岩瀬昇のレビュー一覧
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[エネルギーのエの字から]日本にとっても世界にとっても最大の関心事の一つのはずが、基礎的な知識すらあまり国民の間に浸透していないと著者が嘆くエネルギー事情。初心者や門外漢にとってもわかりやすく、いろはのいからエネルギーについて解説してくれる一冊です。著者は、三井物産に入社後、一貫してエネルギー関連の仕事に携われた岩瀬昇。
シェールガス革命について語る前にシェールガスについて説明し、埋蔵量の増減について考える前に埋蔵量について説明してくれるぐらい優しいエネルギーの入門書。とはいえ、決して無味乾燥な記述ばかりでなく、著者自身が勤務で経験したことや、近年の動向を合わせて紹介してくれているため、す -
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前前著「石油の埋蔵量は誰が決めるのか?」で、原油生産の仕組みや埋蔵量決定の仕組みなどを大変分かりやすく解説した著者が、2016年に入って価格が暴落した原油の価格決定の仕組みについて解説した本。書名の「原油価格の暴落の謎を解く」というよりは「原油価格は誰がどのように決定しているのか」、「過去の原油価格の大幅な動きはどのような世界の動きが関与していたのか」の2点に重点を置いた内容です。
知っているようで知らない世界とはまさにこのことかもしれません。未だにOPEC(石油輸出国機構)首脳が集まって原油価格を決めていると思っている人も多いのでは?ところがそんな価格決定のシステムは30年以上も前の事なので -
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Webのコラムで知った本でしたが、タイトルにある石油の埋蔵量がどのようにして計測されるのかについての非常に興味深い話に加えて、LNGの話、シェールガスの採掘方法、石油の価格形成メカニズムの変遷、エネルギー利用の現状と今後の課題など、エネルギーに関する様々な話題を、非常にわかりやすく説明してくれていて、とてもおもしろく勉強になりました。
原発再稼働や再生エネルギー開発の話ばかりがマスコミの話題になりますが、エネルギー消費に占める割合から考えると、石油、石炭、天然ガスといった一番ベーシックな一次エネルギー資源の安定的な確保や省エネの一層の進展こそがクリティカルに重要だと言うことを、改めて認識しまし -
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石油価格はどう決まるのか?要するに「今や世界のどこでも調達できる市況製品」なのか、「地政学リスクにさらされた戦略商品」なのか、という点について、著者の結論は「基本的には市況製品。その気になればどこからでも買えばいい。ただし、戦争など一朝ことあれば戦略商品としての性質も出てくる」ということ。
あと個人的には長らく腹落ちしていなかった「シェールガスってなんであんなに価格弾力性が高いんだろう?」(ちょっと石油価格は上がれば開発が一気に加速し、価格が下がれば開発が止まる。本来投資が莫大な資源開発は市況によってそう簡単には止められないし始められない。例えばLNG)。という点について、シェールガス開発の -
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ネタバレ重油を扱う仕事についたので、勉強のため購入。参考になった
以下メモ書き。
・原油の品質は、比重(重さ)と含有する硫黄分の量で変わる。
比重の軽い、硫黄分の少ない原油の方が高い。
・ドバイ原油、生産枠などOPECの規制を受けない、すべてスポット契約で市場価格を示す。
・先物市場における価格。期近と期先の原油値差。将来への価格カーブが上向き(先高、コンタンゴ)か、下向き(先安、バックワーデーション)かに注意する。
・シェール革命。在来型と比べ、投資決断から生産開始までの期間が短く、生産期間も短い。外部の資金調達に頼る、金融市場の影響受けやすい。ただ、生産量は400~500万B/D程度で、世界全 -
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本書は、日本の石油史を描いたもので、表題はその一部でしかない。
明治末期の石炭から石油への変換期、樺太石油のロシアとの交渉、満州や戦時の石油をめぐる政府や軍部、石油会社や技術者などの状況を記してあり、石油から見た日本現代史と言ってもいい。
石油技術者の意見や提言は、政軍には軽んじられ或いは理解が乏しく、水から作るなどの詐欺に騙されそうになったなど、エピソードも豊富である。
このように石油というか一次エネルギーは日本は恵まれていないのに、一般には関心が低いように感じられるのだが、それを覆すには、本書のような読みやすくわかりやすい良書が必要であろう。
著者は、石油事業に長年携わってきた経 -
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電気やガソリンの元である原油や天然ガスを1次エネルギーというが、その入門解説書である。
商社などでエネルギー関連の仕事をしてきた筆者が、技術解説と開発の歴史、価格や市場の変遷、などを分かりやすく説明する。ビジネスマンとしての経験談も織り込みながらも客観的なデータを駆使しての記述は簡潔で分かりやすい。こうあるべしなどの主張はないのもいい。
後半では日本のエネルギーを考えよう!との意見を述べているが、そうするためには本書に書かれていることを理解している必要がある。現実の1次エネルギーの需給や利用状況を知れば、ヒステリックに再生エネルギーの拡大を主張する人は減るだろう。
ウクライナ危機でのヨ