早野龍五のレビュー一覧
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東日本大震災に起因する福島原発の事故の影響についてはこれまでセンセーショナルに扱われてきた側面も強い。しかし、事実はどうなのか、ということについてこの本を読むと、「そうだったのか」と目を開かされる部分が多くあった。文中でも述べられているが、当事者の知識は前に進んでいるものの、離れた地域にいるわれわれは事故が起きた当時とそれほど事実認識が進んでいないというのが本当のところなのだろう。
とりわけ早野先生は、この問題に専門ではないにもかかわらず、当初から基本的な知見やデータ分析のツイッターによる拡散や、その後も福島の人々に対する内部被ばくの調査など深くかかわってきた人だが、研究者として事実を誤りな -
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ネタバレきちんと根拠を持って恐れなければならない。
知ろうとする努力を怠ってはいけない。
例えば、週刊誌を買う場合、一番上にあるものではなくて、ついその下の2冊目を手にしちゃうことがある。一番上の本が汚れていれば別だが、明らかにきれいな本があるときにも、2冊目をとってしまう。これは誰でも経験があることだと思う。また、絶対切れない振り子で、10m先までは届かないような振り子の先に包丁をつけて振り子を揺らし、その10m先にたつ。なんだか立ちたくないと感じる。地上に置いてある20cm幅の平均台はどうってことなく渡れるのに、地上100mのところに20cm幅の平均台をおかれると、やはり渡りたくない。
これら、 -
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物理学者の早野龍五さん×糸井重里さんの福島第一原発をテーマにした対談集。
一度持った疑いを晴らすのは本当に難しい。でもその疑いの種はどこから来たものか。その種は自分の考えを動かすほど信頼に値するものか。根拠のない声に踊らされないようにしなければと思う。
「大丈夫です」「安心です」その言葉も、いつか科学的に覆るかもしれない。お二人の会話でもっても明確な結論は出ないけれど、情報に常に更新していくことが大切だという。情報が溢れすぎて何が正しいのか分からずつい蓋をしてしまっていただけに、少し踏み込んで自分のなかの原発関連の情報を更新してみよう。
巻末の糸井重里さんの「もうひとつのあらすじ」は近年の情 -
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この本を読んで、震災から3年半が経った今でも、自分は放射能の実態について理解していなかったんだなと思った。
もう、何が本当かわからないから、もしかして、ものすごい深刻なレベルで福島近辺の住人は内部被ばくを受けてしまっているんじゃないかという疑念があったのだけれど、この本は、事実とデータに基づいた観点から、内部被ばくは完全に安心をしていいレベル、と言い切っていて、そのことにとても安心した。
いまだに、放射能についてはいろいろな意見があるけれども、この本を読んで、早野さんの意見を信用しようという気になった。これを読んでから、「美味しんぼ」の鼻血の描写などを思い返すと、たしかにもう一度風評被害を蒸し -
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どなたかのエッセイか何かに出てきてメモしていたもの。タイトルだけでは何かわからないけど、福島の原発事故にかかわる科学的視点からの事実認識の話。
糸井重里さんと物理学者の早野龍五さんによる対談形式で読みやすい。
一般人の感覚からすると、普通に生きていても自然から被曝していることは意識の外に行ってしまう。さらに、人体の中にもカリウム40という放射線を放出するものが存在していて、人間は必ず内部被曝しているということは知らなかった。
また、人間を構成する一番多い原子である水素は、138億年前に宇宙誕生と同時にできた水素原子がリサイクルされたものだということもとても驚いた。もう自分の思考の範疇を超えた