伊藤龍平のレビュー一覧

  • 怪談の仕掛け

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    口承文芸を専門とする民俗学者による「怪談」関連の論文集。どれも面白かったがネットロア「きさらぎ駅」について述べた「スマホサイズ化される怪談」が特に興味深かい。過去の体験を語る実話怪談と異なりリアルタイムで進行していく点への注目などなるほどなぁと思った。おまけのコラム記事も良い。
    他の本も読んでみたいと強く思わせる内容。

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    2023年07月20日
  • ツチノコの民俗学 妖怪から未確認動物へ

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    ツチノコについて、広く網羅した一冊だがあくまで視点と手法は民俗学のそれとなっている。故に、実在についてはあまり言及されていない。あくまで『ツチノコ』というモノが人間にとってどういうものなのか?そして、どう扱ってきたものなのかについての本。
    読んでまず思ったのが、存外と狭い界隈なのだなと思う。
    知られている割に既知のものが多い。ツチノコの目撃譚も取り上げられているが、記録はあくまで目撃譚で、具体的な物証はない。『ないものは、ないことは証明できない』という言葉が浮かび、人間というものは厄介だなあと感じた。
    論の展開は丁寧で、参考文献も多く説得力がある。
    その中で、多くを占めている『逃げろツチノコ』

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    2025年03月27日
  • 怪談の仕掛け

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    怪談というものの定義と、それから分岐する創作怪談と実話怪談についての考察はとても面白く楽しく読めた。
    単純な私は怖い話は、単純に怖い話で怪談であると思っていたが、怪談というものがそもそも語りであり、物語とはまた違う文脈と性質を持つというのはとても興味深く思えた。怪談が時に美談になり、笑い話となるというのも、指摘されてみればなるほどと膝を叩く内容で、そもそもとして語り手と聞き手の関係によって成立するものという根本的な部分が、すぱっと解説されているのも面白いと思えた。
    物語と怪談の違いや、神と妖怪の差異といったものの事例としてアマビエが出てくるのも面白い。参考文献に気になるものがいくつかあったので

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    2024年07月19日
  • ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承

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    「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019」に出ていたので。

    民間説話の研究では、時代に無関係な「昔話」、歴史時代が舞台の「伝説」、同時代が舞台の「世間話」に分類する。
    (これに対して、始原の過去が舞台で、神々が舞台である「神話」がある)
    そして、ネットで生まれた説話だけでなく、
    ネットの世界で流布して広がっていく説話を「電承説話」つまり「ネットロア」と著者は呼んでいる。

    インターネットの登場は、説話の世界にも革新的な変化をもたらした。
    地縁・血縁を母体としない説話(従来型の都市伝説)はすでに存在していたが、
    「超都市的空間」で流通する伝承説話では、
    巨大化した「関

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    2024年05月11日
  • 何かが後をついてくる 妖怪と身体感覚

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    タイトルに魅かれて、手にした本。

    かなり専門的な、学術的な本だった。

    「妖怪」を真面目に研究して、できた本。

    柳田 國男、水木しげる、などの話は楽しかった。

    台湾にまつわる妖怪の話では、
    「千と千尋の神隠し」のアニメを思い出した。

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    2023年08月29日
  • ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承

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    ネットを発祥とした怪談がどのように流布したかを考察する本。くねくねや八尺様などオカルト板で有名な箇所の考察は特に面白かった。後半は既存メディアからネットへと盛り上がりを見せたあまちゃんについても取り上げている。オカルト、メディア、民俗学が好きな方におすすめしたい本です。

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    2023年01月16日
  • 何かが後をついてくる 妖怪と身体感覚

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    五感から生まれる妖怪について書かれてる。べとべとさんなど、確かに!と思えるものも多くて楽しかった。妖怪を知ることがさらに楽しくなる。台湾の妖怪事情も興味深い。

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    2022年09月14日
  • ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承

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    ポップな表紙に反して、わかりやすくも専門的な民俗学の本。
    なぜ都市伝説とインターネットがこうも相性がいいのか?そもそも都市伝説とは何なのか?が少しわかったような気がする。

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    2022年07月05日
  • 現代台湾鬼譚 海を渡った「学校の怪談」

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    台湾の大学で教える日本人が、教え子の卒論(ある小学校で怪談をテーマに調査した)をベースに書いた本。かならずしも怪談は専門分野ではないということだが興味深く読んだ。

    「学校の怪談」があるのは日台共通だし日本から伝播した話もあるようだが、台湾では鬼(幽霊)に悩まされて退学してしまう学生がいたり、まじない屋みたいなのが繁盛していたり、日本よりかはだいぶ前近代的というか、幽霊が近しい存在であるようだ。

    そんな台湾の大学でもっぱら女子学生に囲まれながら、陰陽眼のあるという(霊感があるみたいな)学生から個別の聞き取りをしたり、鬼について絵を描いてもらったりするアンケートをしたりしている。半分はクールに

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    2018年11月05日
  • 現代台湾鬼譚 海を渡った「学校の怪談」

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    ●:引用 他:感想

    ●「忌まわしい前代」の象徴として旧日本軍が持ち出されるのは、あの戦争に関係した国や地域ならばどこでも想定されうるし、実際、報告例も少なくない。(略)しかひながら、戦後の歩みはそれぞれの国・地域で異なっているため、現代の噂や世間話に登場する旧日本軍の位置づけは、多種多様である。たとえば台湾の場合、日本統治時代終了後に始まった2・28事件(1947年)と、それに続く白色テロによって、二つ目の「忌まわしい前代」が作られた。すなわち国民党時代である。それは台湾が民主化が始まる1980年代半ばまで続く。その結果、旧日本軍の噂は、国民党の圧政の事実を取り込むかたちで伝承されることにな

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    2013年06月30日
  • 江戸幻獣博物誌 妖怪と未確認動物のはざまで

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    ネタバレ

    江戸時代の「幻獣」と言われるようなものについての本。面白い。江戸時代における生物観がわかり勉強になる。

    当時の人は蛇がタコになったり、ミミズがムカデになったり、山芋がウナギになったりする事を信じていたし、それが常識だったという事を知りました。

    今の常識のみで歴史を見ると間違った見方になる可能性が高いという事を再認識しました。

    妖怪、未確認生物、幻獣系が好きな方は一読されても良いかと思います。

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    2011年01月03日
  • ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承

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    ネタバレ

    ネット上で話題になった怪談をテーマに取り扱った本。

    個人的には2ちゃんねるの話題が、懐かしく感じました。

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    2020年07月18日
  • 現代台湾鬼譚 海を渡った「学校の怪談」

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    台湾の大学の日本語学科の先生と教え子が書いた本。
    あとがきの、台湾の学生が東日本大震災の死者を台湾のやり方で自主的に追悼、せっせと死者の名前を日本の新聞から紙に書き写すエピソードが心に残った。

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    2018年11月01日
  • 何かが後をついてくる 妖怪と身体感覚

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    「妖怪」について、身体的イメージ、またその視覚化・キャラクター化を、台湾をはじめとするアジア諸国と比較を交えつつ論じた一冊。
    後半は「妖怪」という概念が薄い・日本的な(外国的な・レトロな?)ものとしてとらえら得ている台湾における「妖怪」や類似の概念に対して、いかに捉えるか――共時的なものとしてではなく、歴史や民族問題・社会問題を含めた通時的な要素が絡み合う中で、まさに今展開している状況を論じている点が興味を引いた。

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    2018年09月29日
  • ネットロア ウェブ時代の「ハナシ」の伝承

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    ネットロア=電承。2ちゃんねる(本書で取り上げられていないが、おそらくパソコン通信から)を中心とした事例が、これまでの伝承とどのように異なるか。良い悪い、ではなく、民俗学的に分析・解体。特に「正解」も出さない。

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    2016年12月05日