プルーストのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スワンは、オデットに恋心を抱き頻繁に逢うようになる。
やがて、スワンは、オデットの言動に疑いを持ち、強い嫉妬に駆られる。
だが、幸福な時は短い。
スワンの中にもう一つの疑念が生まれ、追うほどに彼の前にオデットの新たな相貌が現れる。
この辺りのプルーストのメスさばきは、氷のようだ。/
スワンの孤独な横顔に惹かれる。
彼は、田舎娘を貴婦人と見間違うドン・キホーテのようだ。
彼がオデットの中に見ていたボッティチェリのチッポラは、跡形もなく打ち砕かれる。
やがて、スワンにも結晶解体の時が訪れる。/
彼はまた、自らの意見を昂然と口にするがゆえに、ヴェルデュラン夫人の不興を買い、サロンから追われる。
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Posted by ブクログ
たいした読書家でもない僕が、なぜ、先日やっと吉川一義訳の岩波文庫版を読み終えたばかりの、この作品を読もうと思ったのか?
ひとつには、高遠先生が「文学こそ最高の教養である」の中で引用していた
『プルーストによって開かれた感受性と知性とを使って、自分たちが生きている世界、自分たちの人生を見直しなさい』
(アラン・ド・ボトン『プルーストによる人生改善法』)
という言葉に、蒙を開かれたような気がしたからだ。
この言葉を胸において、もう一度全巻を読んでみたい。とりわけ、「見出された時」を、と思ったのだ。
もうひとつの理由は、最近気になっているプルーストとヌーヴォー・ロマンの関係について、少し探ってみ -
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ドレフュス事件によって分断されてゆくヴィルパリジ夫人のサロンの様子と、死にゆく祖母の様子が描かれる。/
祖母の最期を描くこの巻は、老いた母を抱える身には、この物語の胸突き八丁かも知れない。
どうしてもプルーストが描く祖母の末期の様子が、母の姿と重なって見えてしまうのだ。
こんなことは四年前に吉川一義訳を読んだ時は思いもしなかった。
プルーストのこの物語は、流れる雲の位置によってその陰影を変化させてゆく山の端の木々の葉叢のように、読み手のその時々の心のありようによって七色に色彩を変えてゆくのだ。/
ヴィルパリジ夫人のサロンにおけるスノビズムにみちた会話の相克を読んでいると、ナタリー・サロー -
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ネタバレ語り手の初恋、スワンの娘・ジルベルトとの恋についてあれこれと語り手が考えを巡らせるが、ジルベルト自身の印象は薄く、スワン一家、特に第一部のタイトル「スワン夫人のまわりで」が最初から最後まで通底している印象の第3巻。
ジルベルトは語り手の中のこうあってほしいと思う理想のジルベルトが描かれ、スワン夫人(オデット)については、服装、趣味、会話が事細かに描かれている。
話の筋としては単純なのに、その情景も空気も心情も丸ごと作品に閉じ込められている。
流麗な文体の中に語り手の若さが出ていて(憧れの作家に会いその風貌に落胆したり、相続した壺を売って「毎日ジルベルトに花を贈ることができる」とウキウキす -
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ネタバレ~P475「スワンの恋」、P476~「土地の名・名」という475頁まで語り手の私ではなくスワン(と高級娼婦オデット)の恋が綴られている。
スワンの恋情のすべてが綴られている、恋に落ち、夢中になり、嫉妬し、そして唐突に心が変わる。人の気持ちだけで475頁!普段読んでいる小説だと考えられないボリューム。スワンがあるグループから冷遇されるぐらいで(少し「浮気してる?」っぽい描写はあるものの)大きな出来事は起こらないのにこれだけ書けるってプルーストすごいなぁ。恋情すべてを書くとこの頁数になるのか…。
次のパートは語り手(私)の恋。スワンが大人の恋、こちらは青年の恋で躍動感に溢れている。自分からじゃ -
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ネタバレ私(語り手)の幼少期から物語が始まり、美しい風景描写、当時の貴族社会の人間模様、それらが語り手の世界のあちこちに漂っていてそれが順序関係なく語られていきます。
形式に慣れるのに時間がかかりました(´∀`)文章一つ一つは長いものの訳文は読みやすいです。訳者さんが粉骨砕身されたことがうかがえます。
内容を追っていくのではなく、内容に揺蕩うように読む、が正解なのかな。優雅な読書。
1つの出来事が起こると語り手はそこからどんどん自分の中の想い出を語っていきますが、私たちが読書中に「ああ、こんなこと私にもあったな。」と想起することに似ている気がします。
有名なマドレーヌのくだりはP116~P12 -
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小説の中の恋愛というと、ロマンティックでドラマティックで…という先入観にも似たイメージがあり、実際そうした小説も多い。フランス小説となればなおさら。けれど、この『失われた時を求めて』第二部「スワンの恋」で描写されるスワン氏の恋愛は、とことんリアルである。恋の始まり、思いが通じて盛り上がる蜜月期間、相手の心が遠ざかるにつれ深まる苦悩。それらの経過すべてが、幻想を相手にした思い込み、独り相撲のような空回りとして淡々と描かれ、容赦のないその筆致は可笑しくも残酷なほど。
特別な思いを持っていなかった時にふと感じた、好んでいた絵画の人物像に似た一瞬の印象。そして当然会えると思っていた時に会えなかったこと -
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恋人というのは、信じているさなかでも疑ってしまうものであり、その心を我がものにすることなど決してできない。
心理学の教科書には必ず、マドレーヌの香りで記憶がよみがえる箇所について言及される本書。一度は読んでみたく気軽に手に取ってしまったのだが、14巻まであるということで長い旅路になりそうだ。それにしても語りが長い。カラマーゾフもお喋りだと感じたが、こちらの方が勝ちかもしれない。そしていつの間にか違う話題になっている。普通なら結論のない話にイライラしてしまうところだが、そこは20世紀を代表する小説。いつの間にか引き込まれていってしまう。そして気づいたら同性愛の話になっていた!訳はすらすら読むこ