右派のジャーナリスト佐波優子による「愛国的な女子」のルポルタージュ
著者が取材対象と同じ立ち位置の人だけに、類書に比べて多くの取材対象にインタビューできていて、なおかつ対象者のエモーショナルな部分に触れたインタビューができている。
取材対象は、日本という国や、戦没者たちが、左翼・マスコミ・中韓に貶
...続きを読むめられているという気付きを得て、不当な非難に対抗したいという素朴な思いから愛国的な街宣活動などをしている、と主張する。
その憤る気持ちは伝わってくる。
その半面、著者は取材対象に批判的に切り込むことができないので、彼女らが政治や歴史について学ばずに、労力を一方的な主張に振り向けてしまう、そのいびつさの理由を知ることができなかった。
日本に奴隷制は存在しなかったとか、2600年以上歴史が続いているとか、日本史のごくさわりの部分で否定されそうな、ひどく無茶な理屈を信じ、またそれを訂正してもらえずに革新勢力に反論しているのはなぜなのか、気になる。
著者の個人的なエピソード(渡辺プロダクションに所属していてアイドルの卵だったり、新聞奨学生として苦学して自活したり)に紙幅を割きすぎていて、これはちょっと必要がないんじゃないかなと思った。