元警察庁キャリアが名物元捜査一課長からの協力を得てまとめた、中むけの講義用資料をベースにした本。実際の事件例がアレンジされつつもふんだんに引かれている。
著者の時に強硬な捜査を支持する考えは、冤罪事件に厳しい目の向けられる昨今の時流には反するが、「疑わしきは罰せず」は裁判での話であり、警察は警察と
...続きを読むしての職分を尽くして疑わしいから調べるのだという主張には納得。時流の行き過ぎへのアンチテーゼと捉えたい。
また、判断、組織、仕事への取り組みといったあたりは、捜査だけでなく仕事一般の指針になりうる。例えば、、、最初から犯人、犯人と欲張っているとダメで、犯人を知っている人から捜したほうが成果が上がることが多い。とか、指揮官は捜査資料をとにかく多角的に幅広く読み込むべし、といったあたりは、仕事の裾野を広げる大事さを思わせる。また、「これはつぶした、もうやった」というのを鵜呑みにしてもダメで、鑑識にしても、その道のプロに見せないと分からない場合もあるというのも深い。ミクロもマクロも押さえないといけないのだ。