精神科医が、自分のところに来た患者について書いた、半ドキュメンタリー半小説。事実を元に小説のように書いているため、非常に読みやすい12篇の短編集になっている。
すべての話は精神病を軸に書かれているが、精神科医や病院はほとんど描かれていない。患者の境遇や生い立ちなど、プロファイルを行った過程の話が、
...続きを読むあたかも見たように描かれている。
話の導入の時点で相当末期であり、自殺して終わった例もそのまま書かれているため、臨場感を増しているのだが、なんというか、少しは心あたりがあるような話があるので、身につまされるのだよなあ。
こういう風に崩壊しないようにしよう、と思いはするが、精神が崩壊するときなんて自分で意識できないだろうし、子供の頃のトラウマなんか消しようにないわけです。
ちくま文庫なので、電子書籍での購入をオススメ。