下永聖高のレビュー一覧
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ネタバレパラレルワールド、過去改変をテーマにした短編集。著者の最初期作だとのこと。
デビュー作ということもあり、少々荒味があってザラっとした読み感もあるものの、補ってあまりあるセンスオブワンダーな世界に魅了される。
創造主にもてあそばれ、自らが創造主となったときは創造物にもてあそばれるのが愚かな人間というもの。小さいけど健気に生きているのが人間やねんでほんま。
明らかにSF小説なんだけど、人間の哀愁を感じさせる味わいがよい。かといってウェットではなくドライな哀愁、無機質なおかしみとかなしみ。
その味わいが最後に収録された、唯一SFとちょっと呼べない短編で、ブワっと開花する。SFじゃないのにパラ -
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第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作を含むSF短篇集。
すべての作品が現実世界とそれ以外の世界の重層性とその狭間を行き来する意識という主題のもとに描かれています。
私達が暮らしている現代の世界から並行世界を次々と渡り歩く物語に何とかついていくうちに、読者である自分の意識まで浮遊していく感覚に襲われます。
視界が矢継ぎ早に変転していくドライブ感がたまらない一冊だと思います。(着いていくのが大変ですが……)
さらに本の最後を飾る「満月」を読むことで、この短篇集の世界から脱し現実へ戻ってきても、魂を並行世界にとらわれているような余韻を味わうことができます。
関係無いですが「猿が出る」は世に -
Posted by ブクログ
ーーーマナという物質により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが――
改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作、
自室の混沌と秩序を反映したミニチュア異世界が重ね合わされた男の日常「神の創造」、
他人には見えない類人猿の進化を幻視する男の困惑「猿が出る」など、
現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集
新人作家、下永聖高の短編集
パラレルワールドや過去改変なんかの代表的なSF的要素を使いながら、どこか新しい読後感があった。
今までSFではあまり読んだことのなかったユーモラスな『 -
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「オニキス」
マナ兵器によって過去の書き換えが起こされる世界で、世界を観察するために記憶保持装置のモニターとなった人たちの記憶が次々と移り変わっていく。最後の結末はどんでん返しなのか、そうでないのか。スピード感ある展開で理解と考察がついてこない感じがSFっぽいなあ。
「神の創造」
現実の部屋の中と繋がる異世界。後半の熱いアクション展開は面白かった。
「猿が出る」
徐々に進化していく猿とのやりとりがコミカルだけど、結局猿は何だったのかよく分からなかった。猿は人類創世からの記憶だったのかな?
「三千世界」
平行世界を敵から逃げまわる話。未来っぽいガジェットと駆使して追手から美女と逃げる逃避劇 -
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オニキス 村上春樹風の文体。物語の軸足が揺れ動く。それに伴い、読者の視点も変わる、ゆらゆらと揺り動かされる。話がどこへたどり着くのか
途中で主人公が変わるのも
神の創造 面白かった。内容的にオニキスを読んだあとなので警戒しながら読み進んだが、オニキスの流れとは違う内容なので、安心して読める。
載せる順序はこちらが先の方が良かったかも。
猿が出る 最後、猿との決着がどうなるのか、気になりつつ読み進んだ。昭和SF的な終わり方でちょっと残念。オチの子供とネズミも昭和的。
三千世界 ともすると、目まぐるしくて、ごちゃごちゃしすぎて読んでいる方は訳が分からなく、置いていかれそうな世界構成