坂口尚のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
漫画特集のムック本等でカルト漫画的位置づけにあり興味があったものの、絶版でプレミア化していたため読めずにいました。「初見で大判本買うほどかな…」と思いつつ購入し読み始めましたが、とても心を動かされる作品でした。
無精髭で破戒僧となった一休さんが描かれた数ページで始まり、そこへ至るまでの一休さんの生涯が描かれています。二巻では青年時代まで。
まずもって舞台とする室町時代の寺院や背景の描き込みが丁寧で見開きの使い方も上手く絵画的です。その上で自身の出自や仏教の教えと、貧困に喘ぐ衆生の現実の中で揺れる若き一休の心理描写が素晴らしく、カルト的な評価から想像していたのとは良い意味で違って、とても真っ当に良質な漫画だと感じました。
時代もので宗教系の真っ当な漫画となると退屈な印象を持ちそうですが、幼い頃から青年時代まではとても優等生で、正面から仏教的悟りと自身の内面や現実との葛藤に苦しみ続ける一休が、最後には冒頭で描かれた破戒僧と成り果てる過程が二巻の段階までは想像が付かず、気になって夢中で読み進められました。
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Posted by ブクログ
全巻まとめての感想。
おそらくとても多くの資料を元に一休さんの一生を漫画化された作品。
故に多くの漫画に見られる流れ、エンタメ作品としてのプロットの組み方はされていない。
また、複雑な時代背景についての権力者たちの描写が多く、作中で一休さん周りのエピソードへの強欲が私には芽生えた。
これもしかして禅の修行??
いやまぁ、そういう政治的なところが、仏教、ひいてはそういった世界と一休さんとの描写の緩急が重要なテーマになっているのもわかるんだけど。
権力者たちの話のみならず、猿楽界隈のエピソードが力強く描かれているが、これは……描きたかった……のか??
となる。
かっこいいけど、あまり本作で描かれる一休さんの人生に深く絡んでくるわけでもなく。
いやまぁ、ご子息が少し絡むけども。
絵柄や構図、ポージングはけっこうかっちょ良くて好き。
故にこの描写がしたい! が強く出てプロットよりも優先されてるところもあるのかなと思ったりもする。
良い事とか悪い事ではなくね。
時代もあるけど画風が無理な人もいるだろうなとは思う。
単純に一休さんは魅力的に描かれているけど、それ故に五山叢林側が悪として描かれて過ぎじゃね? ちょっとそれはそれでデマゴーグ的というかプロパガンダ的というか、禅じゃなくね??
とも思った。
まぁその辺り商品として売り出す漫画作品としてバランス取ってたらネームが描けないまま作品として浮かび上がることすら出来ないという感じかも知れないけども。
なんや感やいうて、この作品の一休さんから強く魅力を感じたし、かっこいい描写も多くておもしろかった。
作品評価とは関係ないけど、先に水上勉の『一休伝』を読んでいた。
理由は電子書籍で読めたからで、本作『あっかんベェ一休』最近復刊されるまで読みたくても読めなかった。
はじめから読めたら『一休伝』には手を出していなかったかも知れないので、それはそれで良かったのかも知れない。
縁だ。
なお、絵柄的には坂口尚先生の方が親しみやすいが、物語のテンポ的な意味では水上勉先生の方が読みやすかったり、引用した文献が違うのか、作品としての落としどころの違いか、それぞれの差異を見ながら読み返すのもおもしろい。
なんにせよ一休さんへの興味が増したので、他の文献でいいのがあれば読んでみたい。