甘木つゆこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自信がなくて生きる目的も見出せない
というのは人生のモデル、あるいは攻撃対象となるべき父性が
世界から失われているからだ
といったような思想に貫かれた青春小説二本立て
表題作は2008年の「坊ちゃん文学賞」受賞作
カバーと表紙のイラストを、志村貴子さんが描いている
「はさんではさんで」
自傷癖ある女の子が、人前で好きな男の子に傷つけられたいと願う話
それはつまり、自分にメーテルを演じる自信がないなら
男の子を機械の身体にしてしまえばよいという、倒錯的理論によって
導き出された答えなんだが
「コンビニエンス・ヒーロー」
エゴの抑圧を正義と呼ぶなら、正義は寂しいものである
エゴの復権をもくろむ -
Posted by ブクログ
読み始めは最近はやりのケータイ小説的な印象を受けた。性的虐待だの純愛だのといった、あれである
しかし、思いのほか読みやすかったと思う
ただ水戸黄門型の小説が好きな人にはお勧めしない
内容としては「ビタミンF」と「蹴りたい背中」を足して2で割ったような感じだろうか
表題作ともう一作の中編小説なのだが、どちらも二十歳付近の多感な(笑)時期を題材としていて共感できる部分もままあった
あー、ちょっと前までの自分みたいだな、と
大人からしたら馬鹿みたいに思えるのかもしれない
事実、共感しつつそうも思っている自分がいて、年をとったなあと感じてしまった
妥協や諦観といった一面が、「大人になること」に -
Posted by ブクログ
「はさんではさんで」女子大生になったタロウだが、なかなか友達ができない。似たような経験を持つことから親しくなった高校からの友人である貴之に、大学生になっても依存する日々。ある理由から2人の仲も進展しない。現実逃避のために鉗子で自分をはさんでしまうのだった。
「コンビニエンス・ヒーロー」『誰がやってもいい仕事だなって』と突然コンビニのバイトに虚しさを感じた樂。母の『工夫が肝心』という言葉から、デリバリーサービスを始めることに。
1話目はかなり好みの話でしたが、終わりを期待していただけに、ここで終わるの?と思いました。2話目も中途半端な感じで残念でした。
文章が読みやすいので、次の作品が楽しみで