幣原喜重郎のレビュー一覧
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英米協調外交で知られる外交官・政治家幣原喜重郎の半生を口述筆記した作品。
自分のイメージでは幣原外交=軟弱外交であり、日本の国益を損なう側面があったように感じており、幣原へのイメージはどちらかといえばネガティブなものであった。
ところがどっこい、この本を読んでみると、幣原の人柄やユーモア、外交官としての自負心など、今まで見えなかったものが見えてきて、少し幣原のことを好きになれました。
違う国に育ったもの同士でも、言葉や行動を通じて互いに尊敬しあったりできる。
外交というものについて、少しだけ考えることができた。
特に印象に残ったエピソードは、マッカーサーとの会見中に、幣原がシェイクス -
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大正から昭和初期にかけて幣原外交といわれる協調路線を展開した外交官、幣原喜重郎の回顧録。
彼の失脚を契機に、日本は軍国主義、孤立主義に猛進する。
回顧録という、当事者の生の声ほど、歴史的に貴重な情報はない。
以下抜粋~
・小村さんが帰って来られた日、私が涙の出るほど感じたことは、汽車が新橋駅に着くと、出迎えの桂さんと山本(権)さんが、すうっと汽車の中に入って来られ、何か耳打ちしておられた。そして出て来るときは、小村さんを真ん中に、三人でがっちり腕を組んで、降りて来られた。それは小村さんが帰って来たら、ピストルを撃ちかける計画があったことが、警視庁から報告されていたので、それならば一蓮托生、一 -
Posted by ブクログ
幣原の対米協調外交が築いた日本外交への信頼の意義は決して小さくない。中西輝政氏のようにこの点を見ずに、幣原の対中不干渉政策の非現実性のみを捉えて、それが全ての元凶であると結論するのはあまりに極端だ。然りとて岡崎久彦氏の如く対米協調さえ守っていれば日本は安泰と言わんばかりの幣原礼賛も明らかにバランスを失している。ともあれ幣原の次の言葉は良くも悪くも幣原外交の本質を言い当てている。「幣原外交の実体は何か・・・それは1+1=2あるいは、ニニが四というだけである。・・・ニニが八というような、道理に合わないやり方、相手を誤魔化したり、だましたり、無理押しをしたりすることを外交と思ったら、それは大間違いで