荒井一博のレビュー一覧
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教育学研究で従来より問題視されてきた学歴の問題。
この本は、そんな問題に焦点を絞り、
経済学の視点からその問題の本質を明らかにしてくれる。
教育学者は往々にして経済学的な視点に疎いところがあるので、
こうした文献が増えてくることは歓迎すべきことだと思う。
この著書の見所は、
中盤以降語られる学校選択性・英語教育・少人数学級の分析。
特に学校選択性については、
経済学的な分析だと「推進すべし」となりがちだが、
この書では経済学的に損失が大きいとしており、印象的だった。
他方、最後のほうでは数学と英語の受験指導の問題に触れているが、
試験問題を載せないなど、具体性に欠ける点は否めない。
( -
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①
2004年の統計によると、高卒男性と大卒男性の平均賃金の差は、
60歳までで約7000万円になる。
このような差が生まれる理由として、教育経済学では2つの理論がある。
②
1つは人的資本論と呼ばれるもので、工場の設備(資本)に多くの金を投入すれば生産性が高まって結果的に収益が増えるように、人間にも多くの時間や知識を投入すれば生産性が高まり、それによって収益が増えるという考え方。
③
もう1つはシグナリング理論と呼ばれるもの。この理論において、まず初めに企業は「大卒者は高卒者に比べて仕事がよくできる」という仮説に基づいて、大卒者に高い賃金を与える。すると、同年代の高校生のうち、能力の高い -
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現・一橋大学大学院経済学研究科教授(ミクロ経済・日本経済論)の荒井一博(1943-)による教育経済学論。
【構成】
第1部 学歴社会には「法則」がある
第1章 学歴はなぜ所得格差を生み出すのか
第2章 学歴シグナルによる「差別」は正当か
第3章 働く母親と専業主婦、子どもの学歴を挙げるのはどっち?
第2部 経済学的に正しい教育とは?
第4章 学校選択制と教育バウチャー制度で何が変わるか
第5章 英語ネットワークへの投資法
第6章 「いじめ」を経済学で解決する
第7章 教師と学級規模の経済学
実践編 収益率をアップさせる学習法
教育を経済学の視点で考える、というのが本書のユニー -
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ネタバレ[ 内容 ]
近頃の教育問題は、経済学的な知識なしに立ち向かうことができません。
本書は「教育の経済学」の基本的な考え方を紹介しながら、「なぜ大卒男性の給料は高卒の1.5倍なのか?」「子どもの学歴を上げるのは働く母親か専業主婦か?父親か母親か?」「少人数学級は学力を高めるのか?」など、さまざまな角度から学歴社会のしくみを解き明かします。
また「英語ネットワークへの投資法」や「いじめの経済学」など、専門の世界においても先駆的で、なおかつ問題解決に有効な視点を提供します。
[ 目次 ]
第1部 学歴社会には「法則」がある(学歴はなぜ所得格差を生み出すのか 学歴シグナルによる「差別」は正当か 働く -
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荒井一博著「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す」を読んだ。
最近、漠然とマクロ的な視点で学校経営を考えたいと思っていた。
教育に、行動経済学とか経済合理性の視点を適用できるかどうか、などである。
この本は、少し前にはやった下流社会、高学歴社会の終焉といった格差社会の指摘ではなく、
社会全体の「厚生(好ましさ)」を考える経済学の視点で書かれている。
以下、例の如く印象に残ったことをまとめてみる。
教育論議は、経済学的な知識なしに、説得的な見解を表明することは困難。
多く人物金時間を必要とする活動だから。
大卒男性は高卒男性の1.5倍給与を得ている。
高学歴は高収入を得るということに -
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20090112
大学に入学して間もないころに、兄貴に読んでみろと言われてちらっと読んだ。結局読み終えてないのだけど、経済学の立場から見た教育ということを通じて、経済学の考え方が少しわかった気がして面白かった。また読み返してみようと思う。
20100410
どこまで読んだのか覚えていないけれど、とりあえず4章から読み進めてみた。
・第4章:学校選択制と教育バウチャー制度で何が変わるか
いずれの制度もさほど好ましい結果を生み出さない。
・第5章:英語ネットワークへの投資法
英語「公共財(非競合性、集団消費性)」「ネットワーク」
・第6章:「いじめ」を経済学で解決する
「いじめのネットワーク理論 -
Posted by ブクログ
いろいろ考えることはできる、ってことが収穫。
だけど、時々言っていることがちょっとムリかなー、と。
学歴による差別(学閥)はダメ、と言っておきながら、如水会の大学に勤務して、そして、一部の優秀な人材に英語の勉強はさせるべき。
ってちょっと違わなくないか???
まあ、そういうのはさておき、問題点とそれの分析はおもしろいかな、と。
父親と母親でどちらが子供に勉強面で影響を与えるか、とか。。。
でも、教育って、壮大な実験なのかもしれない。
今分かっていること(分かったこと)は少なくても10年位前に行われた教育。
そこから学んだことを生かそうとすると、そこからまた数年。
その間