谷川正己のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本木造建築と、西洋の石積式建築には決定的な違いがある。それは、極端に言えば壁があるかないかである。石を積み上げることで外壁を作っていく西欧建築は、完全な外界との切断であり、窓がなければ、殺風景極まりないので、必然的に、絵画を書けたり部屋の中を華やげる様々な工夫が凝らされる。一方、日本の建築は、支えとなる柱さえあれば壁を作る必要はないといっても過言ではない。日本建築を見てみればわかるが、柱以外は、ほとんど襖といっていい。壁に絵画を書けるスペースも床の間をのければ皆無に等しい。しかし、日本建築は、絵画をかける必要がなかった。それはひとたび襖をあければ、そこに雄大な自然の景色という絵画が現出するか