長野きよみのレビュー一覧
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ネタバレ以下、推理。
1人目の犠牲者が善良らしい病弱らしい牧師で、これはポワロのセリフも考えるといかにも事故というか病死っぽい。
そう考えると2人目以後がメインというか、事件的だろう、と2件目起こった時点で想像。
で、そう考えるといかにも怪しいのがエッグ。八百屋お七的に役者を呼ぼうとしたのではないか……という推測ができる。これは手紙を見たときのポアロの疑問(なぜ自分ではなく役者に手紙を出すのか)にも通じる気がする。ただ、パトロンがエッグの心をある程度見抜いているので「実は」という展開にはなりにくいような気がしないでもない。
あと、医者が死ぬ瞬間を直接見たのがエッグ、役者、パトロン、ポアロの中ではエッグだけなので、「明らかに以前の牧師のときと同じ症状だった」と言い切るのが誘導のように感じた。
問題はどうやって毒を仕込んだか、なのだが……執事が気づいたことを考えると何かしら執事にしかわからない手法があると思うのだが、それがわからん。外傷あればわかるだろうから経口なのだと思うが。
といったふうに考えてそっちか! いやどっちかだろうとは思ったんだよ、本当。だってクリスティでくっつくの、いつも解決後じゃん。 -
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アガサ、ポアロ、9作目。長野きよみ訳
いつも自信満々主役のポアロが、今回は控えめな「助演ぶり」で登場。出番もめっきり少ない。
主役だと誰よりも主張するタイプだと思っていたからちょっと意外だったけれど人を立てて裏方に回るポアロも結構ありかも。十分存在感はある。
終幕での真相、ポアロの独擅場はやっぱり圧巻だったし。読みながらこのシーンを自分の頭の中で映像化し楽しんでた。非常に自己満足。
ストーリー的には、友人ヘイスティングズが書き手でないと、なんとなく犯人が予想できてしまい残念な気がした。でもまあポアロの独擅場のクライマックスにいつも釘付け、一気読み。面白かった。人の本心は怖い。
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ネタバレ引退した舞台俳優チャールズが催したハウスパーティ。
序盤、たくさんの人物が一気に出てくるパターン。
海外ミステリを読み慣れている自分も全然覚えられず像が浮かばず、こりゃあページが進まないなと思っていたら死んだ。
思っていたよりも急なタイミングでパーティに招かれた牧師が死んだ。
二幕目、三幕目への展開も「え、もう?」て思うほど早い。
終盤までポアロはちょい役でしか出てこず、その間素人探偵を地で行くチャールズと友人のサタースウェイト、エッグ嬢のやりとりが中心でどうにもポアロものっぽくない。
『三幕の殺人』、読んだことあった筈だったけど、こんなのだったんだと思いながら読み進めていくと、結果まんまとクリスティ的だったという作品。
うーん、やっぱり今読んでも全然あり。
会話とか舞台背景は古めかしかったり、特に海外事情でよく理解できないこともある。
冷静に見ると、そんなので成り立つ?っていう変装や別人騙りもあるけど、読み終わった後に見えてくる物語全体の構図がこの時代にして凄いなとやはり感じる。
現代みたいに色々なスタイルの小説があって、トリックやプロットも出尽くされ感がある中で考え抜いて生まれたっていうならわかるけど、そんな凝ったことしなくても成り立っていたであろう時代に、一幕目の殺人の動機をこんな風に演出するなんて。
途中の退屈さに関して、攻略本の「退屈の向こう側を見ようともしなかった私が悪い」という評が非常に刺さった。
次は『雲をつかむ死』。 -
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ネタバレいやはや今作のクリスティーは「舞台上における照明係的立ち位置(脇役)に配した探偵の有効な魅せ方」とかそんなお題でこの作品を書いたのではあるまいな(笑)と思うほど、ポアロを外して、あくまで主眼は素人探偵を中心に話を進めている。
むか〜し、昔に読んだ確かミス・マープルものだったと思う作品でめっちゃマープルさんが出てこなくて恐ろしくつまらなかった気がする(うろ覚え…そのうち読み直したい)作品よりはポアロさん登場してる気がしたので、そこはちょっと謎にほっとしたりして可笑しみもあったかな、と。
最初の登場シーンの描写が「しかしいまここにいるエルキュール・ポアロの目には輝きがなかった。心配そうで、少し悲しげに見える。」なんてあると、期待しすぎな読者としてはそこにヘイスティングズがいないことを悲しんでいるのかしら?とか既に不穏な気配を察知してる?とか色々勘繰ってしまったりね。人間観察が趣味なサタースウェイト氏の描写も的を射てたり、騙される要素になっていたりして楽しく読めた。人を観察しすぎている故の先入観とでもいうのかな。
最後の最後まで真相が掴めない点では焦れたけど、ようやくスポットライトの中心に立って整然と事件を解き明かすポアロさんの語りに納得!各描写のページに立ち返ってなるほど〜と、答え合わせをするかの様で満足、満足です。
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ネタバレポアロシリーズ⑨
元俳優チャールズのパーティーで、誰からも慕われる老牧師がマティーニを飲んで死んだ。その後、チャールズの友人の医師が、自宅パーティーでポートワインを飲んで死んだ。死の状況は瓜二つ。
犯人はどうやって2人に毒入りの酒を飲ませたのか?
チャールズ、サタースウェイト、エッグは素人探偵として事件を調べ始める。そこに顧問として参加することとなったポアロ。
なかなか進んでいるようで進まない推理。
なかなか掴めそうで掴めない犯人像。
そんな中、チャールズとエッグの恋は深まる。
しかし、ポアロの推理で一気に真相が明らかになると、そういうことか〜!!!と全てが繋がっていく。犯人の動機に唖然。でも、この犯人なら無くはないかと思ってしまう。
ラストのポアロの言葉がいい。とてもポアロらしくて、ニヤけてしまった。
「あなた考えなかったような、もっと恐ろしいことだって起こったかもしれませんよ」
「つまり ────────」 -
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ネタバレ三幕の殺人
クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。再読。
※古い作品の為、重要な要素のネタバレあり。
この作品について、大まかな部分は忘れていたが、改めてクリスティ作品を読んでいるこの機会に必ず手に取ろうと決めていた作品だ。この作品は特殊で、僕自身、過去に評価自体は高くなかったのだが、犯人と動機と「最後の一行」は鮮烈に覚えていた為だ。第一の殺人にて老牧師が殺害されるが、牧師は過去から現在に至るまで誰かに恨まれた事はなく、彼が死んで徳をする人もいない。何か秘密を隠している様な事もない。だからといって全く無差別な殺人では次に同じ方法で殺害された医師との関連が無くなってしまう。クリスティ作品では殺害に必ず意味がある為、この動機こそ最大の魅力なわけであるが、まさかリハーサルとは!!余りの衝撃に当時も興奮した事を覚えている。
また、第三の殺人の動機も特殊であり、被害者が何も知らない事を知られない為に殺害する、一種の口封じだが、残虐極まりない動機だ。一連の流れがリハーサル、本番、エピローグと一連になっている事も、タイトルの三幕に由来していることもかなりの完成度だと関心してしまう。
特に現代ミステリーでは、殺人をすればする程証拠やミスが見つかりやすい為、連続殺人という事自体少ないし、あった場合も動機は「気づかれた結果」である事が多い。しかしクリスティ時代のミステリーでは連続殺人も多く、トリックや動機に思考を凝らしているものが多く、魅力の一つである。
ある意味エッグ嬢には同情するが、クリスティは登場人物を幸せにすれ事が多い。今回の事件ではポアロ以外にも犯人に気付いている登場人物もあり、スリリングに思う。
いくつかおしい点といえば、結局は警察は余す事なく犯人に情報提供していた形になり、非常に残念に映ったしまった部分と、チャールズが捜査している部分の描写に後から読めば恐ろしい様な仕掛けがあれば更にシリアスな展開で面白くなった様に感じた。ポアロが誰に呼ばれてパーティに来ていたかはわからないが、チャールズとしてはできる限り嫌疑はかからない様にしたいはずではと思いつつ、みくびられた可能性は高いが。
そして最後の一言。ポアロの醍醐味が存分に詰まっている。おそらくポアロシリーズでもっとも記憶深いセリフであり、彼の嘆きに賛同せざるを得ない一言だ。
初見の時はもっと低評価だったが、再読したら物凄く面白かった。 -
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ネタバレ【再読】
パーティの席で、老牧師バビントンが突然死した。不幸な病死だと判断されたが、同席していた元俳優のチャールズ・カートライトらは、殺人事件ではないかという疑惑を抱く。
その数ヶ月後、今度はバビントンの死に居合わせた医者のバーソロミューが同じようにパーティの最中に死亡する。
チャールズと友人のサタースウェイト、チャールズが想いを寄せる女性エッグは、ポアロをアドバイザーに据え独自に捜査を始める。事件直後、バーソロミューに仕えていた執事が姿を消していたため警察は執事を犯人と見て後を追っていたが、三人はそれは間違いだと考える。
両方のパーティに参加していた者から話を聞いてまわっていた最中、二番目の被害者バーソロミューが何事かを企んでいたこと、それにラッシュブリッジャーなる女性が関係していることを掴む。探偵たちはその人物に面会しようとしたが、その矢先彼女も何者かによって殺害されてしまう。
ついに真相に辿り着いたポアロは、チャールズこそが犯人だと指摘する。エッグに恋をしたチャールズには実は妻がいた。その事実を唯一バーソロミューに知られていたので彼を殺害したのだった。恐るべきことに、一人目の被害者バビントン牧師の殺害は、単なるリハーサルに過ぎなかったのだ。
ポアロシリーズでありながら、捜査を進めるのは三人の素人探偵たち。すでに「ポアロとヘイスティングズ」という型を確立しているにもかかわらず、それに固執することなく新たな挑戦がなされている。ポアロは素人探偵たちの推理と恋路を見守る役に徹している。それでも美味しいところは譲らない。
●見どころ
・恋人たちの動静にきわめて敏感なポアロ
・ポアロの探偵としての過去(イギリスに亡命後世話してくれた女性が殺され、その事件を解決)
・古い価値観に縛られない活発で今どきの女性
・外国人であることをフル活用して相手を油断させるポアロ