鷺沼やすなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
記憶の後退や記憶喪失ものはBLではある種の定番。何故記憶に障害が起こったのか、記憶に障害が出る前の人格と、障害に因って生じた人格を、相対する人間がどう接するのかを苦悩する様と、障害を抜けて元に戻る戻り方の妙、と言うのはミステリを読む醍醐味に非常に似ていると思う。なんでも屋の作家・太夏志と、彼の身の周りと取材協力をしている同棲中の恋人でもある詩草。詩草は感動や表情の起伏の薄い、いつも丁寧な言葉で喋る、年齢よりも落ち着いた印象の青年だったのが、伯父の葬儀に実家に戻って帰ってくる道中で記憶の退行を発症して、11歳の、母と暮らしている少年の心に戻ってしまう。太夏志は11歳の内気で繊細で心細そうな詩草に
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Posted by ブクログ
ネタバレBLかと言えばそうでもなく。JUNEかと言われるとちょっと違うような。
半々の要素があるような。ないような。
恋愛小説と言い切れるほど恋愛でもない。
昭和の匂いがする少し古い感じを受けるけれど、心の問題を取り扱っているので古くて新しいテーマだと思います。
主人公が恋人への持つ「恋情」的な面と「父性」的なのバランスが絶妙です。なんていい男なんだと。
理想の男性過ぎて、魅力があってそのあたりはBLに出てくる理想の男性像なのかなーと。身勝手なところもあるけれど、相手を思いやれるいい男。
そんあ彼から無償の愛情を受けるもう一人の主人も繊細ではかなげで。心に影のある。でも、心の優しい芯の強い人で。やは