瀬谷ルミ子のレビュー一覧
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本書は日本人の著者が、紛争の武装解除のプロとして、24歳に国連ボランティア、30代で各国の注目を集めるに至るまで、いくつもの組織を渡り歩いてきた半生を振り返りながら語る本。群馬の田舎にうまれた著者がどういったきっかけで武装解除に興味をもち、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなど、世界の紛争地に赴き、何を考え仕事に取り組み、感じてきたのかを描いている。
紛争地というのは今自分が住んでいる日本の地とは環境が異なりすぎていて、ニュースで見ていても現実感をもって理解できない。もちろん過酷な生活が行われているとはわかってはいるものの、個人として何ができるのか、どうやれば生活を安定 -
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ネタバレちょうど読み終わったのですが、これ、素晴らしいです。NHKスペシャル「ヒューマンエイジ(第2集 戦争)」に出演されたことから、2015年の文庫版(単行本は2011年)を読んでみたのですが、実体験をもとに提言される日本の指針には思わず鼓舞されます。
著者は、高校生のときにルワンダ難民の親子の写真を見て、紛争地帯の問題解決に携わることを決意。自らあちらこちらと接触するうちに、英国ブラッドフォード大学に「平和学部」があることを知り英国留学。やがて、「DDR(Disarmament:兵士の武装解除、Demobilization:動員解除、Reintegration:社会復帰)」という専門分野を見 -
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特に高校生や大学生といった若者に読んでもらいたい本です。
” いまの自分の状況、日本の復興、世界の紛争地の現状。何かがおかしい。何かを変える必要があると思うのであれば、まず、私たち一人ひとりが持つ「自由に行動できる権利」の使い方を考えてみてほしい。
最初の一歩勇気を出して踏み出すだけで、いろんなことが動き出し、見える世界が大きく変わり、出会う人々が大きな変化を与えてくれる。(P6)”
この著者の言葉はまさしく彼女の体験から出てきた言葉で、本書を通してそのことを体験できます。
世界は今も昔も混沌としていて、世界のどこかが問題を抱えている。それを見ぬふりをして過ごすこともできる。でも、 -
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本書で繰り返し言及されていることの一つが「日本の持つ中立性が紛争解決に役立っている」という事実である。第2次世界大戦以後軍事作戦に参加してこなかった事実が、紛争地の人々の信頼を勝ち得る要因になっているという。
日本の政府はこの現実をどれくらい直視して近年の法改正を実施したんだろう。
もう一つあわせて述べられているのは、見事な戦後復興を遂げた日本の姿に紛争地の人々は希望を見出しているのだそうだ。日本の復興のノウハウを現地の人々は知りたがっているという。
原発以外にも輸出するものがあるんじゃないか。日本。
そんなことを考えながら読み終えました。 -
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戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
そんな職業があるんですね!
積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
日本人だから出来ることがあるという。
一見、ごく普通の女性に見える。
瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。
勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
明るくて人気者の弟。
どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ -
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なぜ、この本を読むことになったか、キッカケを覚えていない。高校時代に見た新聞記事で、人生ここまで進んできた彼女は本当に凄いと思う。「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれるのも当然である。日本での評価が低いと思いましたが、NHKの仕事の流儀に出ていたんですね。最近知った自分が恥ずかしいです。「できないこと」と「やらないこと」の区別に対する考え方は、全ての仕事に通じる。NHKの番組でコメントされたのでしょうね。以下のコメント文がHPにありました。「やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になる。それをせずに改善をするための方法を考
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先日、瀬谷 ルミ子 氏 による「職業は武装解除」を読み終えました。
何かの書評欄を見ていて気になった本です。とても興味をひくタイトルですね。
著者の瀬谷ルミ子さんは、国連をはじめ幾多の国際的組織で活躍している「武装解除」のプロとのこと。本書は、その瀬谷さん自らの手による半生記であり、活動ドキュメンタリーです。
読み終えてみて、久しぶりに、「できるだけ多くの人に、この本を手にとってみて欲しい」という気持ちを抱きましたね。老若男女誰でもOKですが、今後の進む道を模索している(若い)皆さんには特にお勧めです。自分の将来を考えるうえで、素晴らしい刺激になるでしょう。 -
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ブックファースト新宿店開店16周年記念名著百選2024で、三宅香帆さんが推薦していた本。
著者の職業は、ルワンダやソマリアで兵士たちの「武装解除」をサポートすること。
仕事する日々やその職業に至るまでの道のりを綴ったエッセイ。
他国の政策に関わる様子や、権力者との生々しいやり取りも記載されており、人間として仕事遂行能力、問題解決能力が凄すぎて、同じ人間か!?と疑うレベルです。
国際支援、NGO、国連等に関心のある人はもちろん、こんなに優秀で凄い日本人が世界で活躍しているんだということを多くの人に知ってもらいたいなと思いました。
自分の選著眼ではぜったいに出逢わない本なので、ブックファー -
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「自分の人生の決定権が、自分にある」
ということが、どれだけ貴重なことで
すばらしいことなのか
今まで気づいていなかった
改めて考えたことも正直なかった
日々の日本で暮らすこの平和な日常が
不変ではないということ
永続ではないということ
容易いことではないということ
それを築き上げた先人の努力のもとに
成り立っているということ
そして、それは現代の人々が守ろうとしなければ
あっという間に失われてしまうかもしれないということを
気づくきっかけになった
平和ボケしているなんてよく言われるけれど
本当にそうなのかもしれない…
世界はそんな安定したものではないし
この平和な日常は努力なしに続くもの -
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武器を取り上げれば、平和になるなんて簡単なことではない。紛争地には、家族や家や仕事、いろんなものを失った人々がたくさんいる。武器を取り上げたところで敵対感情がなくなることはない。でも、再び紛争にならないように武器は回収しなければならない。そして、今まで兵士だった人々には職業を与える必要があるし、職業訓練も必要だ。一方で、家族や家や仕事を失った一般人にも支援が必要だ。
「紛争が終わって和解」と言葉では簡単に言えるけれど、その場所が、そこで暮らす人々にとって、本当に平和に自由に暮らせる場所になることは簡単なことではない、と思い知らされる。
著者が高校生の時に、一枚の難民キャンプの写真に出会って -
Posted by ブクログ
彼女の前に道はなく、彼女の後に道はできた。これが大げさでもないというのがすごい。
DDR(兵士の武装解除Disarmament、動員解除Demobilization、社会復帰Reintegrationの総称)という単語がまだ(ほとんど)世になかった時期から、それを志したのだから。
その道のりを書いた前半が迫力に満ちているので、相対的に後半が霞んでしまう。
紛争の現場で起きていること、その対処プロセス、日本が果たせるであろう役割、といった事柄が。それらを伝えたくて本を書いたという面もあると思うのだけど。
(記憶に残る部分)
ソマリアでのガールズトーク「ソマリアの恋愛市場で人気のある男性って、