花田清輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
出版されたのは1946年10月とまさに「復興期」であるが、中に収められたエッセイの大部分が太平洋戦争の最中である41年から43年に書かれている。つまり、復興論の正体は抵抗論でもあるということ。
西欧ルネッサンス期の有名人達を大胆なレトリックを用いて論じたと言われる本書は、その修辞技法の縦横無尽っぷりだけでも楽しめるが、やはり一番のポイントとなるのはそのレトリックというものが、常に、言論統制という「現実」と相対するための必然に迫られた上であったと言う事。そう、日本文学に於いて三島由紀夫や阿部公房、村上春樹といった巧みなレトリックの使い手は多く存在したが、それは時に自己目的化され著者の自意識の