小林道夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一般にデカルトは「我思う、ゆえに我あり」という言葉とともに、近代的自我の確立者として知られているが、本書は、自然科学をはじめとする近代的学問の方法とその体系の基礎を構築した思想家としてのデカルトを紹介している。
デカルトは『精神指導の規則』において、アリストテレスの存在論に基づく従来の学問体系からの脱却を図った。アリストテレス以来、学問は「存在の類」に基づいて分類されると考えられてきた。デカルトはこうした発想を退け、数量的関係一般を扱う「普遍数学」という発想に基づいて、新たに学問体系を組織しようと試みたのである。
ただし『精神指導の規則』では、いまだアリストテレス的な認識論を脱却することに -
Posted by ブクログ
我思う、ゆえに我あり
「コギト・エルゴ・スム(cogito,ergo sum)」
この有名な言葉から、連想していた思想観とは、
全く異なった思想の持ち主であることを知った。
デカルトは、数学的、物理学的見識から、「最高に能力のある者」として神の存在を位置づけ、「神の誠実性」から「人間の明晰性」導き出した。
完全である神が、欺く人間を創ろうとするはずがない、ということらしい。
では何故、人間は誤りを犯しうるのか?
明晰に判断しうる能力を持ちながらも、不完全な思索、早合点によって誤りを犯すのだという。
「人間知性の有限性は、創造された人間知性の本質であるから、そのことに関して、創造者に不平