佐藤文香のレビュー一覧
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一橋大学社会学部佐藤文香ゼミでジェンダー論を学ぶ学生が実際に投げかけれてきたジェンダーに関する様々な29の問いに対して、大学生の視点で回答。回答は三部構成になっていて、「ホップ」は「ジェンダーについて聞いたこともない」という初心者向け、「ステップ」はジェンダーの授業でおよその知識はもっているという中級者向け、「ジャンプ」はジェンダー研究の最新動向もおおむね理解している上級者向けとなっている。
「専業主婦になりたい人もいるよね?」、「どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?」など、フェミニズムに対してありがちな批判的な問いに対して、ジェンダー論を学ぶ学生たちが真摯に答えていて、良い企画だと感じた。ただ、完全に納得いったかというとそうではない部分も散見された。 -
Posted by ブクログ
29のジェンダーへの疑問について答えてくれる。
テーマの選定がとても世間の疑問に近くて、読んでいてそうそう!となった。
ジェンダー学は固定観念やモヤモヤを一旦社会や固定観念のせいにして言語化することでそこから自己解放する手段でもあり、もっと色々なひとが生きやすい社会の議論のきっかけとなりうる学問だなと思った。ただ、なんでも男と女の二項対立の問題にしてしまうのはナンセンスだと思う反面、なんでも固定観念であるとすることやマイノリティを絶対視することの限界も感じた。この世から男は〜女は〜をなくすことは現実的に可能なのだろうか。そうなっている未来はあんまり見えないと思った。
その一方で、現時点で女性のみ得られない権利、男性のみ得られない権利があるのだとすればそれは正していってもいいと思った。 -
Posted by ブクログ
ジェンダーに対する知識が少ないという前提での感想。
自分は男性ということもあり、無意識なバイアスが多くかかっているかもしれない。
そのくらいの知識や意識の人間からすると、本書はとてもわかりやすく、丁寧に疑問に答えてくれている。
ありがちな思い込みやバイアスに気づかせてくれるには良い本だと思う。
たとえば、「身体の違いがあるから仕事の向き不向きはあるのでは」という項では、男女による差ではなく、個人の違いに目を向けることとある。
こう言われると当たり前のことだが、「男性のほうが平均的には力がある」といった発想に向かいがちなバイアスに対して、一歩立ち止まるきっかけを与えてくれる。
もちろん、多数の調査をしたら傾向はあるのかもしれないが、大事なのは思い込みのまま思考停止をしてしまわない、ということなのだろう。
反面、違和感を覚えたこともある(もちろん、この違和感自体も自分の知識不足とバイアスからかもしれない)。
まず「男性らしい」「女性らしい」という価値観について。
これは本人すらも気づかない社会構造の上で出来上がっているとされている。
しかし、ほとんどの社会的な動物は、社会の中での立ち振る舞いと個としての生き方は切り離せないものと感じる。
「男性らしくない」あるいは「そのように振る舞いたくない」、という意思や個性は当然尊重されるべきで、不利益や嫌な思いをしない社会を作ることが大切だ。
それと同時に、「男性らしくありたい」(この定義は分かれるが)――たとえば「心身ともに強くありたい」「弱みを見せたくない」、もっと言えば「肉体的、経済的な強さを誇示して異性をひきつけたい」といった価値観も尊重されるべきだ。
また、性の自認についても、同性愛、無性愛といった精神も尊重されるべきであるとある。これはまったくの同感だ。
ただ、子どもを作る人間がいないと、種として存続できない。つまり種の存続のためには、一定比率以上は、異性愛者がいるべきなのではないだろうか。
フェミニズムではこのあたりのことはどう捉えているのだろう?
自分の勉強不足もあり、ここはモヤモヤしたままだ。
同じように、男性の性欲についても、レイプに結びつける例しか挙げていない。
思春期の「一定割合」の男性は、レイプに走る人間は少数派で、それよりも日々ひとりでセックスのことばかり考え、女子にもてたいと思い、オナニーにふけっている。
頭の中が性欲に支配されることもあり、時にバカなことをして女子の気を引こうとしたりもする。
逆に、異性から性的に魅力的に見られたい、という女性だっているだろう。
人間以外の多くの生物も、異性の気を引き、交尾をするためにさまざまな行動をしている(人間以外にももちろん同性愛はある)。
こういった、種族を存続させるための行動や思考を、フェミニズムではどう捉えているのだろうか?
繰り返すが、そのように思えない人たちが生きづらさを感じなくする社会を作るのは大前提であるが。
このようにいろいろと疑問に感じることは多いが、まず考えるきっかけを与えてくれた良書だと思う。 -
Posted by ブクログ
大学生向けということで、私には少し物足りなかったかな。でも必要な本だと思う。特に普通の男子学生にも読んで欲しい本。少しだけ前に進めるかも。ミソジニーの強い男の子はそもそも読まないだろうし、読んでもたくさん自分なりのツッコミを入れそう。
全員にわかってもらおうと思わずに、少しずつ多数派になっていけばいいのだと思う。そうすると、集団の雰囲気は変わる。特に日本人は(笑)←苦笑です
「インセル」という言葉、山上容疑者のTwitterから最近話題の言葉。「非モテ」という言葉も、男性学から言われ始めている。分断せずに共に生きる道、諦めずに探したいよね。 -
Posted by ブクログ
「専業主婦になりたい人もいるよね?」「女性も『女らしさ』を利用しているよね?」「どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?」といった疑問を考えながら、男女平等、セクシャル・マイノリティ、フェミニズム、性暴力について学んでいく。
ジェンダーを学ぶ大学生が、友人や知人からよく投げかけられる質問にいかに答えるべきかというところから始まったそうで、とてもわかりやすく、ジェンダー入門書として最適の一冊。
(上野千鶴子をはじめ、社会学って文体がそもそも読みにくい。)
個人的には最近知った「アセクシャル」という言葉についての回答がなかなか目から鱗でした。
私の世代は、少女マンガ、歌謡曲、テレビドラマ、ファッション雑誌など、どれをとっても恋愛至上主義。
「恋愛して結婚して子供をもって幸せな家庭を築く」という「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」がひとつの理想として語られてきたわけですが、もしかしたらそれは経済的、商業的に洗脳されていたのかもしれません。
「人を愛すること、愛されることはすばらしい」ということには今でも疑問をもちませんが、それがすべてじゃないし、そうじゃない人もいるよね、と考えてみることも必要なのだと思いました。
一橋大学では2015年にゲイであることを友人に公表された男子学生が自殺するという事件が起きており、この「アウティング」についてもページが設けられています。
どうするのが正しかったか、簡単に答えはでませんが、セクシャル・マイノリティへの理解が周囲にあれば、また違う結果があり得たかもしれません。
ジェンダーについて、一方的な論理の展開ではなく、一緒に考えてみるという姿勢が全体に貫かれているのもよいと思います。
以下、引用
人に性的感情を抱かない「アセクシャル」
恋愛感情を抱かない「アロマンティック」
「そうはいっても人を好きになったりセックスしたりするのが普通だ」と思うかもしれません。では、逆に、なぜ恋愛やセックスをするのが当たり前だと思うのでしょうか。そこには「恋愛やセックスをしなければいけない」という思いこみがあるのではないでしょうか。「パートナーがいないと将来が不安だし、そのためには恋愛が必要なのでは」という意見もあるでしょう。しかし、パートナーとの関係はセックスをともなう恋愛関係じゃないとダメなのでしょうか。そもそも特定のひとりと生涯一緒にいなければならないのでしょうか。
アウティング(他人の秘密を本人の許可なく別の人にいうこと)