風間一輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品は発刊時に読んでいる。
確か内藤陳さんのお勧めだったような気がする・・
久しぶりの再読になるが、初読時も感心して読み終えた記憶がある。
30年経っても本作は色褪せず、良質なハードボイルドであり、冒険小説でロードノベルである。ビルドゥングスロマンの側面もある。ともかくいい小説なのである。
まずは、自衛隊の謀略に巻き込まれる主人公桐沢の造形が素晴らしい。正しく羊の皮をかむった狼。随所随所で憎いセリフも吐く。男としてかくありたいという、一本芯の通った男なのだ。
一応敵方になるのだろうが、自衛隊の塚本もまた、桐沢と似たようなタイプなので二人がシンクロしあって進む物語はなんとも言えず小気味 -
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風間一輝『男たちは北へ』ハヤカワ文庫。
再読するのは何年振りだろうか。非常に面白い。再読するためにもう1冊購入した甲斐のある傑作サスペンス・ロード・ノヴェルである。
主人公の桐沢風太郎、ヒッチハイクの家出少年、自衛隊の尾形三佐…男たちは各々の目的で己の人生を引きずり迷いながら、北の地を目指す。
自転車で東京から青森までツーリングする中年グラフィック・デザイナーの桐沢風太郎の人物像とリアリティのあるツーリング描写。桐沢が突如巻き込まれる自衛隊の陰謀の真相。桐沢と偶然出会い、桐沢に魅力され、旅を通して成長していく家出少年。自衛隊に身を置きながら次第に桐沢に興味を抱く尾形三佐の奮闘。何から何ま -
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ーーー東京から青森まで、緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車で疾走する中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。
ひょんなことから自衛隊の陰謀さわぎに巻き込まれ、特別隊に追跡されるはめになる。
道中で出会ったヒッチハイクの家出少年、桐沢、自衛隊の尾形三佐…追う者と追われる者の対決、冒険とサスペンスをはらみつつ、男たちは北へ。
何かの縁で目に止まり、裏表紙に惹かれた一冊。
いわゆるロードノベル。
まず秀逸なのは、自転車を漕ぐ疾走感や肉体の躍動感の描写。
きちんとした自転車に乗ったことがない人でも乗って風を感じたくなる。俺がそうだった。
自転車を主軸に置きながら、サスペンスや青春ものな -
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物語は二人の男を主人公に進んでいく。学業優秀だが貧乏な家庭で母を養うという義務感から本意ではない自衛隊エリートの道を歩んだ男・緒方三佐、自分なりのダンディズムを貫き通すタフガイのグラフィックデザイナー桐沢風太郎の二人である。それぞれの一人称視点で交互に物語っていく形式で書かれており、物語の進行につれて緊迫感が増していく。ウマイ描き方だ。加えて、二人ともそれぞれ態度には表しはしないが、お互い徐々に好感を持っていく様が読者に伝わってきて好ましい。お互いをひとかどの男として認め合う、ハードボイルド小説の醍醐味だ。二人はそれぞれタイプは違えどハードボイルドヒーローである。この二人にはもう一つ「酒呑み」
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ネタバレ重要冊子の一冊を紛失し、陸自の尾形三佐はそれの奪還を命じられる。
持ち去った男・グラフィックデザイナーの桐沢は自転車で北へ向かって旅をしていた。途上で作戦をしかけるものの次々に失敗する中で尾形は桐沢という男に興味を持ち始める。
青函トンネル開通前の作品ですが、特に違和感も古臭さも感じませんでした。
中年の男が抱える屈託の中を自転車旅が貫いていく様子は静かな感動を呼びます。度々ある登坂描写がとてもいい。
男とは、とか信念とは、などを言葉にすることなく桐沢や尾形の行動で語るスタイルにとても好感を持ちました。
解説では尾形と桐沢では感情移入するなら桐沢だろう、と書いてありましたが、私としては隊を揺る