巨大マスコミは、ニュースを届けてくれるのではありません。
巨大マスコミは、何をニュースとするのかを決め、そこに一定の意味を加えることができます。そして、事実そうなっています。
それは、消費者のものではなく、発信者のものでしかありません。
発信者と受信者のバランスはそこでは既に失われています。
資
...続きを読む本主義のしくみの中では、ジャーナリズムに限らず、必ずしも良質のものが生き残るとは限りません。
だからこそ、消費者である一人ひとりに本来求められるハードルは高い、はずです。
世界のクォリティペーパと呼ばれたインターナショナル・ヘラルド・トリビューンンも、近年はその役目を果たせずもがいています。
ほんの2・30年前の記事とくらべても、その格差は明確であり、悲しみの感情さへ抱きます。
資本主義が我々人間が創りあげ・選択したしくみの一つなのであれば、我々はその中で、強いものだけを残すのではなく、残すべきものを残す運用を試行錯誤し続けることが求められるのだと考えます。
本書は、経済のクオリティペーパとして過去に名を馳せたウォール・ストリート・ジャーナルの没落の内情を、関係者への取材をもとに、物語風?に書きあらわした一冊です。
その作風のためか、どこまでが事実で、どこまでが脚色なのかが分からなくなってしまっており、残念ながら私が期待したものを得ることができませんでした。
あくまで私が期待したものに対しての感想です。
読み物としては、一読の価値がある一冊だと思います。