行方昭夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「月と六ペンス」以来のモーム作品。こちらは戯曲。
推理小説ではないのだけれど、その要素もあって、ほぼ一気読み。
半身不随のモーリスは何故死んだのか、事故か、自殺か、他殺か。次々と明らかになる新事実。妻かその愛人が犯人で決まりかと思いきや、さにあらず、驚きの真犯人とその動機たるや。
作品内では、死は内密に処理され、誰も法の裁きを受けることはなく大団円を迎えるのだが、如何に動機が善であったとしても、これが裁かれなくて良いのか、という点では、意見が分かれるのではないだろうか。少なくとも、現代の基準では、これを安楽死と認定することは出来ないだろうと思う。かといって、有罪とするのも気の毒ではあり、 -
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1874-1892年の作品を収めた短編小説集。
高校生の頃岩波文庫の『ヘンリー・ジェイムズ短篇集』に出会って大きな衝撃を受けて以来、ジェイムズは私が偏愛する作家の一人で、書店で見つけ次第購入して読んできた。
岩波文庫のそれには、ジェイムズ中期から後期にかけての「曖昧法」を用いた精妙な作品が4作収録されている。そこでは語りのストリーム上の「視点」は一人の人物に限定され、従って、知人のAさんとBさんが見えない所で干渉した出来事について、「視点」の人物はただ推測するしかない。出来事の推移を見つめていても、その真相はどうなっているのか、また他者であるAさんやBさんの心中については永遠に謎のまま残 -
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Posted by ブクログ
これも名著。さすが行方昭夫先生。
「英文和訳なんて意味がない」とか「英語なんて読んでおおよそ意味が分かればいいんだ」という主張はバランスに欠けているなぁ…と、行方先生の著書を読むと思わざるを得ません。
要は語学に魔法の杖など無く、読む・聞く・書く・話すのそれぞれについて、その人がその外国語を学ぶ理由に応じてバランスをとって学ぶことと、それ相応の時間継続して勉強しなければ何れにしても相応の外国語力は身につかない、ということなのだろうと思います。
そういった意味で「英文精読」、大いに意味があると思いますし、何よりも行方先生の解説には唸らされます。「岩波ジュニア新書」ということで学生向けの内容かと侮 -
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行方昭夫さんといえば、英文解釈・英文精読の大家じゃないですか!その方が「英会話不要論」とはどんな内容なのか気にならないはずがありません。
…ということで読んだのですが、内容的には「さすが」と唸らされます。(当然ですね)
私も、行方さんのおっしゃるように、文法や訳読中心の学校英語が日本人が英語が出来ない諸悪の根源のように言うのは違うと思いますね。お門違い。その点についてはこの本は完璧な論陣を張っていると思います。間違いなく一読に値します。
なお、帰国子女の英語についての章は私も大いに考えさせられます。他人事ではない、直面している課題だけに… -
Posted by ブクログ
☆☆☆ 2025年10月 ☆☆☆
25年前にこの本に出会っていたら、と思うがきっと25年前の自分には何も響かなかっただろう。他動詞と自動詞の使い分けや無生物主語といった英語の発想に関する説明が分かりやすい…と思ったら著者はモームの翻訳を手掛けている行方さんだ!!
『モーム短編集』には素晴らしい作品があるが、それを日本語に置き換えた人。
この本で学んだのは覚えるしかないモノも色々あるってこと。
few=ほとんどない、a few=少しある、quite a few=非常にたくさん、とか。
英語をちゃんと勉強してきた人にとっては基本的な事かもしれないけど、今まで適当にしかやってこなかった僕には大変役