青柳瑞穂のレビュー一覧

  • マノン・レスコー
    「宿命の女」、マノン・レスコー。
    マノンの言動よりも、グリューの甲斐性のなさにイライラ。
    自分で働いてお金を稼ぐことは考えずに、借金、賭博、詐欺。更には殺人までやってのける。もう凄まじい転落人生です。
  • マノン・レスコー
    この物語に欠かせないものとして激賞されるのは、マノンだろう。でも、私が泣かされたのは、主人公の友人、チベルジュだ。彼の主人公を大切にする気持ちには、参ってしまう。また、この物語はページの残量が極少になっても、まだ話が大きく展開していくため、最後まで目が離せない。デュマ・フィスの「椿姫」はこの物語をど...続きを読む
  • 孤独な散歩者の夢想
    「社会契約論」で有名なルソーが過ごした、孤独な晩年。
    そこで彼が散歩しながら考えた、「自分自身」について。
    自分の内面を深く深く掘り下げる、孤独な旅路。

    「彼らの哲学は他人用なのだ。僕には自分用のものがあればいい。」
    「自分が学ぼうと思った時には、それは自分自身を知るためであって、
    教え...続きを読む
  • マノン・レスコー
    主人公デ・グリュウはおバカだ、友人チベルジュはいい人だ、マノンもおバカだ……そう思い、つっこみを入れつつも、だんだんとデ・グリュウに同情し、同調し、マノンに魅力を感じるようになってしまいました。最後に死んでしまうからでしょうか。まあ、もし何だかんだで生き続けたら、たぶんつまらない話だったはず。
    しか...続きを読む
  • マノン・レスコー
    まるでブランデーのように舌の上で熱く甘く溶け喉を熱く焼き焦がす。
    マノンは悪女だけれど愛さずにはいられない。
    永劫の罰が待っていても束の間の幸福を求めずにはいられない。エロスは人間にとって最大の苦しみだ。

    同一神のはずだが、アラーのほうが慈悲深い。
  • マノン・レスコー
    一言で言うと

    「空気の読めないバカ女のせいで一人のボンボンが転落していく話」

    である。

    正直この運がいいだけで常に自分の生まれの良さと優秀さを
    鼻にかけるだけで何も考えていない主人公が
    ただバカ女に振り回されているだけの話である。

    これが一時期はフランスで「恋愛文学の最高峰!」とか
    「この物...続きを読む
  • マノン・レスコー
    私が持っている新潮文庫版、同じ青柳瑞穂訳ですが、昭和56年36刷。アベ・プレヴォーって筆名(通り名?)は、Abbe(僧侶) Prevost だったんだ、何も知らずに読んでるものだなぁ、おそろし。男(とその人生)を破滅させる女の代名詞のようなマノン・レスコー(昔むかしのわが国の流行歌の歌詞にもあったよ...続きを読む
  • 孤独な散歩者の夢想
    外側にあるものは問題とせず、平穏な幸福は自分の中にこそあるとして始める「孤独な夢想録」。その語り口は「高校生の頃のおれ」そのものだし、言ってる事自体は「晩年のルソー」すぎるし、アプローチ法は哲学的。安易な言い方だとドストエフスキーとかが好きな厨二病気質には刺さる。個人的には「第四の散歩」が好き。ただ...続きを読む
  • 孤独な散歩者の夢想
    翻って考えてみるに、酷く心を乱していながらも、当時そして現代にも通底するような、一種の真理に近いものを看破し得るのは、正に彼の著述の才能と、物事を掘り下げて深く考える能力の残滓が、錯乱状態にあっても確かに残っていたからであり、その一貫性に驚嘆した。所々真実かどうか疑わしい記述、どうも妄想ではないかと...続きを読む
  • マノン・レスコー
    「恋は財宝よりも富裕よりも強い。
    しかし、恋はそれらの力を借りる必要がある。」

    主人公の理性との葛藤が、相対する親友とキャラを分けて描かれている。
    個人的に終わり方にあまりスッキリはしなかったものの、ロマン主義文学の始まりと言われると納得できるように思いますね。
  • マノン・レスコー
    騎士グリューの追い求める姿は、痛々しいが、なんかわかる気がします。最近、マノンに似た女性が割と身近にいて、驚きました。現実は小説より奇なりとはよく言ったものです。個人的にはタイムリーでした!
  • マノン・レスコー
    フランス文学の傑作小説。
    美少女マノンを愛してしまった青年グリュウの物語。
    二人の破滅的な恋愛模様が描かれ、最後には遠いアメリカの地でマノンが死に、グリュウは一般人としての生気を取り戻す。
    ファムファタール。
  • マノン・レスコー
    青年グリュウは美少女レスコーに一目ぼれをし駆け落ち。男たちの嫉妬に2人は追い詰められ、彼女自身も欲望に忠実だったことからアメリカ追放への一途を辿り、さらにその先にも破滅への道は続く。

    オペラやバレエ等で長く人々に愛されている作品なので読んでおきたく。「ファム・ファタール(男たちを破滅させる女)」を...続きを読む
  • マノン・レスコー
    マノンはいったいどれだけの魅力のある女性なのだろう。
    彼女の真意はどこにあったのだろう。
    彼女は悲しい?最後を迎えるが、それよりもグリュウが最期死ななかったのがなんとも言えなかった。
    彼の馬鹿さ加減には呆れてしまう。笑
  • マノン・レスコー
    アベ・プレヴォーの自伝小説集"世俗を棄てたある貴人の回想と冒険"全7巻のうち、第7巻"騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語"が本作に該当します。そして、オペラや映画などの題材として度々取り上げられてきました。娼婦マノンに翻弄される貴公子デ・グリュウの一喜一憂する心理描写がとても鮮やかです。リアル...続きを読む
  • マノン・レスコー
    僕は全宇宙が崩壊するのをいても、知らん顔をしていることだろう。なぜだって?彼女以外のものなんてどうだっていいからだ。

    バカバカバカ!!!何度そう叫びそうになったことか。愛とは盲目であるとは言うけれど、何度浮気されても、何度親友をだましても、何度牢獄にいれられても、果てには人を殺してまでも貫き通す愛...続きを読む
  • マノン・レスコー
    ファムファタール系の一作。
    こんなのに惚れたら大変だ。ろくでもないと解りながらも、絶対に夢中になってしまう。物語としては悪くはないけどちょっと物足りない気もする。

    著者のアベ・プレヴォーは相当な数の著作があるようだけど、合間に軽く書いたこれが最も評価されているというから作者の思惑と世間との認識は往...続きを読む
  • 孤独な散歩者の夢想
     ルソーの先見性は計り知れない。
     彼の自我や自意識への拘り及び探求が、その後の学問や近代文学に与えた影響の甚大さをみても、それは証明される。彼も、当時の人間には理解されないところの所謂、天才の一人に数えられている。特に、精神分析の発達こそがルソーの捻くれた性格や相反する感情の衝突などの現象を解明さ...続きを読む
  • マノン・レスコー
    大学のフランス文学の授業で読んだ本。

    やはり読み継がれている文学作品は読み応え、インパクトあり。
    フランス文学の退廃的でわけわからんカオスな感じ、泥々な感じが、好きです。
  • マノン・レスコー
    昭和30年の訳だったと思いますが、予想よりもはるかに読みやすい文体で、驚きました。想像力をうまく利用した作品だと思います。原文と読み比べながら、もう1度じっくり読んでいきたいです。