寺澤行忠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西行のことはよく知らなかったのだが,奥の細道なんかを読むと,「西行ってすごく重要なんじゃないか?」と思っていたところ,毎日新聞の「今週の本棚」で本書が取り上げられていたので,早速買った.
本書は大学の先生によって書かれたもので,その作者の長年の研究の成果を,素人にもわかりやすいにように噛み砕いて説明してくださっているのだろう,専門書ではなく,自分のような者にもよくわかる西行の入門書となっている.
定家をはじめとする当時の専門歌人の常識/感覚とは,若干そりが合わないとでもいうべき行き違いもあったようだが,一瞬の場面を切り取る俳句というものは,西行なくして生まれなかったのだろう. -
Posted by ブクログ
西行の生涯と芸術を、21のテーマにそってわかりやすく解説している本です。
著者は、現代につたわる西行の写本や版本の校訂にたずさわり、三十年におよぶ研究の成果を『山家集の校本と研究』および『西行集の校本と研究』(ともに笠間書院)にまとめています。いわば文献学的な西行研究の最前線に立っていた研究者ですが、本書ではこれまで多くの人びとが西行の歌のみならずその生きかたに魅かれてきたという事実にそくしつつ、その実像を解説するというスタイルがとられています。
西行は、日常性を離れて旅のなかで多くの歌をのこしました。そうした彼の態度は、人生を旅にたとえるという、現代の日本人にも定着している考えかたを、い