田中励儀のレビュー一覧

  • 鏡花紀行文集

    Posted by ブクログ

    風景や生き物の描写が美しい。旅に出たくなる。鏡花さんはユーモアのある方だと思う。ご自分の潔癖さをネタにしたりしている。谷崎潤一郎さんのお宅を訪ねたエピソードなどもあるし、芥川龍之介さんにも触れていたりする。巻末の注が素晴らしくて、かなり助けられた。

    0
    2021年07月20日
  • 鏡花紀行文集

    Posted by ブクログ

    鏡花の紀行文とは珍しいが、そういえば後期の小説は旅情を背景としたものも多い。しかし紀行文集だから、この本は幻想的な小説群ほど面白くはない。「私小説」ふうな作品もつまらなかったが、これもそれに類している。
    とはいえ、お化けや波瀾万丈の起伏が無かったりするぶん、この作家がいかに<文章>という魔法に心血をそそいでいたかが明確になる。
    鏡花初期の小説はそうでもないが、尾崎紅葉の弟子となり徹底的に文章を鍛えられ、さらに自身の江戸趣味を爆発させた結果、現代文とはいいがたい独特な読みにくさの文体が獲得された。おかげで、現在の読者にはひどくとっつきにくい作家となってしまった。
    これらの紀行文でもしきりに東海道

    1
    2014年01月02日