岩瀬昇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ(資源量と埋蔵量、どう違う?)……大雑把にいうと、「資源量」とは、地中に存在するすべての炭化水素量のことで、不確実性の高い順に「未発見資源量」、「推定資源量」、「原始資源量」と呼ぶ、EIAが発表しているものは、「原始資源量」のうち「技術的に回収可能な資源量」である、これがどの程度、経済性を持って実際に生産できるかは現時点ではわからない。「埋蔵量」とは、この「技術的に回収可能な資源量」のうち、通常の方法で経済的な採掘が可能なものを言い、回収可能性の度合いに応じて「確認埋蔵量」、「推定埋蔵量」、「予想埋蔵量」という。
(石油はあと何年もつか?)……筆者が社会人になった四十数年前、世界全体のR/P -
Posted by ブクログ
商社で石油取引に実際に関わっていた著者に寄るリアルな本。日本のLNGガスが他に比べて高値なのは長期契約で契約している上に、ガス価格を石油価格と連動させる方式を電力会社がとっているためだと説明。スポットカーゴというスポットでの需給でプライシングされる方式が米国内で登場しており、このことが資源国のガス産出を後押ししていることも紹介。さらに、シェールガスは資源保有権が国ではなく地主にある米国で特別的に資本主義原理で開発が始まったという意見で、他の国での開発はまだまだ遅れる見込みという。要点が詰まっており、何度も読み返したい。但し、ガスと石油が双方に与える影響や、OPECとNOCのパワーバランス、米国
-
Posted by ブクログ
世界の将来石油需要は、かなり正確に予測できる。
シェールなどを含む潜在原油埋蔵量は十分あって、枯渇しないと予測されている。
しかし、原油価格は長期の需要と潜在供給量以外の要素によって大きく影響を受け、誰も予測ができないというのが過去の教訓である。
例えば、巨大な原油の在庫を抱えている事業者は、原油が値上がりすると在庫の価値が上がって会計上の利益が出るので、市場の値上げ基調を壊さないために、かえって供給を絞るというような動きをすることがあり、それが市場の動きを撹乱させる要因となる。それ以外にも、様々な市場参加者が様々な思惑で動くので、原油価格は安定しない。
(いつ値上がりするかはわからないが、い -
Posted by ブクログ
元商社マンによるエネルギー論。なんといっても現代社会の基幹であるエネルギーについて手ごろな見取り図を与えてくれる。石油・ガスの話がおおむね中心。ブローカーの存在意義など「あれっ?」と思う記述があったり、電力会社の原油生焚きのような説明不足もあるがご愛嬌レベルと思う。
・天然ガスは液化してLNGにする技術が開発される前は、石油のほぼ役に立たない副産物でしかなかった。
・LNGプロジェクトには探鉱、開発に加えて液化、タンカー、再気化のロジが必要。需要地との距離により必要なタンカー船腹量が異なるが1兆円規模になる。よって典型的なLNG長期契約では引き取り義務を定めたり、仕向地規定条項があったりす -
Posted by ブクログ
【由来】
・文春のメルマガ。ダイヤモンドかTKの佐藤優評でも見たか?
【期待したもの】
・
【要約】
・
【ノート】
・ニーモシネ
・ガスは液化技術が難しい。このため、ほとんどが現地消費であり、流通しているのは30%程度。
・アメリカのシェールガス・シェールオイルは、今後ますますアメリカの国力を増すことに貢献するというのが著者の見立て。
・石油の生成には根源岩、移動、貯留岩、トラップ、帽岩の5つの要素が絶対に必要。この中のどれかの存在が欠ければ、石油は存在しない。ちなみに、貯留岩ってのは、スポンジのイメージ。
・戦略物資と見なされていた石油もコモディティの一種と見なされるようにな -
Posted by ブクログ
「資源量」と「埋蔵量」の違いを説明していた3章の内容がとても興味深かった。なぜ埋蔵量がどんどん増えてくのだろう?石油が枯渇する、と自分が小さい頃から聞かされてきたのに全然枯渇する気配がないのはなぜなんだろう?昔から抱いていた素朴な疑問が解消した。
なるほど、と思ったエピソードが二つ。石油業界ではサンクコスト(ポイントフォワードというらしい)の概念が浸透していて、しかしそれがゆえに掘削の計画は滅多に中止とならない、というエピソードがひとつめ。もうひとつは、オイルショックの後に原油価格が下落していった際、OPECは生産調整によって価格維持を目指した。ところが、加盟国がこっそり生産量を増やした結果 -
Posted by ブクログ
日本が太平洋戦争で対米開戦に踏み切ったのはアメリカからの石油の禁輸がきっかけであったことはよく知られています。当時、日本が実効支配していた満州や樺太では現在はかなりの量の石油が生産されています。もしも当時の日本がそれらの地域で石油を生産するに至っておれば、対米開戦のシナリオは違った結果を辿ったかもしれません。
なぜ、石油資源の豊富な地域を手にしていながら石油を手にすることができなかったのかを当時、石油探鉱に携わった軍や民間の記録を辿って検証します。
石油を探す技術や、原油から石油製品を生産する技術の欠如であったり、産油地から日本までの輸送計画のずさんさであったりと、ここでも科学的・合理的とは言 -
Posted by ブクログ
21年間の海外勤務を含め、43年間三井物産、三井石油開発で、原油取引や石油開発を中心としたエネルギー関連業務に従事してきた筆者が、資源に乏しい日本に住む我々に、もう一度エネルギー問題を根底から考えるきっかけとして欲しい、また、様々なメディアから流れてくるエネルギーに関するニュースに接した際に、基本な事柄を誤解なく理解できる一助になればという思いで上梓した1冊。エネルギーといえば電気やガソリンといった二次エネルギー、または原発、再生可能エネルギーといったテーマに寄りがちな中、国家の基盤に関わる一次エネルギー、特に石油、LNGを中心に、世界的視野で現状と未来を語りかけている。文春新書991