杉山伸也のレビュー一覧
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内容は題名通りグローバル経済史を概観するということでした。また個人的には勉強になる記述が多数あって参考にはなったのですが、「入門」かと言われるとそこは疑問が大きかったです。あまり深く考えずに読めばさーっと読み進めるのかもしれませんが、私はイベントの前後関係などを考えながら読みたかったので、そういう読者からすると極めて難解な書物でした。たとえばこういう戦争があってある条約が結ばれた、という記述の時に、「〜〜条約が何年に締結された」とだけしか書かれていないケースも多く、私としては条約の名称などはどうでもよくて、むしろその条約の中身は要約するとなんなのか、その後の情勢にどんな影響を与えたのか、という
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慶應大学経済学部教授による、14世紀以降の世界の経済史についてまとめたとの。歴史的な地域のつながりを詳しく調べ上げており面白い。経済については、昔から欧州中心で繁栄がもたらされていたように感じていたが、産業革命後の一時的な期間を除き、いつの時代でもアジア中心であったことがよくわかった。
「大航海時代は、ヨーロッパ社会にダイナミズムをあたえ、長期的にはヨーロッパの変容をうながす大きな転機となったが、18世紀末まではアジアのヨーロッパに対する経済的優位はゆらぐことはなかった」p17
「香辛料をはじめとするアジア産品に対するヨーロッパ諸国の需要が非常に大きかったのとは対照的に、アジア域内ではすでに -
Posted by ブクログ
慶応の学部生向け経済史入門のテキストをベースに書かれたものなので、内容的には平易(少し退屈な部分も)。著者は、経済のグローバル化をヒト・モノ・カネの国境を越えた移動を可能にした市場システムとそれを支える国際レジームが必要であるとする。しかし、究極的にグローバルな課題を解決するには、国民国家を超えた世界政府と世界共通通貨が必要ではないだろうか、というあたりの話はちょっと非現実的な夢物語になっているのではないだろうか、と思う。経済的自由主義とグローバリゼーションの親和性は高いとは思うが、ナショナリズムが必ずしも経済的自由主義の実現を阻むように作用するかと言われればそうでないケースも多いだろう。また
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Posted by ブクログ
「歴史の見方」は多種多様で、個人史、地方史、各国史、地域史、世界史などがあれば、政治史、経済史、社会史などテーマ史もあります。また一方でナショナル・ヒストリーで多く見られるような自分たちの正統性を説明するために語られることもあり、またそういったものを排除しようとして世界各地のつながりを重視したグローバル・ヒストリー※もあります。いずれにしても、歴史をどう見るかは人によって様々で、だからこそ面白いのであり、著作を読むごとに新しい発見があります。きっと、論述問題を課す入試の採点者は、受験生達の解答を時には面白く、ときにははっとさせられるような、そんな気持ちで採点しているような気がします。
本書は経