稲森謙太郎のレビュー一覧
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本書は、まず「凡例」の説明から始まる。この本で使っている「特許」の定義(「実用新案」も含めている)、この本での引用の規則などが几帳面に書かれている。さらに特許制度の基礎知識について、必要十分なレベルで説明。タイトルから持っていた印象とは違う意外な入りだが、好感と期待を持った。
いくつかの「特殊」な特許が紹介されているが、その中には、小室哲哉、松本智津夫(麻原彰晃)、大仁田厚、鈴木その子、鈴木大地、などの有名人特許(出願のみで成立していないものも含む)や、永久機関、全ての病気を治す「神薬」、発ガン物質を消失させるタバコ、的中する馬券を買う方法、バレーボール特訓機、オネショ防止装置、などのトンデモ特許などがある。
著者は、特許登録DBを調査するだけでなく、出願者へ直接アクセスしてウラを取っている。電話の問い合わせなので、お金はかからなかっただろうけど。
ビジネスモデル特許や遺伝子特許、サブマリン特許、弁理士業界の話など合間合間に挟まれるコラムが意外にためになる。ちょっとふざけているところがあるが、それも含めての好著。
しかし、漫才人形の特許をパナソニックが出願し、UFO推進装置の特許をNECが保有しているとは... -
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入門書
特許の世界に興味をもつきっかけとしてはよい。分析および解説は浅く、知財に関心を持ったことのある人ならば、(値段の割には、、と)物足りなさを感じるだろう。
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Posted by ブクログ
東野圭吾の発明といえば探偵ガリレオではなく、金属に放電加工で斜めに穴をあける方法がちゃんとした特許になっている。この特許の出願は85年10月でデビュー作放課後が店頭に並ぶ一ヶ月後のことだった。松ちゃんは隣の部屋まで行かないとストップが推せない目覚まし時計を発明し、秋元康はAKBメンバーを振りまくると残った一人に神告白を受けられるゲームを発明し特許出願している。
動物を使って地震を予知する装置の発明では地震の際の超低周波を感じたトカゲがしっぽを45℃あげることで地震を予知する。「4月13日にトカゲが尾を立てた回数は32回であり、4月14日は48回であった。これらは、4月9日から12日までの平均回数である9.3回より遥かに多い。そして、4月15日12時19分に三重県中部を震源とする地震(マグニチュード5.4)が発生した。おお〜っ!やるなトカゲ!
富士フィルムはスタンガンの代わりになるデジカメを出願している。わっはっはっ。しかしスマホの防犯機能とかブザーとかフラッシュとか、リストバンドでモニターして何かあったら勝手にアラームを発信するとか同じ延長線上の発想なのでまじめに考えたんだろうなあ。
吉村教授はキリンと組んで古代エジプトビール再現プロジェクトを実施し、発明した。先行文献は古代エジプトの壁画。そこから工夫を加えたナイルシリーズはなぜか出願は早稲田に加え、京大と黄桜!で、キリンはお好きにどうぞと太っ腹だ。地ビール程度の売り上げには興味はなく広告の一環だとか。古代エジプトで栽培されていたエンマー小麦の種を京大が持ってて、地ビールも作る黄桜が現代の技術で醸造したのだ。エンマー小麦のホワイトナイル、デュラム小麦のブルーナイル、に加えルビーナイル、サイファーナイルとシリーズは続きこのビールは京大生協や早稲田学内などで飲める。京大が得た実施料収入は1本10円。開発に使った人件費が1000万円を超えているので大赤字だ。はっはっはっ!飲みに行こう!!
越後製菓はパックの切り餅の横にスリットを入れた特許を取得し「越後ふっくら名人」を発売、サトウ食品の切り餅「パリッとスリット」に喧嘩をふっかける。「ふっくら名人」は切り込みのおかげできれいに上下に膨らみはみ出さない。「パリッとスリット」の方はといえば上下に十字架上に切り込みがあり、さらに横にも切り込みがあったのでこれが特許侵害かどうかが争点になった。サトウ食品はもっと前から横に切り込みのある商品としてなぜか2009年の裁判時に残っていた2002年の商品「こんがりうまカット」を証拠として提出し「ふっくら名人」の特許を無効と申し立てるがいかにも怪しい。本当に作っていたのであれば証拠はもっと残ってそうな物だ。サトウ食品のサトウ元社長は日経ビジネスで「2002年の餅にカビが生えずに残ってるはずがない」と悔しそうに語っているが、そんなことは判決文には書かれていない。疑問点はわずか1ヶ月しか発売されてなかった「こんがりうまカット」に限ってなぜ都合よく残っていたのかなのだが。
ニッスイの発明も強力だった。「豆の薄皮に塩味が感じられ、かつ、豆の中心まで薄塩味が浸透しているソフト感のある塩味湯で枝豆の冷凍品」。何がすごいって製造方法ではなく物の特許なのでどうやって作っても特許に引っかかる。この経緯はニチロ元専務が「知的財産物語 枝豆戦争」に書いてるらしいが異議申し立てに対してニッスイは「緑色の維持された」を追加して訂正している。「こうして日水の特許が維持された時点で、塩味と名がつくあらゆる枝豆は全て日水の特許権を侵害することになった。これほど巧妙かつ大胆な裏技は並の力量ではできない。特許庁OBの日水顧問弁護士、須藤阿佐子、恐るべし。」(同書より)結局この特許は一度認められたにも拘らず進歩性がないと無効になる。塩ゆですれば味が浸透するのは当たり前で薄味かどうかは程度の差、誰にでも思いつくことだと。こんな裁判を長期化させた特許庁の方が恐るべしかも知れない。