森岡孝二のレビュー一覧
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若者の労働問題に提言をしていることで有名な著者による本。「はじめに」で書かれているように、大学生の就職問題を取り扱っているが、就職環境の厳しさおよび実情を知るという意味では、全ての世代の人が読むべきだと思う。
一章
紙面でよく語られている、大学生の就活の流れに焦点を当てた章。
「人より出遅れたくないという一心で早く始めたが、今思うと企業と情報に踊らされていた」と語る畑中さんは、全160社の企業を回り、七次面接やリクルーター面接を行ったにも関わらず、最終面接で落とされた事を経験した事に大変不満を持っている。運良く受かった場合でも、自分が本当に望んだ職種で無い時は、単位を落とすことを臨む「希望留年制度」を使うこともあるという。
果たして適正検査で本当に向いている職業が分かるのか(おとなしい人は営業に向かない?)、就活のストレスによる自殺は加害責任の特定が難しく社会問題になりにくい、雇用対策助成金を得続けるために(本来はあたらないものも含め)自己都合退職の強要がなされることがあるなどの問題点を指摘している。
二章
就活をめぐる様々な様相を見ていく章。
写真一枚を撮るのにも徹底した指導が行われ、「良い企業に入ればすぐに元が取れる」、「親も協力的になるべき」といったビジネスが蔓延っていることや、日本と海外のインターンシップは大きく異なっており、「参加する意義は良いが、せめて二週間以上の時間が必要」という提言、三年生の秋に説明会を開催し、「どんな学問をしたか」という感性を持つ企業への苦言、企業は履歴書にかける時間を短縮するために履歴書読み取りソフトの導入を行っていること、組織の多くの人間は現在の就活のありかたに疑問をもち意見しているが、肝心の経団連の動きが鈍いなどの事が綴られている。
今や就活にかかせない、リクナビを始めとする大きな合同企業説明会は「人が多すぎて立ち聞きしたり聞こえなかったりで、行くだけ無駄」という意見もある(個人的には、この意見には賛同できる)。
三章
学生は就職を希望する企業を選ぶ際には「仕事内容・雰囲気」が特に重視している一方で、賃金・労働条件には(アンケートの回答を見る限り)あまり気を留めていないようだが、それは「内定を得たい」という気持ちが表れているのだと筆者は語っている。
自分用キーワード
就職氷河期 大学等卒業予定者の就職内定状況調査(1996年より実施) 総務省『労働力調査』 厚生労働省『就業形態の多様化に関する総合実態調査(2011)』(正社員61.3%、パートなどの非正社員38.7%。ちなみに非正社員比率は15〜19歳男性91.6%、女性95.8%、20〜24歳男性46.7%、女性44.2%) 森岡孝二偏『就活とブラック企業』(本書で引用されている、畑中文「私のシューカツ体験」が所収されている) 内定ブルー ない内定 SPI(リクルートが開発した総合適性検査) ライト・ミルズ『ホワイトカラー 中産階級の生活探求』(ホワイトカラーは、雇われて働くという意味においてはブルーカラーと変わらず、違いは「物」ではなく、物の生産者を組織し、生産物を消費者にわたすこと) 小津安二郎『大学は出たけれど』 売り手・買い手相互の競争、売り手と買い手の競争 NPO法人POSSE(若者の労働相談活動をしている) ガクチカ(「学生時代に力を入れたこと」だそうだ(出典:読売新聞)) ジル・フレイザー『窒息するオフィス 仕事に強迫されるアメリカ人』 就職協定 日本学術会議『大学教育の分野別質保証のありかたについて』(三部で就活の問題に触れている) 日本貿易会・経済同友会・日本商工会議所(就活の時期を早めることは、結果的に国全体の人材レベルを落とすのでは、述べている) -
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再読本。
出版は2005年。
その当時で過労による労災と認定されたケースが過去最多の317人。内死亡者が160人。この数字、間違いなく低くなることはないだろう。
問題提起されているように、貧富の差が大きくなるとカネを稼ぐことへの強迫観念が強くなり、長時間労働に拍車をかけている。より多く稼ぐにはより多く働かなければならない。
シンプルなライフスタイルは理想だが、現実はこういうものだろう。
そこで死ぬレベルまで働いてしまうかどうかは、これも個人個人が決断していかなければならない。
今出版されても、書かれている内容・状況は変わっていないので非常によく出来てる本だ。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
いたるところから働きすぎの悲鳴が上がっている。
労働時間が1日10時間を超えるほどに長ければ、疲労とストレスがたまり、最悪の場合は死に至ることになる。
本書では、グローバリゼーション、情報技術、消費社会、規制緩和などに着目して今日の過重労働の原因に迫る。
まっとうな働き方ができる社会を作っていくために、いま何が必要なのか。
[ 目次 ]
序章 働きすぎの悲鳴が聞こえる
第1章 世界に広がる働きすぎ-グローバル資本主義の逆流-
第2章 家庭も出先も職場になった-情報資本主義の衝撃-
第3章 消費が変える雇用と労働-消費資本主義の罠-
第4章 労働の規制緩和と二極分化-フリーター資本主義の大波-
第5章 労働基準とライフスタイル
終章 働きすぎにブレーキをかける
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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この本は、現在の日本は、働きすぎであるということを述べている本です。今現在日本人は働きすぎいたるところから悲鳴が上がっていて、労働時間が一日十時間を超えるほどに長ければ、疲労とストレスがたまり、最悪の場合は死にいたることもあるそうです。そこで、この本では、グローバリゼーション、情報技術、消費社会、規制緩和などに着目して今日の過重労働の原因について迫っています。まっとうな働き方ができる社会をつくっていくために、今何が必要なのかということが書いてある本です。この本を読み思ったことは難しいなあということを思いました。確かに日本人は働きすぎで過労死が増えていることは事実だと思うんですけど、そのくらい働かないと生活できない人たちもかなり多いと思います。とても難しい問題だとは思いますがこの現状を変えていかなければいけないのは事実です。すごく考えさせられる本です。皆さんもぜひ、読んでみてください。
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著者は関西大学で経済学部2014まで教えていた。専門は企業社会学。雇用の状態~正社員、パート、アルバイト、臨時、派遣などによって給料が違い、雇用が身分化して所得分布が階層化しているとする。
明治中ごろから紡績などに女工が集められたが、多くは募集人によって農村部から集められ工場に送り込まれた。この場合雇用関係は工場主と女工との契約の前に、工場主と募集人との契約関係であった。85年に労働者派遣法ができたことによりこの戦前と似た関係になった。くしくも85年は同時に均等法もできている。
雇用身分社会から抜け出す鍵として、1労働者派遣制度を抜本的に見直す~著者はゆくゆくは制定以前の規制に戻したいが単純業務の職種を禁止とすべきとしている。2非正規労働者の比率を引き下げる。3雇用・労働の規制緩和と決別する。 4最低賃金を引き上げる。 5八時間労働制を確立する。 6性別賃金格差を解消する。を提案している。これができれば安倍さんは苦労しないが・・
またディーセントワークという言葉を紹介している。これがこの本の最大の収穫だ。decentとは見苦しくない、礼儀正しい、恥ずかしくない、裸でない、人並みの、人間らしい、親切な、寛大な、適切な という意味。著者は「まともな働き方」としている。また、江口英一の「現代の低所得層」1979を紹介し、その中でワーキングプアは「あるべきものがない状態」、人並みの状態が「剥奪deprivation」されており、一般に当然と認められている状態から遠ざけられているので、社会参加不可能の状態に置かれている、と紹介し、デプリペーションはディーセントでない状態、であるとしている。
お金がないのは社会問題だというのは誰でも分かるが、根本の問題は、不安定な雇用により、まともな権利(正当な賃金と社会保障)から遠ざけられ、「社会参加ができなくなっている」ことだというのが分かった。この考えを政治家、企業家に認識して欲しい。 -
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渋沢栄一も夜業をすすめた。
諏訪の千人風呂は、片倉財閥が立ったまま短時間で入浴できるように深く作ったもの。
ファイリングとビルメンテナンスを派遣に認めた頃から変貌した。
派遣業は蟹工船の周旋屋、女工の募集人などと同じ。
労働組合は正社員の解雇にのみ反対した。
限定社員の拡大=低賃金化。
バブル(地価と株価の上昇)は1983年ごろ。
総合職は有給が取れず、サービス残業、休日出勤は当たり前、転勤も拒否できない。
一般職は、休日出勤はない、有給消化率100%、転勤もない。しかし真っ先にリストラ合理化の対象になる。
正社員の消滅=同一労働同一賃金
キャリア上の死のキスを40歳で。
ワーキングプア=労働力のある低所得層
生活保護の利用率は、ドイツで9.7%、日本は1.6%、捕捉率もフランスで90%、日本で18% -
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格差の問題を雇用形態、いわゆる派遣業務、派遣社員という切り口で考察している。
はじめは、戦前の「女工哀史」に代表される過酷な労働の様子から話しが始まる。
なんとも悲惨な労働を強いられていたかと暗澹たる思いになるが、それほど遠い昔の話ではない。自分の母親からも姉妹や従姉妹が繊維工場に勤めに行って体を壊して若くして亡くなったり、足を悪くしてびっこになったりした話を聞いた覚えがある。女工の勤務体系は斡旋業者の介在する、まさに派遣労働だったのだ。そして、終戦後労働法が整備されるまでは労働者の待遇はとてもひどかったと言える。
そして、その雇用形態は労働者と人集めの会社(あるいは親方)との雇用契約と、人集めの会社(あるいは親方)と実際に労働者を働かせる会社側の契約とは別々になっていた。このため労働者は直接働いている会社側に文句を言えない構造になっており、戦後はこのような形態の派遣業は禁止されてきていたが、1980年以降の雇用の規制緩和と共に次第に緩和されてきた。
つまり、現在の派遣業務は戦前の労働環境へ回帰しており、パートタイム労働、非正規労働など不安定な労働をどんどん生み出していると言うわけである。
それらの労働問題の大きな流れとそれぞれの問題点の提起はたいへん勉強になる。
結局のところ高度経済成長後の株主民主主義の台頭により、利益を得るのは企業と金持ちの株主だけになり労働者の地位はどんどん低下し、正社員もどんどん非正規社員に置き換えられていき、より格差が広がっていく社会になっていると言えるのだろう。
著者は最低賃金の大幅引き上げをはじめとするいくつもの提案をしているが、改善するのはなかなか難しいように思える。国会で審議しているのは結局のところ金持ちや企業から支援を受けている政治家ではないか。ピケティの金持ちは民主主義の敵だと言わんばかり主張はよくわかる。