須田桃子のレビュー一覧

  • クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見

    Posted by ブクログ

    第二部のクリスパーが人類に及ぼす影響、特に生殖細胞への干渉における社会的意義についての解説はは読み応えあった。
    一部の専門家だけの象牙の塔であってはならず、一般人も含め断続的、建設的な議論が必要となるというメッセージ。つまりは、自分も傍観者でないのだと痛感させられた。

    正直具体的な仕組みは理解できないが、クリスパーがとてつもない技術的ブレイクスルーであることは伝わってくし、数十年前のSF小説の世界が目前に迫ってるというある種の焦燥感を受け取った。メリットデメリットがある技術を扱うにあたり、慎重に進めて姿勢の大切さを、それがさまざまな観点から見極めていくのだ。

    今日での到達点はいかほどなのだ

    0
    2023年11月03日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    STAP細胞は無い派の本。
    あの日、つまりSTAP細胞発見の記者会見当日に筆者が記者としてその場に居合わせたところから始まるが、少しの無駄もなくSTAP細胞への疑惑を丁寧にまとめてある。
    小保方氏と擁護派の本を2冊続けて読んだあとにこの本を読んだが、STAP細胞はないと確信させられるほどに記者としての手腕を見せつけられた。
    小保方氏いわく、この筆者の取材メールは殺意を感じるほどのものだったそうだが、そう言わしめたのも納得の内容。更にはこれを家事と育児の合間に書き上げたというのだから驚きである。

    0
    2022年03月17日
  • 合成生物学の衝撃

    Posted by ブクログ

    わずか数カ月で新型コロナウイルスのワクチンが開発されてしまったことには驚きを禁じ得ないが、その背景には、合成生物学があったことが本書でよくわかる。

    振り返ってみれば、数年前、中国の研究者がゲノム編集を施した双子を誕生させ、世界中に衝撃を与え、そして非難されたことは記憶に新しい。その背景には、好むと好まざると、発展を続ける合成生物学があった。

    そして、冒頭の新型コロナウイルスワクチンである。これは間違いなく、合成生物学の成果である。しかし、合成生物学にはゲノム編集ベイビーを生み出してしまう可能性や、著者も懸念していることであるが、生物兵器への転用の可能性が常に付きまとう。

    世の中を便利にし

    0
    2021年12月31日
  • 合成生物学の衝撃

    Posted by ブクログ

    合成生物学と呼ばれる学問を知らなかった。
    もっと難しい内容なのかと思ったら、とてもわかりやすく
    最先端の技術を知ることができた。
    昨今の肺炎ウィルスが、人工的に作られたものではないかとの噂をネットで目にしたため、興味が沸いたので読んでみたというわけです。

    「デュアルユースジレンマ」は生物学だけに限らず、原子力にも言えることだ。他にもたくさんあるのだろう。

    遺伝子組み換え技術については、食品関連の情報で知ってはいたが、細菌やウィルス、人間のDNAまでも作り出すことが可能であるという事実、巨額を投じて研究されたものが、私たちの知らないところで、私たちが知らないうちに使われているのかもしれないと

    0
    2021年07月08日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    結局この事件は何だったんだろう、とずっと思っていたので読みました。毎日新聞の須田記者が、最初はみんなと同じようにSTAP細胞に興奮して報道したジャーナリストの1人として責任を取るかのように丁寧に経緯が書かれていました。
    私はやっぱり個人の問題(研究の作法を知らなかった、データの扱いがあまりにずさん)がメインであって、理研の責任論はいまいちピンとこないのですが、周りの若山さんや笹井さんら有名な研究者たちが共著になっていたからみんな簡単に信じてしまった。なぜそのようなしっかりした研究者たちや、ネイチャーがコロッと信じてしまったのかはやはりよく分かりませんでした。あとからきちんと調べたら、ツッコミど

    0
    2019年05月22日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    博士号の意味、未熟な研究者排出の大学の責任、組織防衛の論理、資金獲得戦術、マスコミの報道の在り方、諸々あるが、ヒトが1人亡くなったという事実。

    0
    2018年12月10日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2018/10/6 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2020/3/2〜3/9

    世間を騒がせた「STAP細胞」騒動の顛末を綴ったノンフィクション。著者の須田さんは当時twitterで情報を沢山流しておられたのを覚えている。読んでみて、当時を思い出したが、発言や行動を見ていると、論文の主著者は昨年私も悩まされた“関わってはいけない人”だったのでは無いか。科学が愚弄されたのはもちろん端くれで暮らすものとしては許せないことではあるが、笹井氏が亡くなられたことが一番大きな損失であろう。

    0
    2020年03月09日
  • クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見

    Posted by ブクログ

    ゲノム編集技術であるCRISPR。エマニエル・シャルパンティ氏とともに、2020年にノーベル化学賞を受賞したジェニファー・ダウドナ氏による著書。その技術はCas9酵素を用いてガイドRNAで標的DNAを切断する。塩基配列を思いのままに操れるまさに夢の技術。一方、優生思想に基づくデザイナーベイビーや人体増強や細菌兵器といった軍事転用の懸念も否めない。
    本書では前半では著者の細菌基礎研究者としてのキャリアをなぞりながらCRISPER発見に至るまでの道のりを振り返り、中盤ではCRISPERを活用した遺伝子性疾患などへの応用医療の事例、後半ではCRISPERという「神の技術」に対する道徳的問題や倫理的課

    0
    2025年09月29日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    小保方氏から「殺意を感じた」と名指しで批判された筆者による本事件の全容とも言える手記。事件における不可解な点をズバズバと論理的に切り捨てていく文章から感じる筆者像は、ひと度矛盾を感じたら徹底的に追求する記者としての矜持と正義感を兼ね備えた情熱的な人柄である。ただ、本書を読み進めるにつれて敵に回すとこれほど恐ろしい人もいないだろうなという印象がどんどん強くなり、最終的には小保方氏を初めこの騒動の登場人物達に同情まで感じてしまい、冒頭の小保方氏の発言が出てきても不思議では無いかもと思うまでになった。本事件を時系列で細部にわたり詳らかにしたその執念には敬意を払い評価もしたいが、上記のような印象を読者

    0
    2025年04月15日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    情緒的な科学者vs論理的な新聞記者という、いつもと逆の構図が面白かった。
    未熟だけど一生懸命な若者に好感を持った権威あるベテラン達。結果としてネイチャーにヤバい論文が掲載されてしまう。「くさった丸太をたまたま渡り切れてしまったようなもの」と本文中にあるがその通りだと思う。しかし応援したくなるというのもひとつの才能で、今だに小保方氏を擁護する一定の世論が存在している。
    小保方氏も科学のような検証可能なフィールドではなく社会学や環境もしくは商社・金融のような分野で勝負していれば大出世したのではないか。

    0
    2023年09月16日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    力作。
    膨大な取材データと専門的な話を、
    一般の人にわかり易く書こうとしているので
    ものすごく読み応えがある。

    当時の状況を、時系列ごとに問題点をあげて構成されているので、
    なんとなく知っていたこの事件が、ああこんな問題があったのかと
    改めてわかった。

    これぞノンフィクションな一冊。
    でも、最後がチョットだれるかな。

    0
    2022年06月11日
  • 合成生物学の衝撃

    Posted by ブクログ

    須田桃子(1975年~)氏は、早大大学院理工学研究科修士課程修了、毎日新聞科学環境部記者等を経て、NewsPicks副編集長。『捏造の科学者 STAP細胞事件』(2014年)で大宅壮一ノンフィクション賞、科学ジャーナリスト大賞受賞。
    本書は2冊目の単著で、2018年に出版、2021年に文庫化された。
    合成生物学(synthetic biology)とは生物学と工学の学際的な分野で、構成(的)生物学とも訳される。その対象領域は、バイオテクノロジー、遺伝子工学、分子生物学、化学工学、生物工学、電気工学等に及び、もともとは様々な領域を統合して生命の仕組みを理解しようとするものであったが、その進歩とと

    0
    2021年11月17日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    オーディブルのポッドキャストで柳瀬博一氏のゲストで須田桃子さんを知って読みたくなって手を出した。
    「STAP細胞はあります」以降のことを知らなかったし、なんなら事件のこともよくわかっていなかった。
    難しいけど、専門外でも読めるように説明が多いので読めました。

    0
    2023年02月10日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    STAP細胞事件を追った毎日新聞の女性科学記者の取材ドキュメント。本書を読んで、STAP細胞事件が解明されたとは思わないが、少なくとも、他社を圧倒する取材力で、当時の関係者の心情、STAP細胞に対する見解を引き出し、それらがどう変わっていったのか(または変わらなかったのか)がよく分かり取材ドキュメントとしてとても興味深く、面白かった。個人的には、小保方さんをはじめ主要関係者の人となりがわかるようなエピソードなり、人物像を浮かび上がらせるような丁寧な記述が含まれていると、より読みごたえが増すのではないかとも感じた。

    0
    2021年11月22日
  • 合成生物学の衝撃

    Posted by ブクログ

    専門的な話ではなく研究者に焦点を当てて書かれている。
    研究者からしたら可能性のあることはやってみたくなるだろうから社会的な議論をっていうところは同意できるな。

    0
    2021年07月17日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    著者は毎日新聞の記者。内容は表題の通り。文庫化に際して追加された末尾の部分では、この事件の総括を改めてされているのと同時に、小保方氏による手記『あの日』に出てくる名指しによる批判への再反論ともなっている。あの事件の何が問題で、どうして”STAP細胞は存在しない”と言い切れるのかを科学にあまり詳しくない人にもわかり易く伝えようとする姿勢がとても感じられて、興味深く読めた。

    0
    2019年03月09日
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件

    Posted by ブクログ

    客観的な経緯はわかるけど…
    なぜ科学者がそういうことをしたのかという点をもう少し踏み込んでほしかった。

    0
    2018年10月29日