三浦順子のレビュー一覧

  • 声なきものの声 中国との闘争 ダライ・ラマ自伝

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     今年(2026年)7月、御歳九十一を迎えたダライ・ラマの、おそらく最後の自伝であろう。
     1959年のインド亡命以来、70年にわたる闘争の日々、思いを綴ったものだ。

     中国国内のみならず、周辺諸国への圧も増す、現在の習近平政権。その将来、方向性も本書の記述から窺い知れる。「百年国恥」を拭い、失地回復を目論む中国の動向に、一層、注目すべきことを、チベットの舐めた辛酸の歴史から垣間見ることができる。

     とはいえ、インド古代哲学由来の非暴力(アヒンサー)に徹することの是非も、今は問わねばならないのかもしれない。 悲しいことに……。

     ダライ・ラマ十三世(ひとつ前のダライ・ラマ)の遺言を引いて、著者自身も、こう語る。

    ===(以下、本書より引用)===

    「差し迫った災厄から自らを守るためにあらゆる努力をすべきである。それが適切なら、平和的な手段を用いなさい。しかし、必要とあれば、力に訴えることをためらってはいけない。」

    ダライ・ラマ十三世亡き後、チベット政治を率いる者たちも摂政も、彼の警告の深刻さや緊急性を理解できなかったのはまさに悲劇といえよう。つまるところ、この遺言はほとんどにおいて正しかったことが証明されたのだ。

    ===(引用、以上)====

     でも、最後まで人間性(ヒューマニティ)に期待したいとも、著者は言う。

     難しい問題だ。

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    2026年08月10日