野村修のレビュー一覧
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ヴァルター・ベンヤミンの生涯において、クレーが描いた<新しい天使>は、自身を見つめ直すための存在だった。三人の女性に彼は恋をし、うち一人とは結婚をするが、やがて離婚する。女性に恋をしながら、彼は、その女性を通して彼自身の女性性を見つめていた。彼の人生は常に二重性を帯びている。天使とサタンの。男性と女性の。自身の過去とこれからの人間関係をある日一瞬のうちに見てしまった彼は、人間関係をさまようように、パリの街を徘徊し続ける。抑圧された過去を解放し、それにより現在を未来に開かれた形で再生させるのが彼の願いだったが、ドイツはファシズムに覆われ、彼の試みは挫折する。亡命途中に道を閉ざされた彼は自ら命を
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Posted by ブクログ
パウル・クレーに「新しい天使」という絵がある。
長い間ヴァルター・ベンヤミンの手元にその絵はあって、彼のインスピレーションを生んだ。
ベンヤミンはナチス・ドイツに追われて自殺した思想家。
彼を知ったのは、スーザン・ソンタグの本から。「土星の徴のもとに」。土星はメランコリーの象徴。おそらくこの文章からの引用
「すなわち、ぼくが土星-もっともゆっくりと回転する、廻り道と遅延の惑星-のもとで生まれたという事情を利用しつつ」
何だか訳もわからず、晶文社のベンヤミン全集を買い揃えたのが20年位前のことだろうか。その後飛び飛びながら読み続けているけれど、良くわからないのは現在も変わらない。でも、