ジョージ・マクドナルドのレビュー一覧
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全体的に暗いトーンが漂う、おとぎ話・ファンタジーというよりは、人間の心の中に潜むできれば目をそむけていたいような醜さ(怠慢・傲慢・利己主義・裏切り・謀略)をこれでもかっていうほどデフォルメした物語になっています。 前作のゴブリンもなかなかイヤな奴らだったけれど、今作の人間ほどは酷くなかった・・・・そんな気がしちゃうぐらい・・・・(苦笑) そんな中で「お姫さま」であり「女中」であり、「大きな大きなおばあさま」でもある「善意」がとりあえずの勝利をおさめ、ハッピーエンド・・・・となるのかと思いきや、最後の最後でまたまた影をさして終わるというこの物語。 これはマクドナルドの抱えていた不安の表れな
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なんだこれは。
ヘイトや無知無理解無関心と闘う話じゃないか。
これは絶対大人になってから読んだほうが面白い。
でも子供の頃に読んでいて良かった。細かい内容は忘れていたけれど。
残虐なことになりそうな予感をみせつつも、ひどい出来事はおこさせない。
子供向けのモラルを守ったままでも、こわいことは描けるのか。
子供にひどいことを伝えようとすると、見た目の怖さに気を取られて肝心の中身が伝わらなかったりするから、こういう配慮は大事だ。
拷問ではなく、拷問を発生させる状況の恐ろしさを描くような、配慮と信念のバランスが良い。
そういう部分が「銀の森の少年」と逆で好きだ。
訳がとてもいいけれど後書きの幸せ -
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ネタバレ主人公の純粋さと真っ直ぐな心根が、物事をよい方向に切り開いて行く様が、灯火のように感じられるストーリー。彼の振る舞いは今のように苦しい時代には参考になるようにも思う。周囲の悪意を相手にしない、正しいと信じたことを実行する、思い込みを捨てて素直に物事を受け入れる、何より本質を見ること。惑わされないこと。
しかし彼は、純粋さと悟ってしまったゆえに早くに天に召される、予想通りの結末になってしまった。ある意味北風のうらがわの国に魅せられていたから仕方のないことなのか。キリスト教的な考え方をある程度飲み込んでいないと、理解しがたいかもしれない。
他には当時のロンドンの様子がよくわかり面白いというか、主人 -
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ネタバレこの作品に影響を受けたというナルニアをたしかに思い出すところもあった。でもナルニアほど宗教くさくないのがふしぎ。むしろ聖人たちが世俗的なキャラクターとして登場したり。
真の純粋さを持っているのはダイヤモンドだけで、彼が救ったナニーだって、そんなダイヤモンドのことを、頭のねじがゆるんでいると思っている。
「北風のうしろの国」について直接書かれた部分は意外なほど少ないのだけど、それを心のなかにずっと抱いているダイヤモンド坊やが、それを自らの力として生きていくあたり、けっこうファンタジーの力を理念的にえがいているような気もしないではなかった。
ヒノヒカリ姫の話が、とてもきれいで好きだった。 -
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ジョージ・マクドナルドの『お姫さまとゴブリンの物語』の続編。
一冊目もそれで一応完結しているけれど、やはり続きがあるなら読んでみたいと思わせる…で、こちらも。
やはり、描写も展開も面白かったが、古きファンタジックな物語というには、懲りない愚かな人間たちのありさまがあまりに象徴的に描き出されていて、むしろ現代の一面を語っているようで恐れ入ります。
ヒーローとヒロインは結ばれてその時代は栄えたというものの、その後の結末が暗いといえば、そうではあるが、こういうことも歴史がたびたび物語ってきたようにありかもしれません。
いずれにせよ、現代に生きる私たちは、もうそれぞれが愚行をやめる時期ですけどね。 -
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以下、引用。
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「これ、すてきじゃない、母さん?」と、ダイヤモンドは言った。
「ええ、きれいね」と、母さんは答えた。
「何か意味があると思うんだけど」と、ダイヤモンドは言った。
「母さんにわかるのは、さっぱりわからないってことだけよ」と、母さんが言った。
49
この本を読んでいる子どもたちのなかには、天才ってなあにと思う子もいるかもしれないが、さて、説明したほうがいいだろうか、それとも、やめておいたほうがいいだろうか? では、ひとつ、ほんの短い答えだけを書いておくとしよう。天才とは、だれにも説明してもらわないで、物事の本質を理解する人だ。神さまは、ときどきそういう人たちをお創りになって、 -
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今年の目標のひとつとして放置していた「岩波少年文庫を読む」を再開しようというのがありまして、手始めに冬っぽいタイトルのこちらを選んでみました。
まずタイトルが素敵です。原題は『At the Back of the North Wind』、1871年の作品。
コバルト文庫に小林弘利『星空のむこうの国』というのがありますが、あきらかに本作に影響を受けたものでしょう。
「北風のうしろの国」を旅するファンタジーかと思いきや、ファンタジーというよりはSF?宗教?のような設定もあり、「北風のうしろの国」がでてくるのはダイヤモンド少年が語る一部のみ、ストーリーの大半はロンドンで暮らす少年一家の物語で、こ -
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ネタバレもう一度北風のうしろの国へ。
ダイヤモンドは父を助けて辻馬車の仕事をし、病気になった貧しい少女ナニーを助け、生まれた子どもと歌を歌う。美しい北風に再び会い、共に旅する日を楽しみに。
純粋で優しく賢い子ども。ナニーとジムは頭が弱いというつもりでダイヤモンドを「神さまの赤ちゃん」と呼ぶがこれほどダイヤモンドを表した呼び名もないだろう。疑いもせず、夢の世界を本物として愛するダイヤモンド。天使の夢のあたりから、この子は長く生きられないことがわかっていたかもしれない。北風との旅の様子はまるで銀河鉄道の旅のよう。悲しみの中にきらめきを残したラストだった。 -
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めでたしめでたしの続き。
ゴブリンを倒したカーディは、塔の大きな大きなおばあさまから王国とお姫様を救いに旅立つよう言われる。城に向かったカーディが見たのは、王国の腐敗と病に倒れた王の姿だった。
うまくいくのはいいのだが、エンディングがまさかの展開。解説によれば著者は当時あまりよい状況になく、悲観的な気分が作品に出たのではないかとのこと。しかし、決してうまくいっているとは言えない現代でこの物語を読むと、正しいことが続かないこと、信じることの難しさ、誠実や忠誠の清々しさをひしひしと感じる。
醜いが忠実な獣リーナとその仲間たちは、前の巻ではゴブリンの家畜として忌み嫌われていた。しかしこの巻では -
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ネタバレ貧しい御車の息子ダイヤモンド坊やは、ある時から「北風」に誘われてあちこちの旅に連れて行ってもらうようになります。
ある日嵐を起こして船を沈めると言う北風から「北風のうしろの国」のことを聞かされたダイヤモンドは、自分もそこへ行ってみたくなり、北風に頼みます。
北風はそれを聞き入れ、彼は「北風のうしろの国」へ行きます。そこは穏やかな満たされた場所でした。
お母さんのことが心配になったダイヤモンドは自分の世界に帰りますが、そこでは彼は、病気で7日間も眠り続けていたのでした。
「北風のうしろの国」から帰った彼は、その後出会う人たちにたくさんのいい影響を与え、本物の「北風のうしろの国」に旅立っていくので -