喜多迅鷹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の内容はノンフィクションであり、その描写も詳細にわたっていて非常にリアリティを感じさせる。
しかしながら、本書は大変読みにくかった。小説、というより日記のような文体であり、会話も殆どなく、筆者の一人称の文体で淡々と綴られていくのだ。当然戦時中の過酷な出来事も多々描かれているけれど、メリハリや感情的な表現は全くなく、読むのにかなり疲れた。
とはいえ、本書の価値はとても高いと思う。捕虜としての実体験が、その後の人生にどのような影響を与えたのか。まさにその部分に、あまり語られることのない、戦争が人にもたらす本当の恐ろしさがあるのではないかと感じた。