佐瀬奈緒美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本は文句なしにすごく面白かった!トラヤヌス帝時代のローマ帝国にて一枚の硬貨が人の手から手へと渡って「旅行」する様子を小説風に追いながら、当時の風俗や法制度、人々の生活などをつぶさに観察していく。国境の要塞、船旅、首都ローマのにぎわい、国際色豊かな植民市、戦争や戦車競技、産業、商業、奴隷労働、食事、ロマンス…。話題は尽きない。そして何より文章がうまいのだ。スリル満点の戦車レースや戦闘の部分は思わず手に汗握って読みふけってしまったし、男と女の出会いにはどきどきするし、当時の様々なお土産品の解説なんかは想像が膨らんで実際に手に取ってみたくなる。
発掘調査や碑文などの膨大な研究結果をこのような読みやすく面白い文章で、それも600ページ超の大ボリュームで堪能できるのだが、まだまだ足りない、読みたいと思わされる当たりローマ帝国の広大さと文化の豊かさを実感できる。著者の他の本も読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ古代ローマ人の生き生きとした描写を用いて描かれたシリーズの一冊。
高く評価する点が3つ、一つだけ低く評価する点が1つあるため、星4つとした。
高く評価するのは、次の点。
1.オウィディウスの『恋愛指南』など、当時の道徳教訓詩をパロディ展開した作品からも史料を引いているが、全体としては信頼のおける史料だ、と思われる点。
2.貴族や中流階級だけにとどまらず、貧困層の事なども調べて書いてある点。
3.当時の社会、文化における価値観を紹介し、一方で『現代の道徳』による価値判断をさしはさまないよう気をつけて書いてある点。
一つだけ低く評価する点については、紹介前に前提となる筆写の事情がある。
まず、評者の性的な嗜好は二次元限定で、男性同士、女性同士を問わず、同性愛描写ばっちこーいであり、その内容が非現実的なもの(描写やシチュエーションなど)であっても楽しめる口である。性指向(現実の人間に対する行動)に至っては非性愛(恋愛感情はあれど、性的な欲求が無い)である。
こうした前提があるため、
「同性愛を扱った項目はどのような内容だろうか?」
と、興味をもって本書を読み進めていた。
ところが、他の恋愛や性愛についての章と異なり、この項目は文章量が少なく、概論、いわゆる「さわりだけ」紹介したに過ぎない、という印象を受けた。
著者自身の性指向やホモフォビア(同性愛嫌悪)が影響したのだろうか?
疑っても詮無いことではある。
他の章での、『その場所で、生きているローマ人の背後からカメラで追っていく』ごとき生き生きとした描写が優れていただけに、この一点だけが画竜点睛を欠く、と言わざるを得ない。
総括すると、エピクロス学派の『物の本質について』や、ストア主義哲学の『自省録』といったローマ時代の哲学書とは異なる側面から、ローマ帝国の世界を見せてくれる良書であった。 -
Posted by ブクログ
ローマ ―すべてが始まる場所
ロンドン ―ローマ人が考案した都市
パリ ―ポンペイよりも小さな町だった頃
トリーア ―神酒を作る
ライン川を越えて―蛮族との戦い
ミラノ ―女性解放 レッジョ・エミリア―古代のジョーク
リミニ ―外科手術
テヴェレ川 ―水に運ばれてローマへ
ローマ ―世界の中心
大競技場キルクス・マクシマム―『ベン・ハー』の謎
オスティア ―多言語が入り乱れる「バベルの塔」
スペイン ―ローマ帝国の金
プロヴァンス ―馬車への襲撃
バイア ―贅沢で淫蕩な都市
地中海 ―航海という冒険
アフリカ ―人種差別のない帝国
エジプト ―古代の観光客
インド ―ローマ帝国の国境の向こうへ
メソポタミア ―トラヤヌス帝との遭遇
エフェソス ―ローマ帝国の大理石
ローマへの帰還 ―タイムトラベル