海外個人旅行のバイブルと言われている『バックパッカーズ読本』は、1998年に初版が刊行されてから改版を重ね、本書は改訂版7作目(2024年刊行)。これほど長期に渡って続いているのは信頼できそうと思い手に取った。
内容は見開き2ページ程度の短いコラムの形でたくさんまとめられている。数多くの旅好きの人が執筆していて、単に重要な情報や何かのやり方を説明するというより、著者の体験に基づいてあれこれ自由に書かれている印象だった。読んでいると旅に出たい気持ちがくすぐられる。
以前、インドなどでバックパッカーの旅(といっても1週間程度)をしたことがあり、その時のことが忘れられない。またあんな旅をしたい。
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・旅のアイデアがいくつも登場する。こういうのを参考にして旅のプランを考えてみるのも良さそう。
- タイのバンコクから南へ、マレー半島3カ国を旅する。
- タイのバンコクから東へ、カンボジアのシェムリアップ、ベトナムのホーチミンを巡る。
- 反日感情などネガティブなイメージがありつつも、大陸のおおらかさに満ちた中国(先入観で避けるのは勿体無い気がしてきた)。
- フィリピンのセブ島の格安語学学校で英語を身につけてから、各地をまわる。
- 飛行機でなく船で韓国に行く。
- タイ南部で船を駆使したアイランド・ホッピング。
・西荻窪にある、旅関連の書店「旅の本屋のまど」。
・日本国内にある外国人コミュニティの話。
インド人の多く住む西葛西、ミャンマー人が多く住む高田馬場、バングラデシュ人が多く住む十条、今や多民族タウンとなった新大久保、etc。そういった街に行くと、日本にいながらにして異国を味わえる。なぜそこに集まっているのかということから、世の中の状況が垣間見える。
・陸路での国境越えのロマン。
島国である日本では、陸路での国境越えはできない。地続きであるのに、ある場所を越えると国が変わり、社会・言葉・通貨・時差まで変わったりする。日本ではできない体験。一方で、「国境の両側で同じ民族が暮らしている地域はザラにある」、「国境とはあくまで政治的なもので文化の境界ではない」という記述もあった。自分もいつか、このロマン溢れる経験をしてみたい。