早野龍五のレビュー一覧
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早野先生は物理学の先生です。現在は東京大学名誉教授、株式会社『ほぼ日』顧問、バイオリン教育機関であるスズキ・メソードの会長などを兼任していらっしゃいます。
本書ではその半生が綴られていますが、自分で自分の人生を生きる、それもできるだけ楽しむようにして、というようなスタイルに触れることができます。それも、破天荒な感覚じゃなくてふつうの感覚でです。半生記といった内容がメインのメロディーになっていますが、とても客観的かつ深く、自分を見つめて対象化されています。
こういう経験談を、子育て中の親たちが読むと特に良いかもしれないなあと思いました。あと、クリエイティブで食べていくことを考えている人にとっ -
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震災後から2014年くらいまでの早野さんの活動と結果がよくまとまっています 「マイナスをゼロに、そして未来に」つなげていく仕事を着実に積み重ねていく早野さんの姿勢に心を打たれますし、これを「尊い行い」と言うのだな…と感じました。当時の混乱した状況のなか、早野さんは地道に着実にデータを集め、根拠をもって安全だと言えるようにしただけでなく、住民たちの心に寄り添い「安心」をも確保していきました。データを提供するところまでは科学者の責務と言えると思いますが、人々の安心というものはもっと先にあるものです。科学だけで解決できない問題に、科学者としてどう関わっていくべきかについて非常に多くのヒントをもらいま
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震災のあと、放射能に関する風評が多く出され、今でもそのことを原因としたいじめや、誤った甲状腺ガンの発生状況の報道がなされたりしている。
本書では、科学的なデータに基づく知識と評価がとても大事で、リスク0などを求めることのバカらしさを説く。
実際、放射能がどれだけ怖いか、あるいは怖くないかを身をもって実感している広島人としては、当時大騒ぎをすることにとても違和感を感じたものでした。
今がどうかは知りませんが、子供のころの広島では夏休みの宿題で原爆に伴う被害や影響を知る機会があり、冷静な判断を行うのにとても役立った。
文系理系問わず、事実を知るためのセオリーがわかりやすく解説してくれている良い本だ -
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買ったまましばらく読めていなかったのをやっと読んだ。
いや~これは読んでよかったです。早野先生のツイートは事故直後からだいたい読んでいたけれど、どんどん忘れてしまうので、大きな流れと肝になる重要な活動などを時系列でまとめて読めたのはよかった。
事実として確かめられたこと、確かめられないことを選別し、確かめる手段を考案し、ときには山のように書類を書いたり、こまめに福島に足を運んでいろいろな人と会って、必要とあらば説得もして。サイエンティストで行動者の早野氏には頭がさがるし、それを押しつけがましくなく、わかりやすく伝えようとする糸井氏は、ほんとうに自分の役割をよくわかっている人なんだと思う。 -
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福島の原発事故と放射線について、
事故から3年半がった今だからこそ語れること。
ツイッターで事故後早くからデータを収集しツイートしていた早野先生と、
事実を科学的に見たいと思って彼をフォローし見守り、
その後、いろいろな行動を起こした糸井重里さんの対談本です。
つい一昨日、この本を読むにあたって合わせて読んだ方がなおいい、と
いうようなツイートを確か糸井さん本人がされていたのを目にしていたので、
『いちから知りたい放射線のほんとう』を読みました。
そこで、相当に、今ではこれだけはっきり分かっているという
放射線の知識を得ることができましたし、それまで読んでいた本の内容も
頭の中で整理されたか -
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だんだんこういうことを言ってくれる人が多くなってくるのではないかと期待している。すぐに役に立つスキルが注目されていたし、今でも半分そうか。技術研究をすぐにビジネスに結び付けられるものはないから(金にならないから)もっとすぐに成果のでることをやりなさい、みたいなことを15年前くらいに上司からも言われた。しかしこれからは、研究という知識創造を企画・遂行できるスキルを持つ人が活躍できる世の中になっていくだろう。AIやChat GPTを使って仕事をしていくときに理工系の自然科学、技術だけでなく社会学、人文科学においてもそうだ。「自調自考」を校訓に掲げる学校もあれば、知的創造の方法に関する大学講義のカリ
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ネタバレ
震災当時、小学生だったので原子力発電所が大変なことになっているということくらいしか知らないまま大人になってしまいましたが、今になってでもどういう研究が行われていたのか知ることができて良かったです。
放射線の実験をする研究室で、高い反応が出たから機械に異常がないか探したら外から放射線が持ち込まれていたという話、興味深かったです。
目に見えないので、あっても気づかないし、無くてもあるのではないかと不安になることがある。
そういう伝えづらいものに対して、しっかり検査してデータとして真実を伝えてくれた人がいたということの有り難さをとても感じました。
声を大きく上げる人は信用できないという話もたしか -
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ネタバレ東日本大震災が起きた日、自分は愛犬の待つ家に早く帰りたくて
職場から歩いて帰りました。
携帯のバッテリー消耗が不安でセーブしつつ使って、帰宅してからはテレビをつけっぱなしでずっとTwitterを見ていました。
だから、糸井さんが「ぼくはテレビをつけっぱなしにして、ツイッターに一日中張り付いてました。」というのにはとても共感しました。
なにが本当なのか、自分には知識がなさすぎてわからない。
いろんな人がいろんな立場からいろんなことを言っている中で、
冷静に事実だけをツイートしているというのは心強く感じます。
「安心して」というのではなく事実をひたすらツイートするというところが信頼されたのでしょう