押野武志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ性的なものから解き放たれた聖人になりたいと考えるあまりにそれに固執しているみたいな宮沢賢治。
賢治の作品に繰り返し見られるある種行き過ぎた自己犠牲的な行動はその最たるものではないか的な。
この辺りまで読んで、自己犠牲とDTってすごい相性がいいんだなぁと思ったんですよね。全てが自分の中で完結している。他人が入り込む余地がない。
愛し合うには自分の醜いところもさらけ出さないといけないから、賢治はそういうところを他人に見せることを良しとしなかったのかもしれない。ただ自分を捧げるだけ捧げて、誰かの中に綺麗に残りたいというのは高潔なようでいて、ひどく幼稚だなというような感想を抱いた。
最後の方に「贈与」っていう概念が出てきます。
「贈与は贈与と認識された瞬間に、(返済が必要な)負債となる。そうならないためには贈与であることを忘れ無ければならないが、そうすると贈与として成立しなくなる」みたいな禅問答が割とすき。この辺は『セロ弾きのゴーシュ』らしい。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
宮沢賢治は生涯独身を貫いた。
それを自己犠牲による高邁な思想と捉えず、彼の作品を性的妄想がうずまく不純な産物として読みなおすと、これまでとは違う賢治像に出会える。
「童貞」として、他者との関係を自ら断っていく賢治の生き方は、現代のさまざまなコミュニケーション障害の病につながり、また絶対的な他者との同一化を目指すテロリズムの思想にも親和性をもつ。
まったく新しい宮沢賢治の世界を俯瞰する、挑戦的な一冊。
[ 目次 ]
第1章 童貞がなぜ問題にされるのか―性の科学の時代
第2章 文学者たちはいかに性欲と戦ったのか―文学の中の性
第3章 賢治は童貞者たらんと欲したのか―賢治童貞伝説再考
第4章 賢治の恋愛観の基底には何があるのか―性的な身体への嫌悪
第5章 テロリストはオナニストか―賢治とナショナリズム
第6章 賢治は私たちを癒してくれるのだろうか―賢治と現代のコミュニケーションの病
第7章 無償の行為とは何か―賢治の贈与論
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
忘れてはいけないのは 人間は心というものを持った瞬間から自然界とは切り離されたところにあり 潜在的にこの宇宙で生きていく上での苦悩を背負っているということ
その苦悩とは ヒューマニズムに陥ってしまう愚かさであり 逆に自然との共生を望んだとしても決して対等な関係性を築くことが出来ないと知るに至ることである
しかし重要な議論は 後者の自然と人間との溝に絶望を感じた先にある(ヒューマニズムは問題外)
文中の多くの箇所で童話からの論考の展開がなされているわけだけれど 直ぐに人間社会へと集約して作品の世界を捉えようとするところに少々強引さを覚え 鼻についた
先に記した「自然と人間との溝」を意識下においた上での人間社会へのアプローチを展開できれば 重層的な思考の展開が描けたのではないか
といった事を考えたわけだな
とはいってもこの本には 宮沢賢治から「贈与」された多くの言葉を丹念に拾い集め そこから次の時代へとつながるメッセージをすくい上げる事に成功している
お見事です