工藤喜作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を読むと自分の信仰心を,スピノザの公理・定理・系といった一連の論理規則によって,より強固にすることができる.
初めから読むと,公理系なので退屈であるが,最後にスピノザが書いたまとめ的なのがあるので,そこから遡ると読みやすい.
内容は,キリスト教(というか一神教)によくあることがベースにある感じを受けた.その上に哲学的説明が加えられる.
直観知によって把握したものと神への愛が結びつくプロセスが良かった.一方で巷にある,「神は世界であり,世界は神だ」という考え方が,無神論であるという批判とその議論については無意味だなと思った.「神即自然」は当たり前のことすぎて,議論の余地がない.そこ -
Posted by ブクログ
「神とは、絶対無限の存在者、いいかえれば、そのおのおのが永遠・無限の表現する無限に多くの属性から成りたつ実体のことである。」
・・・・・・第一部 定義6
この『エティカ』という本は、幾何学的記述によって世界を説明している。
定義、公理、定理、証明で構成される、極めて異質な存在だ。
誤謬なく出来る限り排除し理解してもらうため、この記述法を選択したらしい。
「冗長ではあるが」と本人が言っているので、繰り返し似たような記述があることは、自覚してもなお、これが最善と判断したのだろう。
ただ、読み解くのは、困難を極め自分がどこまで理解できたのか判断しがたい。
それでも、多くの興味深い思想がそこにはあっ -
Posted by ブクログ
エティカの重要性とは、その徹底的に論理的帰結を追及した幾何学的方法である。この方法が形而上学的な存在論、いっさいを包括する全体的、統一的空間を創造している。定義と公理によってすべての命題を導きだすことで、哲学の体系を構成する数学的アプローチはあらゆる意味で、彼の偉大な仕事であったと思う。
スピノザの神即自然、すべての事物は神の中に存在するという汎神論的立場は、意志の自由をも否定する決定論に帰結することになる。しかし、この自由意志の否定は単に自然的・機械的法則に服するという意味ではなく、神的存在の永遠な唯一の権力に服するということだ。(ここで神という言葉を使っているが通俗的な意味での、人