瀬谷ルミ子のレビュー一覧
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瀬谷ルミ子さんの本を読むのは二冊目。前半は児童向けに『職業は武装解除』の内容と同じで、なぜこの仕事を選んだのか、武装解除とはどのような仕事なのかを説明しています。
前著では、祈るだけではなく、行動して平和を築く重要性を説いていたのだけど、どうやって平和を作るのか?また、紛争を予防する方法は?
その具体的な方法や考え方を知りたいと思っていたところだった。
本書のなかで私が知りたかった、平和をいかにして作るかが具体的に書かれており、人を変える、仕組みを変える、社会を変えるという段階をふみ、時間をかけて実践する様子がよく理解できた。この方法は紛争地だけではなく、いわゆる荒れた地域や、荒れた学校といった場所でも通用する考えではないかと思う。
前著でも知っていた話であっても、再度読むことで紛争地の人々の切実な声には、響くものがある。
戦争を乗り越え、復興を果たした日本だからこそ、できる役割もある。
ぜひ、多くの人に知ってもらいたい。
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とても学びの多かった本。実は今後、この本の一部を教室で取り上げるのだが、引用箇所はそんなに面白いと思わなかった。一冊読めば印象が変わる。知らないこと、想像もしたことがないことがたくさんあり、問題解決のために、どのように立ち振る舞うかを伝えてくれる。エッセイなのでさらりと読めるが、何度か読み返して自分のものにしたい言葉に溢れていた。
こうしたいと思った時、それを貫き通す姿勢、本当に尊敬する。
文庫本後書きの、日本人は実務的な平和活動に対する知識や、コミュニケーション能力(誰かと仲良くなるというのではなく、対立する相手に対して交渉して自分の意思を伝える能力)が不足しているという指摘は、すごく頭に残った。
どの国よりもおそらく平和な国である日本。けれどもその平和を維持しているものはなんなのか、本当のところ、よくわかっていない。次世代に平和を訴えかけるだけではなく、何かする必要があるのではないかと思わされた。
武装解除という職業自体がなに?それ?と想像もつかない。いや、イメージはできる。戦争している人の武器を取り上げるんでしょ?どうやって?疑問ばかりが頭に浮かぶタイトル。そのイメージもあまりにも単純なものだったと言わざるを得ない。武器を手放したから解決ではない。武器を持つ生き方しか知らない人たちをどのように社会復帰させるのか、課題もたくさんあり、悩みながらもできることをやり続ける瀬谷ルミ子氏には勇気をもらった。 -
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10年以上前の書であり、戦争という面では世界情勢は当初より良くない方に傾いている。が、しかし本書内容は色褪せていない。
戦後の兵士たちの武装解除、親族•家財•職を失った市民達の自立、これら無くしては本当の平和は訪れない。この戦後処理には他国の支援が必要である。しかし支援は過剰になってはならない、あくまでも現地の市民が自発的に自立してくように誘導しなくてはならない。この作業は危険かつ頃合いが難しいので、著者のような実地経験豊富なプロフェッショナルが必要である。なんと言っても驚かされるのは、著者が戦争やテロのないこの国の人日本人であることである。
高野秀行さんの作品をよく読むが、彼が危険な国、例えばソマリアなど探訪している一方で、もしかしたら同時期に著者が戦後処理活動をしていたのではと思うと感慨深い。
テレビドラマの見過ぎかもしれないが、著者のように戦後処理のプロフェッショナルがいるのだから、戦争やテロを未然に防ぐプロフェッショナルな組織があってもおかしくないなぁと思ったり、、
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息子が学校で読書感想を書く課題になった本で、家にあったので手に取って読み始めた。
武装解除という職業を見つけるまでのエピソードのなかで「自由に行動する権利」というとこを、高校生の時に気付いた作者に驚かされ、そこからの熱意と努力、行動力は尊敬できる。
自分の知らないところで多くの紛争があり、理不尽な殺戮が繰り返されている。読み進めるにつれて、平和ボケしている典型的な日本人である私は恥ずかしくなった。
日本では憲法改正が議論となっているが、同時に世界平和も考えていかなければならない。作者が投げかけている日本に何が出来るのか考えていかなければならない。
この本は、そんな日本に一石を投じている。
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本書は日本人の著者が、紛争の武装解除のプロとして、24歳に国連ボランティア、30代で各国の注目を集めるに至るまで、いくつもの組織を渡り歩いてきた半生を振り返りながら語る本。群馬の田舎にうまれた著者がどういったきっかけで武装解除に興味をもち、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなど、世界の紛争地に赴き、何を考え仕事に取り組み、感じてきたのかを描いている。
紛争地というのは今自分が住んでいる日本の地とは環境が異なりすぎていて、ニュースで見ていても現実感をもって理解できない。もちろん過酷な生活が行われているとはわかってはいるものの、個人として何ができるのか、どうやれば生活を安定させられるのかなんてとても難しい問いだと思い真面目に考えたりもしなかった。
ただ著者は、自分でその道を開拓する。当初は好奇心から現地の人々に接触する形になってしまい、現場と目線が擦り合わずうまくいかないといったこともあったが、経験を経るにつれ現場の人と同じ課題感をもって取り組むことができるようになった。
自分が本書で特に響いたのは、紛争後の平和では加害者に対しては恩恵が与えられるが、被害者は数が多いこともあり恩恵が与えられず苦しい生活が続いてしまうこと。被害者は家族を失い、家を失い、体に障害が残ったりもしながらも「平和」のために加害者の裁きも諦め、理不尽さも飲み込み、自らの正義を主張することすら諦めているということ。「平和」のイメージは今まで喧嘩両成敗のような痛み分けをして落とし所をみつけるようなイメージをもっていたが、実際のところ被害者の数やバランスの関係上、被害者は我慢を強いられることの方が多い、というのはなにかやるせないものを感じた。 -
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ネタバレちょうど読み終わったのですが、これ、素晴らしいです。NHKスペシャル「ヒューマンエイジ(第2集 戦争)」に出演されたことから、2015年の文庫版(単行本は2011年)を読んでみたのですが、実体験をもとに提言される日本の指針には思わず鼓舞されます。
著者は、高校生のときにルワンダ難民の親子の写真を見て、紛争地帯の問題解決に携わることを決意。自らあちらこちらと接触するうちに、英国ブラッドフォード大学に「平和学部」があることを知り英国留学。やがて、「DDR(Disarmament:兵士の武装解除、Demobilization:動員解除、Reintegration:社会復帰)」という専門分野を見つけて、アフリカなどの紛争地帯に単身乗り込んでこれを実践。武装解除をしても、武器はそのまま残され、精神的苦痛や周囲との軋轢などから、一市民として生きるようになるには、こうしたDDRが必要なことがよくわかりました。
実践を続けるうちに、「文句をいうだけじゃなくて、自分が日本をどこまで変えられるか、やってみたら?」と自問し、やがて「個人は傍観者ではなく、行動するものとして施策に影響を与えうる役割がある」という考えに至ります。海外では「日本人」として見られ、それは「日本」という国の評価がどうかで変わってくる経験を通じ、「自分の国が行うこと、つまり日本政府の方針と自分は無関係ではいられないことを痛感した」とあります。
世界の国々へは、「日本のもつ中立性と大戦後の復興の経験が、世界各地の紛争地域に大きな(良い)影響を与えているという事実」があり、これを踏まえて、「資金協力か自衛隊派遣かの二択ではない」「独自の非軍事分野での平和貢献を強化することで果たせる役割がある」と述べています。「日本が背負ってきた歴史的経緯は、他の国がどれだけお金を積んでも手に入れられない価値を持っている」というのは、この本を読んで今更ながら「なるほどな~」と思いました。昨今の緊迫した情勢から賛否ありかと思いますが、実体験を踏まえた提言には重みがあります。
ただし、決して堅苦しい本ではなく、現地での痴話話(といっても暗殺者が出てくる)や海外での珍体験も豊富。実践の重みをつくづく教えてくれる一冊です。 -
Posted by ブクログ
特に高校生や大学生といった若者に読んでもらいたい本です。
” いまの自分の状況、日本の復興、世界の紛争地の現状。何かがおかしい。何かを変える必要があると思うのであれば、まず、私たち一人ひとりが持つ「自由に行動できる権利」の使い方を考えてみてほしい。
最初の一歩勇気を出して踏み出すだけで、いろんなことが動き出し、見える世界が大きく変わり、出会う人々が大きな変化を与えてくれる。(P6)”
この著者の言葉はまさしく彼女の体験から出てきた言葉で、本書を通してそのことを体験できます。
世界は今も昔も混沌としていて、世界のどこかが問題を抱えている。それを見ぬふりをして過ごすこともできる。でも、関心を持って、自分に何かできることはないかそう考えていきたいと思う。「世界のどこかが問題を抱えているときに、その解決のために連携し合うことは、回りまわって将来の自分たちの問題解決にも繋がっていくのだと思う。」と著者の言う通りだと思うから。 -
Posted by ブクログ
本書で繰り返し言及されていることの一つが「日本の持つ中立性が紛争解決に役立っている」という事実である。第2次世界大戦以後軍事作戦に参加してこなかった事実が、紛争地の人々の信頼を勝ち得る要因になっているという。
日本の政府はこの現実をどれくらい直視して近年の法改正を実施したんだろう。
もう一つあわせて述べられているのは、見事な戦後復興を遂げた日本の姿に紛争地の人々は希望を見出しているのだそうだ。日本の復興のノウハウを現地の人々は知りたがっているという。
原発以外にも輸出するものがあるんじゃないか。日本。
そんなことを考えながら読み終えました。 -
Posted by ブクログ
戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
そんな職業があるんですね!
積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
日本人だから出来ることがあるという。
一見、ごく普通の女性に見える。
瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。
勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
明るくて人気者の弟。
どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ大虐殺の難民キャンプでの、幼い子供‥
そんな環境にいる人に比べて、自分は努力しだいで色々なことが可能になることに気づいたという。
役に立つにはどうしたら良いか、進路を模索していく。
日本の大学で政治を学ぶが、やりたいことが出来るコースが存在しない。
そこで諦めるのではなく、誰もやっていないのなら就職口があるかもしれないと考えたそう。
卒業後、英国で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどものすごく大変な土地へ。
国連PKO、外務省、NGOの職員として、紛争を終結させることに携わってきたのですね。
まず兵士に武器を返還させるために、お金や仕事、農機具、職業訓練などを交換に与える。
そうしないと、武器を持った兵士に職がなくては、強盗や暴動が起こって、また逆戻りしてしまうから。
兵士に村や家族が襲われた記憶も新しい人々にとっては、兵士が罪をとがめられずにそんな得をするのは見ていて苦しいのだが‥
先に兵士を優遇しなければならないのは、そういう理由がある。
アフガニスタンでは、日本人のあなただから武器を渡すと兵士たちに言われる。アメリカ人やイギリス人なら撃ち殺すと。
アフリカでは、植民地支配をしたことがないと評価される日本。
それに、第二次世界大戦で荒れ果てた日本が復興した様子は希望となっている。いつか、日本のようになれるのではないかという。
日本には、そういう価値があるのだということ。
そういう歴史的価値を背負った日本人。
平凡な一人に出来ることは少ないかもしれないが、決して、なくはないのだ。
傍観者としてではなく、関わっている当事者として考えてみること。
世界で起きていることを少しでも知ること。
この本のご紹介を書くことも、その一歩のつもりです☆ -
Posted by ブクログ
なぜ、この本を読むことになったか、キッカケを覚えていない。高校時代に見た新聞記事で、人生ここまで進んできた彼女は本当に凄いと思う。「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれるのも当然である。日本での評価が低いと思いましたが、NHKの仕事の流儀に出ていたんですね。最近知った自分が恥ずかしいです。「できないこと」と「やらないこと」の区別に対する考え方は、全ての仕事に通じる。NHKの番組でコメントされたのでしょうね。以下のコメント文がHPにありました。「やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になる。それをせずに改善をするための方法を考えて実行するのがプロフェッショナルだと思います」これを、アフリカのDDRの仕事を通じて、言い切る彼女の強さを尊敬します。
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Posted by ブクログ
戦後の壊滅的な状態から復興し、世界有数の経済大国になっていることと、支援を行う際に政治的な思惑を突きつけない中立な国という意味で、日本はとても珍しい国らしい。
世界各国の紛争地域の人々からみたら、日本は希望であり、日本人の指導なら受け入れるというのだから驚き。
本書では、危険な紛争地域で、平和構築や武装解除といった仕事をされている人たちの取り組み、その難しさと意義を知れた。
一番印象に残ったのは、武器解除と引き換えに兵士は無罪にされ、経済的に不満を抱かないよう手に職をつける権利まであるということ。
一方、被害者の数は圧倒的に多く、加害者と同じレベルの恩恵が行き渡ることはない。
犯罪に問われる恐れがあるのに武装解除や和平に応じる兵士はいなし、安全を確保するためにやむを得ないとはいえ、理不尽を飲み込まなくてはいけない被害者側の気持ちを思うと心が痛い。
身寄りのないストリートチルドレンが、今まで彼らのことを思って支えてくれる大人がいなかったために、支援に対して涙する話に胸が詰まった。 -
Posted by ブクログ
文芸評論家の三宅香帆さんが推薦していたのを知り、手に取った作品。
インパクトのあるタイトル『職業は武装解除』「そんな職業あるの?」と、とても興味を惹かれた。
一番驚かされたのは著者のDDRの専門家になるまでのプロセス。
プラス思考で逆境をやりがいに変え、「やらない言い訳をしない」こと。
仕事への熱意、信念、行動力、人生設計など、ただただ凄いと尊敬するばかり。
紛争地へ訪れ怖いと思うどころか、「武者震い」って怖がるどころか楽しみにしてるじゃん。(笑)
衝撃的だったのが、シエラレオネ北部での子供兵のエピソード。純粋な子供を洗脳して自分の親やたくさんの人を殺し、居場所をなくさせ殺人マシーンへと変えてしまう。
そして、そういった元兵士が優遇される不条理にやりきれない後味の悪さを感じた。
印象的だったのが、紛争地から見た日本の姿。「日本が言うから武器を差し出すんだ。アフガニスタンの民を無差別で空爆しているアメリカやイギリスに言われたら撃ち殺してやる」という現地の言葉。日本は非核三原則、戦闘行為の禁止を掲げている。しかし、近年の日本は9条の改憲、核抑止論の強まりなど雲行きが怪しい。紛争地での活動にも少なからず影響するのではと危機感を感じた。
著者の記す通り、これからの日本はただお金をだすだけでなく非軍事面での国際貢献、DDRやJCCPの活動をもっと世間に知らしめること。祈る平和も大切だけど、一歩踏み出した実務的な平和活動が日本の平和主義のブランドを守る抑止力になるのではないだろうか。
本書は高校の国語や英語の教科書にも掲載されていると知り、次世代を担う多くの若者に、そして何より今の政治家たちにこそ読んでほしい一冊だ!