志茂文彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文章は非常に平易で、よく言えば読みやすく、悪く言えばありきたりである。文章にこだわりを持つ人間からするとこの文体はやや味気なく映るが、決して下手な文章というわけではなく、むしろ読書初心者にでも読み易く書かれている。ただ主人公の没個性さと相まってややかったるいように感じてしまった。せっかくの精神感応なので、もう少し詩的な部分があっても良かったかもしれない。主人公は自己投影するには引っかかりがない人間ではあるが、物語の主人公としては少々つまらなく、愚鈍である。主人公だけではなく、キャラクターのほとんどは書き割りのような印象が拭えない。ただ、それらは裏を返せば物語用に誇張された突飛なキャラクター像ではなく、本当にどこにでもいそうな自然な人間たちということである。しかし恋敵?になるヒロインのお兄さんはこの限りでなく、どうしても装置のような役目でしかなかったのが非常に残念だった。女教師との付き合いを隠すためのカモフラージュを生徒に求めるというのは冷静に考えれば教師失格な上、中々に鬼畜であり、幼さを貫く主人公の壁や障害として機能していない。また物語における敵としての役割も満足に与えられないため、いまいち内面が見えず、本当に駄目なキャラクターにしか思えなかった。だがそれ以外は超常現象を扱っているわりには現実に最適化されたキャラクターたちばかりで、この空気はジュブナイルもののそれに近い。ジュブナイルとしては完璧であり、やや物足りなさはあるものの、幼さと瑞々しさを描けているのはいいと思う。少し背伸びした児童書のような感じといえば分かりやすいか。好みではないが、誰にでも勧められる一冊。