコシ、菜種、大豆。当然ながら大規模農業向け作物。一方、米、野菜、魚介類は自給率が高い。

    ・魚介類は65年の自給率は110%だったが、EEZ採用などによる遠洋漁業衰退を背景に現在は62%。

    ・サケはノルウェーやチリからの輸入品(主に養殖)が6割程度を占める。その一方で天然志向が強い欧州に天然サケを輸出する動きもある。

    ・カロリーベースの食料自給率は65年の73%から98年の40%まで低下。その後は横ばい。これは食生活が多様化して肉・油脂の消費量が増えたことが主因。

    ・食物供給を左右するファクターは主に、耕地、水、肥料。
     <耕地>全世界で350万km3の休耕地。ブラジルのセラード(灌木地帯)。日本だけでもその気になれば米の増産はすぐできる。
     <水>世界の穀物生産の6割は天水農法。取水率が高いのは中東、インド、中国。グレートプレーンズなど問題はあるが世界で見れば局所的。
     <肥料>日欧米以外はまだまだ粗放的なのでコストしだいで肥料投入による増産は可能。米内務省推定の経済埋蔵量はリン370年、カリウム290年
     →中国の供給渋りでリン高騰の話もあったが?

    ・異常気象による食糧不足も可能性は低いだろうと。もし日本を異常気象がヒットすると、輸入はリスクヘッジになる。

    ・輸入するお金がないのがいちばんありそうかも。

    ・イベリコ豚、マツタケ(韓国→中国)、サケ(チリ)。これらは日本の輸入で現地に産業が花開く。イベリコを精肉(ハムとかじゃなくて)で食べるのはスペインの一部地方を日本人くらいだとか。

    ・マグロ→こちらは獲りすぎ批判。

    ・日本の輸入が途上国へ与える悪影響はないだろうと。穀物は先進国から輸入しているし。世界的に供給過多なので日本が買ったくらいで値段は上がらない。

    ・ただし欧米の補助金が穀物価格を下げて、途上国の農業を阻害しているかも。
     →途上国がプランテーションで商品作物を生産して、主食は輸入に頼っている問題も踏み込んで欲しかった。

    ・なぜ供給過多なのに価格高騰があるのか?投機マネーのせいだとしている。
     →どこまでの影響か判断が難しいが。。。

    ・グローバリゼーションに関連して、フェアトレード、環境保護、格差問題など論じる。基本的には、うまく折り合って自由貿易を推進しようというスタンス。日本も世界に打って出たほうが良かろうと。

    ・TPPによる全面自由化はおそらく20年後くらい。人口動態含めていろいろ環境が変わっているだろう。そこまでの想像力を持って判断しないといけない。
     →そのとおりだと思う。

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    2018年11月05日