瀬谷ルミ子のレビュー一覧
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1977年生まれの、国際紛争解決を手掛けるNPO法人の代表であり、2011年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた瀬谷ルミ子氏が、自らの半生を綴った記録。2011年に単行本で発刊され、2015年に文庫化された。
日本の地方に生まれた瀬谷氏が、国際紛争解決という仕事に目覚めたのは高校時代で、自宅の茶の間でお菓子を食べながらめくっていた新聞に載っていた一枚の写真がきっかけだという。その写真には、ルワンダ大虐殺の難民キャンプで、コレラで死にかけた母親を泣きながら起こそうとしている三歳くらいの子どもが写っていた。そして瀬谷氏は、自分にはそうした世界の人々には持ちえない選択 -
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瀬谷さんの幼少期の思い出から紛争解決、武装解除の今を記述。ところどころに記述がある生々しい現実にもめげず、それでも何か惹きつけられるものがこの仕事にはあるのだろう。途上国の政治の腐敗はもちろんひどいのだが、おそらく日常レベルでそれらのハラスメント、意思の強制というところは殺人や強姦までいかないものの振れ幅を狭めたレベルで日本でも起こっている。
むしろそっちが解決されることがあまりに難しいが必要で、でも途上国のより悲惨な状況を見れば相対的にマシに見える。しかし特に日本の労働環境で起こっていることというのは世界を狭くせざるを得ない労働者から見れば同じような問題なのだろう。
しかし殺し合いにならな -
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どこの世界にも対立する関係というのは存在する。たとえば企業内組織の問題もその一つだ。協力しあうことを忘れて自部署の権益を守りに走ると、必ず部門間の軋轢が生じる。それでも組織の歯車を維持できるのは、そこに優秀な「調整役」が存在するからだ。しかし、武装解除における「調整役」の難しさは次元を超えている。何しろ戦争加害者と被害者という絶対に相容れない関係の中に「理解」を持たせなければならないからだ。しかも加害者は武装解除のために「対価」を求めてくる。当然その「対価」は、被害者にとっては許しがたい内容。それでも対価を与え、被害者に理解を求める。著者の言葉を借りるならば、平和とは、時に残酷なトレードオフの
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Posted by ブクログ
紛争解決の申し子みたいな瀬谷さんでも20代の頃はあれこれキャリアについて悩んでたんだなぁ、となんかしみじみ。それでも既にやってること凄すぎる…。「和解」も押し付けられる方はたまったもんじゃないっていう例ははっとしたし、クロアチアで若いプロセスとして植林活動を取り入れたという例も、そうして繋がるのかと驚いたり。瀬谷さんの経験を読んで、自分の思っていたキャリアはもしかしたら遠回りなのかなとか思いつつ、でも、結局自分で悩みを引き受けないことにはそれは他人の経験でしかないからな、と考えなおし、たとえ遠回りでも今は自分の思うままにやってみようと思いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ重かったけど眩しくて、力強いけど気分が悪くなった。
手を失ったお父さんの話の中で、平和は「祈るもの」じゃなくて正に「身を削るもの」なんだなあと。
もしも自分だったらと一瞬想像するも我慢できそうにない。水に流せそうにない。身投げするか憔悴して死んでしまう多分。そんな人たちと毎日接して、彼らの間に立って、先を信じて交渉するなんて、本人は「自分がすごいわけじゃない」と謙遜するも、やっぱり凄すぎる。
自分にできる事って、寄付とかもそうだけど、かわいそうだけど厄介だから見ないふりじゃなくて、知ろうとすること、思ったことを発信していくこと、そういう人を特殊だと遠ざけず普通に考えることなのかなあと、気が遠