森本恭正のレビュー一覧

  • 日本のクラシック音楽は歪んでいる~12の批判的考察~

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    この本は批判精神に満ち溢れていて面白い。井口さんの話とか、彼はまあ西洋圏では知られてないとか、そういう雑多な内容もあるんだけど、個人的に興味深いなと思ったのは、この本が断章のような形式を採用していること。批判的考察、というタイトルからもわかるように、ニーチェのような思想を意識した面もあったかもしれない。ドイツでは50年遅れて出来事が起こる、という話を印象深く覚えている。批判の多くは日本の音楽や、日本での西洋音楽の受容に向けられたものであり、日本音楽の閉鎖性に対するその批判精神には目を見張るものがあるが、とはいってもそれは私には著者の持つ西洋的なものの見方である印象は拭えなかった。重要な示唆に富

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    2025年10月13日
  • 日本のクラシック音楽は歪んでいる~12の批判的考察~

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    例えば日本に西洋音楽を持ち込んだ明治人の批判とかはおれにはわからないんだけど、とにかく音楽に関していろんなことに気付かせてくれた。
    楽譜の忠実な再現してを求めた一時的な新即物主義の時代に井口基成はヨーロッパに行ったから、それが日本の西洋音楽を形作った。旋法の音楽が調性の出現で変化しバロック音楽が生まれたが、このような音楽は西洋音楽だけ。音楽で話すためには、西洋の言語を知らないとわからない、それはドイツでドイツ語でドイツ時から長唄を習うようなもの。当道座という盲人の集団のみが音楽を作ってきた日本の特殊性。黒人の音楽性が寄与したのはリズムではなくハーモニー。君が代は世界で唯一の非西洋音楽の律旋法で

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    2024年03月02日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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     「クラシックに狂気を聴け」というタイトルは『狂気の西洋音楽史』を思い起こさせる。またかという気持ちとともに、森本恭正なる作曲家、しらんなあと呟きつつ手に取る。この著者、Yuki Morimotoなる名前でヨーロッパで活躍しているという。それなら、CDを見たことはある。森本氏、日本の音大を出てプロの指揮者となっても、ある「もどかしさ」につきまとわれていた。それは単純化すれば、日本で西洋音楽をやるということの違和感であろう。彼はそのもどかしさに駆られてアメリカに渡り、そしてヨーロッパに移り、以来、ウィーンを活動の場としてしまったのだ。

     その森本氏が西洋音楽とは何かと考えてきたことを綴ったのが

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    2016年02月11日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    これは面白い!個を主張しヒエラルキーなartificialな西洋音楽 vs 竹林に吹く一陣の風的natureな邦楽。最後の君が代分析はオリンピックで君が代を聴くと感動するけどaggressiveな高揚感が無い違和感の原因を大得心。

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    2012年05月10日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    新書だし、休日にパッと読もうと思って実際にパッと読んでしまったが、もう一度ちゃんと読もうと思える内容。西洋音楽、特にクラシックの呪縛はイイ意味でも悪い意味でも根深いものともともと感じていたが、それを論理的に明かしてくれていると思う。サッカーと政治の本というのも多数出ているけど、この本で語られている音楽と政治の関わりも非常に興味深い。どのような音楽を政治に用いたか(例えばワーグナーとナチス)みたいなことではなく、クラシックという音楽の構造自体が、支配という考えに裏打ちされている音楽だということが分かりやすく語られている(決してそれを批判しているわけではない)。それとともになぜ現代音楽というジャン

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    2012年03月18日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    衝撃的な本です。世の中にこういうことを考えている人が
    いるとは驚きです。

    表拍・裏拍なんて考えたこともありませんでした。

    「君が代」を歌いながら行進はできない。 うーーーむ。

    唸るばかりです。

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    2012年01月07日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    よく言う、音楽は国境を越えるというのは、うそだなと。
    超えるのは簡単でなく、異文化の音楽を消化するのには、相応の努力、時間が必要なんですね。

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    2012年01月04日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    すでにすごく面白い。アフタービート、左足で踏み出す行進曲、ベートーベン現代音楽、Jazz、フリージャズ…色んな知見がとっても面白い。

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    2012年01月03日
  • 音楽の黙示録 クラシックとジャズの対話

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    現在的な立場から「音楽」の成り立ちの歴史とその背後にあるものについて、クラシック音楽とジャスの両面から触れることができる。

    特に森本氏による西洋音楽の成立に関するさまざま言及が刺激的で、音楽というものを見つめ直す重要な手がかりをいくつももらった。(一方で、18もトピックがあるので仕方がないところではあるが、クオリティの浮き沈みは結構あったように思う)

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    2023年10月10日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    シューベルトの楽譜にかかれた装飾音の話と、ベートーベンの第9の解釈がすばらしくおもしろい。現象学でいうところの間主観的拘束性じゃなかろうか。過去のテキストを読み解くことが、実はいかに困難なことかという命題がわかりやすく説得力をもって描かれている。アフタービートやスウィングの話も刺激的。ひどく図式的な右脳・左脳論だけは、どうしても違和感を感じざるを得ないが、それ以外は、なるほど!うわ、そうかも!ひゃあすげえw!と1ページに3回以上感嘆符の連続。音楽好きなら必読かも。

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    2012年11月17日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    現役の指揮者による西洋音楽論。ただし、技術に関することのみならず、音楽というフィルターを通じて、音楽とは直接関係がなさそうな政治・文化に関する考察に進んでいくところが、非常に興味深い。

    一例を挙げると、

    (1)西洋音楽は、実は裏拍の方が強い。それは、ロック等のカジュアルミュージックと共通的な特徴である。

    (2)西洋音楽は、階級社会と親和的である。それは、和音の進行法やオーケストラの構成に象徴される。それ故、西洋音楽は、資本主義と帝国主義の伝播に少なからず貢献したのではないか。

    こんな話が出てくると、クラシックを殆ど聴かないような人も、本書を読みたくなる筈。

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    2012年03月03日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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      作曲家でもあり指揮者でもある森本恭正「西洋音楽論―クラシックに狂気を聴けー」(光文社新書 2011)は、刺激的な音楽論を展開している。右脳思考と左脳思考のちがいやオーケストラは過去の遺物だなんて話には唸ってしまうし、 西洋音楽はアフタービート、という指摘にも頷ける。「ウィーン通信」という 私的メールが母体となった書物だが、昨今では、ウェブ上に散らばっている思考には目を見張るものが点在している。

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    2012年02月29日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    ヨーロッパで活動している森本ならではの、クラシック音楽とは何か?、これから進む道は?という素朴ながら重要な疑問・問題に、専門家としての、というより作曲家としての立場から見据えた音楽論の言える内容で、最近の新書が向かっている「啓蒙書から専門的知識も持ち合わせたオタク向け」的な内容といえるだろう。
    例えば、モーツァルトが16分音符を4つ書こうとした場合、非常にしばしば8分音符1つと16分音符2つを書き初めに書いた8分音符に装飾音をつけたのはなぜか。日本の管楽器ではタンギングをしない。後者は邦楽との比較という点では面白い内容だが、前者を例にして西欧音楽論を展開する必要があるのかは疑問のあるところ。

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    2012年02月07日
  • 日本のクラシック音楽は歪んでいる~12の批判的考察~

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    ネタバレ

    Xで面白いという投稿を見て。
    はじめて音楽の歴史についての本を読んだため、ほとんど言われるがまま「ふんふんなるほど知らなかったなぁ」と読み進めたが、批判9歌の翼ではかなり自分ごととして勉強させてもらった。
    「歌うように弾く」これは昔ピアノを習っていた私も先生に言われたことで、技術はあまりなかったが歌うように弾くことは得意なほうだと思っていた。発表会の後には先生から「他のスクールの先生が、あの子は聴かせるピアノを弾くねと言っていたよ」とよく聞いたものだ。
    そして最近またなにか弾きたいと思い十数年ぶりにキーボードである曲をゆるゆると練習しており、完璧ではないが一通りなんとなく弾けるようになったため

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    2024年01月24日
  • 音楽の黙示録 クラシックとジャズの対話

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    ・西洋音楽はヨーロッパ言語のイントネーションとアクセントに依って作られている。「Yesterday」の-dayにアクセントをつけた旋律は思い浮かばない。
    ・1600年前後にバロック音楽が生まれるまでの1000年間、和音の進行を考えた作曲家はいなかった(教会支配の強さ)

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    2021年08月11日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    はじめに
    第一章 本当はアフタービートだったクラシック音楽
    第二章 革命と音楽
    第三章 撓む音楽
    第四章 音楽の右左
    第五章 クラシック音楽の行方
    第六章 音楽と政治
    おわりに

    音楽史と思ったら音楽論でした
    エッセイ風で読みやすかったが何か知識が得られたかというとあまり...
    ただ「たしかに」とおもうことがたくさんあった
    西洋クラシックはアップビートってことは理解出来た

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    2019年08月08日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    日本人にとってクラシック音楽を受容するということはなにを意味しているのかということを、著者自身の体験と考察を交えながら、エッセイのようなスタイルでつづった本です。

    日本人という観点から、ヨーロッパの音楽はアフタービートが基本になっているという指摘をおこなったり、クラシックとジャズを貫くスウィングについての独自の考察をおこなったり、さらには、日本人と西洋人で右脳と左脳の使いかたにちがいがあるという、角田忠信の『日本人の脳』(大修館書店)における疑似科学的な議論までも引用しつつ、西洋音楽が日本において「クラシック」として受容されたことが生んだ「ねじれ」のなかで考察が展開されています。

    若干議論

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    2024年10月23日
  • 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~

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    西洋音楽は基本裏拍、1拍目にアクセント記号があるのは「(例外的に)ここを強拍にしなさい」という意味、という裏拍の話は面白かった。
    確かに休符で始まる曲って、多い。そう思って聴くと、ジャズやロックはもちろん、クラシックも基本アフタービートなのがよくわかる。
    以前ジャズコンサートに行ったとき、裏拍が取れない人が少なからずいた(ジャズファンなのに???)ことに驚いたし、70代以上で裏拍とれる人は本当に少ないと思う。(日本で)
    日本人が西洋音楽を身につける苦労の大本はここにあるのかもしれない。
    モーツァルトの装飾音や音の撓みの話も興味深かった。
    しかし、右脳左脳の話のところでは、ちょっと納得しかねる部

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    2013年02月19日