小松秀樹のレビュー一覧

  • 医療の限界

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    「医療崩壊」の作者が新書に書いてあるもので、「医療崩壊」の本と内容が重なる部分が多い本。

    内容的には、死生観がなくなった現在、医療に対する過度な期待(医療には必ず不確実性やリスクがある)があること、司法が医学的な不確実的なものを法的に裁くことができるのか、医療現場での教育、評価、人事等で改善する点や、実際の現場での取り組み、日本の皆保険制度のメリット・デメリット等を経済思想やアメリカの保険制度等と比較しながら紹介されている。

    説明されれば当たり前なのですが、論理的に説明されないと、自分の住む世界の価値基準(司法や一般会社)等で判断していまうのが人間の性なのかもしれないと感じた。

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    2013年04月01日
  • 医療の限界

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     理想と現実,なかなか折り合いをつけるのはむづかしい。ただ理想を追い求めていけば幸せが得られるのかというとそうでもない。そうかといって,現状に甘んじて改善をおこたっていては,何の進歩も得られない。この本を読んでそのことを強く感じた。市民からの過酷な要求に晒され,日本の医療が疲弊し崩潰していくことへ警鐘を鳴らす。
     人生なにごとも,思い通りにはいかないもの。自分や家族の生死にかかわることだって当然そう。医療に百パーセントの成功はなく,患者・医者がどんなに努力しても,救うことができない命もある。医学は万能ではないのだ。昔から,さまざま手をつくした上での死という事実を,患者や家族は受けとめてきた。医

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    2011年10月26日
  • 医療の限界

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    ネタバレ

    僕が普段「これって言われても(言っても)現場がやるのは無理だよなあ」と思っていることが、現場の医師の立場からしてもやっぱり無理で、そのために限界に来ているという。
    「そうだろうなあ」と思いつつ、同情しながら読んだ。

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    2011年05月23日
  • 医療の限界

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     日本人を律してきた考え方の土台が崩れています。死生観が失われました。生きる覚悟なくなり、不安が心を支配しています。不確実なことをそのまま受け入れる大人の余裕と諦観が失われました。

    慢性的な栄養不足があると、ちょっとした病気で人はすぐに死にます。バングラデシュには、医療援助より、経済援助がはるかに重要だということなのです。

    中世、ペストが大流行したヨーロッパでは、短期間に地域の三分の一もの人が死亡するような状況があった。不可避の死を常に意識し、だからこそより良く生きることが求められたのです。

    日本にも昔から「無常観」という、長い歳月のなかで磨かれた死生観があります。多くの人が生まれ、それ

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    「医療崩壊」の新書版。医療問題の本というより思想書として興味深く読んだ。特にオルテガの引用のくだりは、医療現場のみならず、現代日本の病理を如実に示しているようで、慄然とした。

    大衆は、「文明の利点の中に、非常な努力と細心の注意をもってして初めて維持しうる奇跡的な発明と構築を見て取らない」、故に「自分達の役割は、それを生得的な権利であるがごとく、断固として要求することにのみあると信じる」。

    安全も平和も決して当たり前のことではない。自分の知らない所で誰かが汗や血を流し、かろうじて現状が維持されているのだ。そういうことに人々が思いを馳せることができなくなった時、システムは崩壊への道を辿るのだろ

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    2009年12月28日
  • 医療の限界

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    『患者はこう考えます。現代医学は万能で、あらゆる病気はたちどころに発見され、適切な治療を受ければ、まず死ぬことはない。医療にリスクを伴ってはならず、100パーセント安全が保障されなければならない。善い医師による正しい治療では有害なことは起こり得ず、もし起こったなら、その医師は非難されるべき悪い医師である。医師や看護師はたとえ苛酷な労働条件のもとでも、過ちがあってはならない。医療過誤は、人員配置やシステムの問題ではなく、あくまで善悪の問題である。』
    ここまで書かれたらさすがに誰でも「これはおかしいな」と思うだろうが、実際に大病をすると動転して本性が現れてくる。
    著者は「死生観」がなくなったと述べ

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    医師側からの視線を踏まえて、現代医療の問題点が包み隠さず書かれています。このままでは、医療従事者がいなくなるという結論に納得します。

    医療と司法の関係、アメリカの資本主義が介入した医療制度などが書かれていたところが、私的には☆5つの要素です。客観的意見をきちんと踏まえた上で、主観的意見を述べているところに僕は魅かれます。震災のとき皆で助け合うということが、当たり前になっている日本人に生まれて幸せだと思います。

    著者は賢い人だというのが、文面で伝わってきます。おススメです。

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    2009年10月07日
  • 医療の限界

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    生きる=老いるも死ぬも避けがたいという事実は、医療が発達しようと変わりない。漫画ブラックジャックの本間医師が言った「人間が生物の生き死にを左右しようなんておこがましいとは思わんかね」が、浸透した心持ち。
    医療が発達していなければ、かつての出産リスクなどにより、私は今生きていないだろうが、多産であったそのときと、今では心づもりも違っている。この本で言われているかつてと現代との死生観の違いは、実は医療が作り出したのかも知れない。

    ・・・
    (読み途中)

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    医療について、医師と患者の間に大きな齟齬があり、対立の原因となっている。医療は万能ではなく、不確実だ。わりばし事件 親の監督責任が正面切って議論されなかった。死亡した患者の遺族が、お金を必要としない死人に代わって膨大な賠償金を受け取る制度は、モラルハザードを引きおこしかねない。医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来する物であり、逓減させることはできても、消滅させることはできません。一国の医療では、アクセス、コスト、クオリティをすべて満足させることはできない。

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    2009年10月07日
  • 医療の限界

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    めざましい医療技術の進展により死は我々にとって遥かに遠い存在となった。死は意識の彼方に追いやられ死生観は喪失。死を静かに眺めることができない甘えの蔓延は、際限のない社会の安心安全要求に形を変え、今、医療現場を崩壊の危機に陥れている。医療とは本来不確実なものであり、治療は常にリスクを伴うにもかかわらず、昨今、医療に過誤はありえないとばかりに医療への理不尽な攻撃が頻発している。メディアや司法はときに十分な責任を果たしている医師までも攻撃する。医療は万能ではない。限界がある。とりわけ救急医療の現場では完璧な準備などありえない。このままの事態が進めば、結果的に困るのは医療を必要とする我々自身である。肝

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    2012年07月26日
  • 医療の限界

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    虎ノ門病院の部長である著者が、現在の日本医療の危機的状況とそれを助長させている環境(生死観、マスコミ報道、医療への幻想、医療訴訟の内実)をまとめた内容となっている。
    医療従事者以外の一般の人が是非読んでおくべき一冊と考える。
    患者、患者の家族が死生観、医療の実情を知り、結果責任だけを問うことをやめるべき、補償のあり方を変えるべき、裁判が感情的ではなく科学に基づいて行われるべきという意見には賛同する。

    ただ、慈恵医大青戸病院事件に関しては、著者の見解と異なる感想を持った。
    結果責任ではなく、故意の事例に対してだけ責任を問えば良いとはいうが、慈恵医大青戸病院事件に関しては未必の故意と言えるのでは

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    2013年08月09日
  • 医療の限界

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    [ 内容 ]
    日本人は死生観を失った。
    リスクのない治療はない。
    患者は消費者ではない―。
    医療の現場を崩壊させる、際限のない社会の「安心・安全」要求、科学を理解しない刑事司法のレトリック、コストとクオリティを無視した建前ばかりの行政制度など、さまざまな要因を、具体例とともに思想的見地まで掘り下げて論及する。
    いったい医療は誰のものか?
    日本の医療が直面する重大な選択肢を鋭く問う。

    [ 目次 ]
    第1章 死生観と医療の不確実性
    第2章 無謬からの脱却
    第3章 医療と司法
    第4章 医療の現場で―虎の門病院での取り組み
    第5章 医療における教育、評価、人事
    第6章 公共財と通常財
    第7章 医療崩

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    2011年05月21日
  • 医療の限界

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    購入


    「正しい市場とは、競争原理が機能し、情報へのアクセスが平等でふんだんにあると言う前提で、消費者が自ら参加するゲームである。医療では誰もが平等に情報を得て、しかも、それを正しく理解できるなどということはかつてなかったし、未来永劫ありえない。医療はゲームではない。医療は社会的善であり、公平でなければならない。患者は消費者ではなく、純粋に、ただ単に患者なのである」『ランセット05年5月』

    医者の気持ちや訴えがよくわかる。
    ただ一方で、ミスが起きればそれは誰の責任であっても「患者は死にさらされる」のである。
    もしかしたら日本の医療事故はもっと減らすことが出来るのではないかな?
    医者に負担を

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    2010年05月13日
  • 医療の限界

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    「医療崩壊〜立ち去り型サボタージュとは何か」の著者である小松秀樹医師の著書。

    正直、前作より書き散らした感は否めない。でも死生観とか思想とかについて半分近く著述しているのを読むに、どんなに現実に即した制度設計をしても最後は人一人ひとりの考え方が変わっていかないといけないんだなぁと感じた。

    新自由主義やらに関する彼の主張には、政治思想なんかをやっている人たちからすると「何を素人が!」と思うようなところもあるのかもしれない。少なくとも僕自身は彼には語ることのできる能力はあると思っているし、現実の本当に第一線にいる人が思想を語ったり思想を学んだりするということは、とても大事なことだと思う。

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    現在の日本医療の問題点に関し、「死生観」「司法」「経済理論」「日米の成り立ちの違い」など、多角的な見地から分析し論じた著作。著者の指摘は、至極真っ当であると思われ、医療に携わる者のみならず、マスコミ、法曹界をはじめとする日本社会全体で医療の将来を考え、手を打っていかなければならないことを十分に理解できた。現状における医師の負担は極めて大きく、このままでは、著者の憂慮する「医療の崩壊」は近いといえる。

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    2018年12月08日
  • 医療の限界

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    医療崩壊に関する記載は概ね同意見。ってか、こういうのを読んでるとやっぱり、医師の就労体制が理不尽に思える。でも、医局制に関しては、書かれた時期が、もう6年も前ってことを考えると仕方ない気もするけど、現状とはちょっと合わない気もする。とりあえずこういう書物によって、医療制度と医療に対する理解度が、少しずつでも改善されることを祈ります。

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    2013年02月14日
  • 医療の限界

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    「医療崩壊」を簡略化した感じの本。

    「医療崩壊」を読んだ人には物足りないかもしれないけれど、専門でない人が読むには、医療の現状を知るにいい1冊。

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    2010年09月23日
  • 医療の限界

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    現在の医療制度の問題点を論じた本。世間が医療過誤を批判する中で、これからの医療がどうなっていくかを危惧し、また、市場原理が医療の世界に働くことによる問題点を論じている。
    いわく、アメリカでは市場原理に基づいているため、医療費は驚くほど高く、医療費のせいで自己破産する中産階級も多数いると。日本の国民性や社会の成り立ちを考えれば、市場原理にゆだねるのは好ましいことではないように思える。その中で、医師が自ら望んでよりよい医療を提供できるような社会を作ることが大事なのだと思う。
    たとえば、アメリカでは訴訟のリスクはあるが、高額な報酬と見合っている。一方、最近の日本では個人のミスを訴追する風潮があり、病

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    日本人の死生観がかわってしまった。
    その中に自分もいるんだなーって。
    そして、健康だけど医療に近い経験を何度もしている自分にとっては
    医療=不完全なものという考え方はなんか納得してる。
    でも読んでおいて損はない。
    これからの日本の医療はどうなるんでしょうか。

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    2009年10月04日
  • 医療の限界

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    医療崩壊が面白かったので買ってみたが・・・医療従事者としては医療崩壊の方が面白かったです。なんか内容が薄い感じ。実家へ

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    2009年10月04日