藤井司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
死体となると、葬儀くらいでしかみたことはありません。死体の表情なんかは穏やかだったのですが、顔の血色についてはやっぱり生きている人とは違う印象を受けて、「この人はもう生きていないんだな」ということを感じた覚えがあります。
この本は全体的に法医学観点から死や死体について書かれています。医学的な死の定義の話や、死体をほったらかしていたらどんなふうに腐敗していくか。
ミイラの話や、死体が生まれた後の使われ方などなど……
面白かったのはカラーで挿入されている「九相詩絵巻」これは平安時代に書かれた生きている人が、どんなふうに骨になっていくかを絵で表したものです。
死体は放っておくと中に -
Posted by ブクログ
国内では数少ない法医学者の一人が書き下ろした、死生学と死体学の入門書。生々しい遺体の写真や図版はないので、そういうのがダメな人でも、まあ安心して読める、はずだ。
人は必ず死ぬ。自然死や病死であれば、変化が生じる前に然るべき手順を踏んで荼毘に付す。事件現場ではブルーシートで現場を隠す。そうした職業に就いているか、たまたま見つけてしまうか、身近に置いておかない限り、生前とは大きく異なったご遺体を目にすることは滅多にない。そして、そうした遺体を目にした人は、誰もが思うだろう。「ドラマとは違うんだな」と。
死は“汚れ”として忌避され、隠される。自分から興味を持たない限り、人は死に対して無知なま